インディをはじめ、数々のレースで活躍するプロレーシングドライバー・ロジャー安川氏が、北米でしか販売されていない魅力的な車を日本のみなさんに紹介します。

カローラルミオンとの最大の違いは2.4Lを5MTで操れること

サイオン xB フロントスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫 サイオン xB リアスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑初代モデルのボックス的なフォルムを残したまま、角に丸みをつけたデザインに変更されています。フロントバンパーやマスクのデザインはカローラルミオンと若干違うものの外見に大きな違いはありません
2004年、アメリカ西海岸を拠点に若者へ向けて、車両価格$20,000以下で販売をスタートしたトヨタのサイオンブランド。当時は日本のbB(旧型)をベースとした初代xBよりも、ist(旧型)ベースのxAのほうが販売台数を見込まれていました。
しかし、実際に販売がスタートしたら2:1の割合でxBのほうが大人気。特に、ヒスパニック系の若者が、ちょっとローライダー的な雰囲気にアレンジして乗っているところをよく見かけます。
2代目となったサイオン xBのプラットフォームは、一回り大きなトヨタのオーリス/ブレイドをベースに作られたことからも分かるように、今までの日本モデルベースのリバッジとは違い、アメリカのニーズに応えた形でフルモデルチェンジしています。
まず“アメリカの要望に応える”となるとサイズです。前モデルよりも全長はおよそ300mm、全幅も70mm延び、車両重量はなんと300kgもアップ。外見のフォルムもカクカクしたデザインから角に丸みをつけたフォルムに変わり、少し大人っぽくなった感じがします。日本のカローラルミオンはこのxBの逆輸入バージョンですから、見た目はほとんど変わりませんが、フロントバンパーやマスクのデザインに少しだけ違いがあります。
サイオン xB インパネ|ロジャー安川の米国自動車浪漫 サイオン xB メーター|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑基本的にサイオンはコストパフォーマンス重視なので、内装に関しては至ってシンプル。車体が大きくなった分、室内空間はかなり広くなり、これなら身体の大きなアメリカ人も満足できるでしょう
フォルムに丸みをつけたせいか、パッと見外観は、あまり大きくなったようには感じませんが、車内の広さは一目瞭然。前モデルは日本人である僕にも少しタイトかな…と思う内容でしたが、新しくなったxBはアメリカ人でもゆとりをもって座るのが可能になっています。
また、iPodコネクターやパイオニア社製のオーディオ等も標準装備されていて、TRD製のパフォーマンスパーツの購入も可能になっています。

サイオン Xb エンジン|ロジャー安川の米国自動車浪漫 サイオン Xb 走り|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑サイオン xBには2.4Lエンジンを搭載。5MTのトランスミッションが標準装備で運転していると、ピックアップトラックを運転している気分に。エンジンにはトルクもあって、高速道路のランプでもしっかり加速してくれます
生まれ変わったサイオン xBの一番大きな変化はエンジンにあります。排気量は、初代モデルの1.5Lから2.4Lに大幅にアップ。この2.4Lエンジンはカムリにも積んでいるエンジンと同じで、初代モデルからの300kgの増量も全く感じさせないパワーです。その上、xBには5MTが標準装備されていて(オプションで4ATを選ぶことも可能)、このコンパクトな体に158馬力のパワーと5MTミッションのパッケージの組み合わせは、ドライブを楽しくさせてくれます。ちなみに日本のカローラルミオンは1.5L、1.8LエンジンとCVTの組み合わせしか存在しません。そこが、xBとの一番の違いともいえます。
ちょっと前までアメリカでは小さい車は売れないと言われていたにもかかわらず、今ではサイオンはコンパクトカーのリーダー。カローラルミオンとは見た目はほとんど同じでも、走りの楽しみをしっかり盛り込んでいるxBは、やはりアメリカ生まれの車だなと実感してしまいます。

並行輸入で日本に入ってくることもありますから、この車種の物件が気になった方は、下の検索窓に「サイオン xB」と入れて探してみてください。
 


主要諸元のグレード:xB 駆動方式:4WD トランスミッション:5MT 全長×全幅×全高:4250mmX1760mmX1644mm ホイールベース:2600mm 車両重量:1373kg 乗車定員:5名 エンジン種類:DOHC 直列 4気筒 総排気量:2.4L
最高出力:158ps/6000rpm 最大トルク:22.4kg-m/4000rpm 10・15モード燃費(km/L):- ガソリン種類/容量:無鉛レギュラー/53L 車両本体価格:$16,420(約180万円)
(Tester/ロジャー安川 Photo/竹内英士)