下田紗弥加


車で我々に夢を提供してくれている様々なスペシャリストたち。連載「スペシャリストのTea Time」は、そんなスペシャリストたちの休憩中に、一緒にお茶をしながらお話を伺うゆるふわ企画。

今回は、ドリフト競技、D1 Lightsで活躍し、D1 GPライセンスを獲得したドリフトドライバーの下田紗弥加さんとの“Tea Time”。
 

下田紗弥加

語り

下田紗弥加

しもだ・さやか/千葉県出身のドリフトドライバー。2018~2021年、D1 Lightsに参戦、60台を超える出場者の中で常に上位を争い、今年7月ついにD1 GPライセンスを獲得。頭文字Dの聖地のひとつ、群馬県安中市の観光大使を務めるなど、モータースポーツ普及に向け、活動の幅を広げている。

ドリフトが好きすぎてメイクもお洒落も後回し

今年7月のD1 Li ght s(ドリフト競技のカテゴリー)で3位に入って、来季は最高峰カテゴリーのD1 GPに参戦できるライセンスを取得しました!

私ほんとに、いつもドリフトのことしか考えてなくて、今回は“ゆるふわ”な話ということですが、大丈夫ですかね。よく趣味は? って聞かれるんですけど、特にないんです……。

もともと純粋にドリフトが好きで、今はそれをお仕事にさせてもらっているので、オンもオフもないんですよね。

普段から「どうしたらもっとすごい走りができるか」とか、「みんなに喜んでもらえるにはどうすればいいか」みたいなことばかり考えてます。

オフの日は自分の走りや他の人の走りの動画を見てると、あっという間に一日過ぎちゃいますね。

私、もともとファッションやメイクが大好きなんですよ。「美容関係の仕事をしたい」って考えていた時期もあったぐらいです。

でも、今はすぐに運転、運転! となっちゃうから、いつもTシャツにジーパンだし、何も考えず引き出しの一番上にある服を取って着てるから、同じような格好ばっかりしていますね(笑)。

人前に出る機会もあるので、もうちょっと身なりにも気をつけなくちゃ、とは思ってるんですけど……。
 

4万㎞ドリフトしたFDを手放したあと買い戻す

レースで走らせている車両はS15(日産 シルビア)ですが、愛車はFD(マツダ RX- 7)なんです。

車にあまり興味がなかった頃からなぜかあのデザインだけは好きで、見かけると写メを撮りまくっていたので、携帯の写真フォルダはFDの写真でいっぱいでした。

だから「ドリフトやろう」って決めたとき、まだMT免許も持ってなかったのにマニュアルのFDを買っちゃったんです。

その車で毎日のようにサーキットに通って、そうですね……一年間で4万㎞くらいはドリフトしました。ロータリーエンジンって「6万㎞で寿命」といわれていたのに、私のFDは走行6万㎞の中古を買って、4万㎞ドリフトしても壊れなかったんです。本当にいい子でした。

だけど、実は一度、練習するお金に困って、泣く泣く手放しちゃったことがありました。ずっと申し訳なく思ってて……。だから、少しずつお金にも余裕が出てきた数年後に、その手放したFDを買い戻したんです。

でも、実はその前にもFDが好きすぎて、もう1台買っていたんですけどね(笑)。そっちはドリフトの競技に出る用で、エンジンをロータリーから1JZ(トヨタの直列6気筒ターボエンジン)に積み替えて、足回りもドリフト用にチューニングしてます。
 

下田紗弥加 ▲バレーボール経験からくる高い運動能力を生かし、マシンを豪快かつ繊細に操る(写真:栗山尚広)

テーマパークにお笑い、人を喜ばせるのが大好きです

昔から、人を喜ばせたり、元気になってもらうのが好きですね。

一時はテーマパークのダンサーを目指してたこともあったんですよ! 今も休みに息抜きに出かけるとしたら、テーマパークとかエンターテインメントな場所が多いですね。

あとは、お笑いも大好きで、ハマったらYouTubeでずっと見てます。今は、レインボーさんとかシソンヌさんがお気に入りですね。私も“笑い”のセンスには結構自信あるんですけど、周りからは「おまえは笑われてるだけだ」って言われてます。ひどい(笑)。

ドリフトって“アウトロー”なイメージがあると思うんですが、モータースポーツとしてやってる人はドライバーもメカニックもみんな熱心で純粋、損得抜きでドリフトが好きなんですよね。

そこにドリフトへの“愛”を感じるし、それだけ魅力のある競技だということ。だからこそ、もっとたくさんの人に知ってもらい、そして私もドリフトを通じて元気や勇気を伝えられる人になれたらいいな!
 

下田紗弥加
文/河西啓介、写真/阿部昌也
※情報誌カーセンサー 2021年11月号(2021年9月18日発売)の記事「スペシャリストのTea Time」をWEB用に再構成して掲載しています