ランボルギーニ ディアブロ▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!

青春がオーバーラップしたら、迷わず買うべき!

今回は、「FAVOLOSO」で出合ったランボルギーニ ディアブロについて、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。

~語り:テリー伊藤~

スーパーカーブームに少しでも触れた男性の中で、ランボルギーニに憧れなかった人はいない。そう断言してもいいくらい、ランボルギーニは特別なブランドですよね。

僕自身、過去にはカウンタックに乗りたいと考えていた時期がありました。でも残念ながらそれを叶えることはありませんでした。

ランボルギーニ ディアブロ▲カウンタックが採用した、ランボルギーニを象徴するシザードアを継承

理由はわかっています。当時の僕は屋根付きの駐車場を持っていなかったから。

やっぱりスーパーカーを雨ざらしにするというのはかわいそうじゃないですか。もし若い頃の僕がガレージを持っていたら、迷わずカウンタックを手に入れていたでしょう。

アヴェンタドールやウラカンもカッコいいですが、僕が運転するには大きすぎる。古いランボルギーニはサイズがちょうどいいので興味があります。

ランボルギーニ ディアブロ▲前期モデルのベースグレードは17インチアルミホイールを装着

今回出合ったディアブロは、カウンタックの悪い部分をしっかり改良して、乗りやすくしているのがいいですね。

例えばカウンタックはシートに座るとすぐ隣にドアがあって窮屈でしたが、ディアブロはちゃんとスペースが確保されていて運転しやすくなっていました。でも、スーパーカーは乗りやすいから買うという車ではありません。サイズを気にする僕は失格でしょう

ランボルギーニ ディアプロ
ランボルギーニ ディアブロ▲リトラクタブルヘッドライトを採用した前期型。日本に正規導入されたのはフェイスリフトが行われた1998年から

人はなぜスーパーカーを手に入れたいと思うのか。僕は「青春がオーバーラップすること」が大切だと考えています。

『サーキットの狼』に夢中だった人は、たとえ車内が狭くても迷わずカウンタックを選ぶでしょう。ディアブロが好きな人は、広さなど気にせずディアブロに乗るはずです。

これを証明するような話を聞いたことがあります。新興国の成功者からもスーパーカーは人気がありますが、ビンテージモデルには興味を示さないそうです。ランボルギーニで例えるとアヴェンタドールは売れるけれど、カウンタックやディアブロは不人気。これはビンテージのスーパーカーが彼らの青春の中に存在しないからでしょう

一方、日本人には「歴史を勉強する」人が多いと感じます。もちろん車の「好き」「嫌い」も大事ですが、同じくらい「いい」「悪い」を重要視する。だからCAR GRAPHICのような雑誌で自らその車の歴史を勉強するのでしょうね。

ランボルギーニ ディアブロ▲青春時代の強烈な記憶があるからこそスーパーカーは輝くのだと思います

テリー伊藤ならこう乗る!

ランボルギーニ ディアプロ
ランボルギーニ ディアブロ▲340km/hまで刻まれたスピードメーター。開発では最高速度320km/hに到達することを目指していたという

カウンタックの後継モデルであるディアブロが生産されたのはスーパーカーブーム、そしてハイソカーやスポーツカーのブームが終わって人々にレジャー志向が浸透した1990年代です。

だから青春時代に憧れた人は案外少なかったのでしょう。そのため他のビンテージランボルギーニに比べると中古車相場は上がっていないと聞きました。カウンタックじゃないとだめな理由がないのだとしたら、案外狙い目かもしれませんよ。

僕が毎日車で走る道にはいろいろな輸入車ディーラーが並んでいます。その中でもランボルギーニのショールームは目にするだけでウキウキします。

ランボルギーニ ディアブロ▲ドアを開けると「Diablo」のプレートが付けられている

なぜこんな気持ちになるかを考えてわかったのは、ランボルギーニの車はどれも色が華やかだから。イタリア車の中でもランボルギーニは特別です。同じ色でも他国のものとは全然違う。特に日本のメーカーは残念ながら今でもこの領域に踏み込めていないなと感じます。明るく派手な色でもどこかに『ためらい』があるように思えるのです

その理由を僕は探偵映画を見て理解しました。イタリアの探偵映画は、探偵や刑事がとてもセクシーに猫写されています。仕事を終えて自宅に帰ってからの、男女の生活まで映画の中でしっかり描かれる。日本の探偵映画や刑事ドラマではそんなシーンなんてまずありませんよね。

車の色の開発も、イタリアでは「どういう色ならモテるか」を考え、日本では「この色は近所からどう見られるか」を考えているのではないか。映画を見ながらそんなふうに思ったのを覚えています。

ランボルギーニ ディアブロ▲色気のあるモデルだからこそ陽気な感じで楽しみたいね

もし僕がこれからディアブロに乗るなら、黄色を選んで、ご機嫌な気分でドライブを楽しみたいですね。あえてラフにパーカーとジーンズで乗りこなしたら、最高にカッコいいと思いますよ!

ランボルギーニ ディアブロ

カウンタックの後継モデルとして1990年に登場したディアブロ。車名は『悪魔』という意味。スタイリングは当時のランボルギーニを象徴するシザードア(シザーズドア)を継承し、フロントライトはリトラクタブルタイプになる。最高速度が320km/h、0-100km/hは4.5秒を達成。デビュー時は5707ccのV12エンジンをRWDで駆動。その後1993年には4WDモデルが追加された。1998年には各国の法規制に対応するため、リトラクタブルヘッドライトが廃止となり、日産のフェアレディZ(Z32型)の固定式ライトに変更された。

文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/柳田由人

テリー伊藤

演出家

テリー伊藤(演出家)

1949年、東京・築地生まれ。早稲田実業高等部を経て日本大学経済学部を卒業。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」「ねるとん紅鯨団」「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。現在は演出業の他、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。テリーさんの半生を綴った「出禁の男 テリー伊藤伝」(イーストプレス)が発売中。TOKYO MXでテリーさんと土屋圭市さんが車のあれこれを語る「テリー土屋の車の話」(毎週月曜26:35~)が放送中。YouTube公式チャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』も配信中。