Q.見積もりに一式表示の文字。これってどうなの?

気に入った車があったので見積もりを出してもらったところ、諸費用の欄に一式の文字が。内容を細かく知りたいと言ったところ「うちはすべて込みで一式」と言われました。これって違法行為なのではないでしょうか?

A.自動車公正競争規約に違反しています

自動車公正競争規約では「支払総額を表示する場合には、車両本体の価格とそれ以外の費用の総額並びにその内容を明瞭に表示すること」となっています。その他の費用とはいわゆる諸費用のことで、ご相談の販売店は明らかにこの規約に違反しています。違反したからといって犯罪というわけではないのですが、自動車公正取引協議会に相談をすることは可能です。このような販売店での購入はよく考えてからにしましょう。

そもそも諸費用は、税金や登録に必要な印紙代、自賠責保険料などの「法定費用」と登録代行費用、納車費用、納車整備費用、車検整備費用、車庫証明代行費用といった販売店の収益となる「販売店手数料」に分けられます。

法定費用は車重や排気量によって定められており、こちらでも確認することが可能です。購入を考えている車にどれくらいの金額が必要なのかは事前に見ておくとよいでしょう。

一方、販売店手数料ですがこれは店によって異なります。ただし、複数店舗で同じような車種の見積もりをもらって比較をするとある程度の相場は見えてくるので、それらを参考にするのもよいでしょう。相場と比べてあまりに高い場合や整備内容などをしっかりと説明してくれない販売店には注意が必要です。

諸費用に関して少しでも疑問に思った場合は、納得がいくまで説明を求めましょう。捺印をしてしまったら、基本的にはその金額を了承したことになり、キャンセルには苦労を伴うことになるのでご注意を。
第80回:諸費用の欄の「一式」表示って問題ないの!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

自動車公正競争規約(じどうしゃこうせいきょうそうきやく)
業界が自主的に設定した自動車を販売する際の表示と景品提供に関するルール。不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第12条に基づき公正取引委員会から認定を受け社会的に認められている規約だ