レクサス LFA ▲BEV説明会で披露されたスポーツカーのモックアップ。LFA IIの市販版を予告するモデルだが、レクサス特有のスピンドルグリルは見当たらない。後方に見えるGRブランドのスポーツカーと顔つきが似ていた

スポーツカーのモックアップ、その正体は

「BEV(バッテリー充電式電気自動車)に対して、後ろ向きだ」とか「出遅れている」といった批判に反論するかのように、トヨタは2021年12月に今後のBEV戦略を説明するイベントを開催した。その中で、レクサスのモックアップがあったのだが……。

このロングノーズのスポーツカーは、プレゼンの中で述べられていた航続距離700㎞超のハイパフォーマンス電動スポーツカーなのか。

周辺取材を進めたところ、あのスポーツカー然としたモックアップこそLFA IIそのものであることをつかんだ。

フロントノーズが長く、乗員を車体の中心より後方に座らせる古典的なパッケージングとフォルムは、LFA IIのために開発されているものだ。

ハイブリッドスポーツとして登場

誤解してはいけないのはLFA IIがBEVではないことだ。同車には、開発中の4L V8ツインターボと電気モーターが搭載されてハイブリッドに仕立てられる。

トランスアクスル方式によって10速ATはキャビン後方に置かれ、アシスト役のモーターはプロペラシャフトとATの間に挟み込まれる。

ただ、レクサスの佐藤プレジデントは、2035年までにレクサスをグローバルで100%BEVのブランドに移行させることを表明した。

2025年にも発売されるLFA IIは、10年以内にモデルライフを終えてBEVスポーツカーにバトンタッチをするとみて間違いなさそうだ。

スピンドルグリルの面影なし

内部事情に詳しい関係者によると、LFA II市販版は展示されたモックアップに酷似しており、ディテールを除いてほぼそのままの姿で登場するようだ。

そこで疑問に感じるのはスピンドルグリル。どうやら、レクサスはこのグリルに終止符を打って顔つきのリニューアルに乗り出すようだ。

その布石は新型NXで垣間見ることができる。これまでと違ってスピンドルグリルの上半分がトーンダウンし、グリルの輪郭が台形に近づいた。

初出(2012年デビューの4代目GS)から約10年で曲がり角が見え始めたスピンドルグリル。この変わり身の早さは、時代に合わせた変化と捉えるべきかポリシーの欠如と言うべきか。

例えば、BMWは改良を重ねながら何十年もキドニーグリルを使い続け、いまや誰が見てもわかるアイデンティティとして定着している。

プレミアム市場で評価されてユーザーから揺るぎない支持を得られるのはどちらの策だろうか。

※2022年2月18日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

text/マガジンX編集部
photo/レクサス