インディをはじめ、数々のレースで活躍するプロレーシングドライバー・ロジャー安川氏が、北米でしか販売されていない魅力的な車を日本のみなさんに紹介します。

マイナーチェンジとは言えないほど大胆に進化

アキュラ RL フロントスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫 アキュラ RL リアスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑アキュラ車のチャームポイントとなっているフロントグリルは、前に突き出てきそうなデザインです。外観は前から見るとアメリカン、お尻の部分はヨーロピアンな雰囲気
マイナーチェンジを受けたアキュラ RLは7月から北米で販売が開始されました。RLは日本で9月から販売がスタートしたHONDA レジェンドのベースとなっています。ですから大きさは現行のレジェンドと比較してもほぼ同じ。ただしアキュラRLの、2009年モデルのルックスはマイナーチェンジとは言えないほど大胆に進化しています。
TSX(次期アコード)もそうですが、最近のアキュラはルックスに力を入れていることが感じられます。RLは今までのコンサバなイメージから、一際目立つ様なフロントグリルやボンネット、そしてトランクラインもシャープなものへとデザインを変更。18インチのホイールが標準装備で同クラスの高級セダンと並んでも、すぐにRLだと見分けることができるくらいのインパクトがあります。
アキュラ RL インパネ|ロジャー安川の米国自動車浪漫 アキュラ RL 運転席|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑全長が56mm伸び、後部座席のレッグルームも少し広がりロングドライブも快適。インテリアのデザインに大きな変更はありませんが、高級セダンなだけにエレガントに仕上がっています
日本版レジェンドには17インチホイールを標準装備したベースモデルに、RL同様18インチホイールのユーロモデルを加え、全6モデルから選ぶことが可能になっているのに対して、北米モデルはベースモデルの他にナビを装備したテクノロジーパッケージと、テクノロジーパッケージに追突軽減ブレーキ(CMBS)とアダプティブクルーズコントロール(ACC)を装備した計3モデルとなっています。
見た目と同様に、中身も大幅に変更されました。3.5LエンジンからMDX(レクサスRX=ハリアー日産ハリアーと競合する高級SUV。先代モデルは一時日本にも正規輸入されていた)でも使用しているJ37A型の3.7L SOHC V6エンジンを搭載し、ついに300馬力台に到達。しかも従来のVTECシステムとは異なり、RLに搭載したJ37A型エンジンからは吸気バルブと排気バルブが共に可変となっています。

アキュラ RL エンジン|ロジャー安川の米国自動車浪漫 アキュラ RL 走り|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑J37A型の3.7Lで300馬力のエンジンを搭載。このモデルからのVTECは吸気と排気が可変になっていて低中回転でのトルクが増しています
車に乗り込み早速ドライブしてみると、どことなく今までのHONDA車の味付けとはちょっと違うことを感じます。最初はなんだかフワフワな気がしますが、いざワインディングで走り込むと、車が自分のドライビングスタイルに馴染んでくれる様に滑らかにコーナリングしてくれます。また、SH-AWDがあるから少しオーバースピードでコーナーに進入しても安心感があります。反面、300馬力になったエンジンは、アクセルを踏んで回転数を上げれば満足のいくものの、街中走行でパーシャルスロットルの時はもう少しトルクが欲しく感じます。

総合的にはハイレベルな車ですが、高級セダンとしてはやはりV8を求めてしまいます。ブランディングの強化を計っているアキュラとしては、将来的にV8を積んだNSXやRLが登場してもおかしくはないでしょう。実際にアメリカンルマンシリーズや、インディーカーで使用しているエンジンはV8であることを考えると、V8エンジンにするのは自然の流れでは、と勝手に期待を抱いてしまいます。

並行輸入で日本に入ってくることもありますから、この車種の物件が気になった方は、下の検索窓に「アキュラ RL」と入れて探してみてください。
 


主要諸元のグレード:RL Technology & CMBS/ACC Packages 駆動方式:4WD(SH-AWD) トランスミッション:5AT 全長×全幅×全高:4973mmX1847mmX1455mm ホイールベース:2800mm 車両重量:1864 乗車定員:5 エンジン種類:SOHC V型6気筒 総排気量:3.7L
最高出力:300ps/6300rpm 最大トルク:37.5kg-m/5000rpm 10・15モード燃費(km/L):- ガソリン種類/容量:無鉛プレミアム/73L 車両本体価格:$53,700(約590万円)
(Tester/ロジャー安川 Photo/竹内英士)