ポルシェ 911


定価が存在しない中古車の価格は、「普通なら」新車価格を頂点に新しいモノから古いモノに向かって下がって行きます。ここに人気と流通量という需要と供給のバランスが複雑に加わることで相場が形成されています。

なので、中古車には良いモノを安く手に入れられるタイミングやラッキーゾーンが存在するのです。ここに、「安く買えた」「得した」という中古車最大の「うま味」が凝縮されていると言ってもいいでしょう。

ただ、人気がありすぎて「普通なら」がまったく通用しない相場が形成されているモデルが一部存在します。ポルシェ 911もそんな希なモデルのひとつなのです。本日9月11日はポルシェ 911の日? ということで、歴代911の中古車に注目してみました!
 

新車時価格をはるかに超える、プレミア価格となっている世代も!

ポルシェ 911は、1964年の初代(901型)登場から60年弱もの歴史を誇るロングセラーモデルで、2019年に登場した現行型(992型)で8世代目となります。伝統的に水平対向エンジンを後輪車軸の後ろに配置するという独特なレイアウトを貫いているスポーツカーです。911のようなレイアウトを採用するモデルは、世界を見渡しても数えるほどしか存在しません。

速く走るために、このレイアウトで得られるメリットを最大限生かし磨き上げてきた911は、他のブランドのスポーツカーファンも一目置かざるを得ない存在です。それが、数あるスポーツカーの中でもまったく衰えない人気を支えている要素のひとつなのかもしれません。

911は、いつの時代のモデルもスポーツカーとしての性能の高さは一級品です。ゆえに世代ごとに熱狂的なファンがついているのです。また、輸入車ファンによる「ポルシェは壊れにくい」という評判も相まって、古い絶版モデルでも相場がまったく下がらないという特殊な状況を作っています。それどころか世代やグレードによっては新車時価格を大幅に超えるプレミア価格となっているのです。

911のように、相場動向が一般的な車と異なる場合、中古車を買う「うま味」はどこにあるのでしょうか。そのあたりを探るため、歴代モデルごとに現状の流通と相場状況を調べてみました。
 

ポルシェ 911▲1988~1993年に販売されていた964型は、空冷エンジン時代の超人気モデル

964型と呼ばれる空冷エンジン時代のモデルです。30年ほど前の車にもかかわらず、今でも70台前後の流通量があります。

価格帯は700万から驚きの4450万円。ただ、流通台数の半数以上が「応談」という状態のため、相場の実態はつかみきれません。こうなると、もはや中古車ならではの気軽さや新車時より安く買うという「うま味」は皆無です。さらに、相場は年々上昇していますので、趣味人レベルのマニアしか手が出せないような芸術品にまで昇華してしまった感があります。

964型の中古車については、新車時価格や他モデルとの相場比較などしている暇があったら、ライバルたちよりも先に、そして相場がさらに上がる前に、今すぐ買ってしまうことで最も「うま味」を発揮するモデルなのかもしれません。
 

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ポルシェ911(964型)×全国
ポルシェ 911▲1994~1998年に販売されていた993型は、空冷エンジン時代の最終モデル

993型と呼ばれる空冷エンジンの最終モデルです。20年以上前の車にもかかわらず、993型も現在70台前後が流通しています。

新車時価格帯は910万~1930万円のようでしたが、現在の中古車価格帯は600万~3000万円です。先代となる964型同様、流通台数の半数以上が応談なので、993型もやはり相場の実態はつかみにくいモデルです。現状、大半の物件が当時の新車価格を超えるプレミア価格になっていると言っていいでしょう。

応談物件の中には走行距離1万km台のフルノーマルという物件もありました。このようなお宝物件は、一体いくら用意すれば手に入れられるんでしょうか……。空冷911、末恐ろしい世界です。
 

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ポルシェ911(993型)×全国
ポルシェ 911▲1998~2004年に販売されていた996型は、水冷エンジン時代の初代モデル。911としては5世代目

996型は、車体やエンジンといった基本設計を刷新し、一気に近代化&高性能化したモデルです。エンジンを水冷化した初の911でもあります。

新車時価格帯は990万~2344万円(GT3除く)でした。中古車価格帯は180万~1900万円と、現時点では新車時よりお得に買えそうな相場を形成しています。

調査時点の流通量は90台前後。応談物件は全体の3割ほどなので、911を真剣に買おうと考えているならば、狙い目の世代と言えそうです。全体的には自然吸気エンジンの「カレラ」の流通量が多く、「ターボ」に比べても安価で流通しています。

MT車とティプトロニックと呼ばれるAT車ではややMT車の方が高いかな、というレベルなのでミッションにこだわりがなければ、装備や色、そして実車のコンディション重視で選ぶのが良さそうです。

ただし、のんびり構えているうちに突如相場が上昇してしまう可能性も無きにしも非ず。善は急げ、とも言いますし、気に入った1台に出会えたならば早めのアクションが吉と出ると思われます。
 

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ポルシェ911(996型)×全国
ポルシェ 911▲2004~2011年に販売されていた997型。911としては6世代目にあたるモデル

997型では、996型で採用したライト形状を廃止し、伝統の丸目型に戻しています。登場時は、911ファンの多くが大喜びしたとかしないとか。

新車時価格は1046万~2740万円でした。現在の中古車流通量は200台前後で、価格帯は350万~3700万円とかなり幅があります。ボリュームゾーンは600万~700万円くらいのようなので、997型は中古車で買う「うま味」が残っている世代と言って良いかもしれません。

ただし、空冷世代の相場上昇と、世代交代のたびに高くなる後継モデルの新車価格に挟まれている911の中古車相場の谷間となるこの世代の相場が、このまま安定しているとはとても考えられません。後々振り返ってみれば、あの時が「うま味MAXのベストタイミングだった……」と後悔する前に手に入れることをオススメします。
 

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ポルシェ911(997型)×全国
ポルシェ 911▲2011~2019年に販売されていた991型。911としては7世代目にあたるモデル

991型は、さらなる高性能化に伴いボディサイズをアップし、よりワイド&ローなスタイリングを手に入れています。さらに、骨格などに使用する素材の変更によって997型よりも軽量化していることから、スポーツカーとしての性能がより鋭さを増していることは想像に難くないでしょう。

新車時価格は1115万~3656万円(GT2 RS PDK含む)です。現在の中古車流通量は320台で、世代別では最も豊富です。価格帯は660万~4500万円。現在、新車時価格帯を超える4000万円以上の値が付いている物件は、GT2 RS PDKという超スパルタングレードでした。また、「GT」系や「ターボ」系グレードの高品質物件は、新車時価格のような相場となっています。応談物件は全体の10%程度しかなく、「カレラ」ならば、予算1000万円で比較的選べる状態です。なお、「カレラ」は後期型から自然吸気エンジンがターボエンジンに変更されています。この変更によって、前期型は自然吸気エンジン最後のカレラとなったため、マニアの注目度は高いはずです。

991型は、新車時より安く買える中古車の「うま味」あり物件が存在する一方、一部の物件は新車時を超えるプレミア価格が付いています。このことから、相場上昇に向かって動き始めていると見るのが妥当です。年式的にもまだ新しく、この瞬間が最も豊富な品揃えの中から選べるタイミングなのだと考えれば、現在最も真剣に狙うべき911はこの991型なのかもしれません。
 

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ポルシェ 911▲2019年に登場したばかりの現行型911。通称992型と呼ばれる8世代目にあたるモデル

2019年に登場した現行型となる992型。先代まで自然吸気エンジンを搭載していたグレード「カレラ」もターボエンジン化しました。これによって、より優れたパフォーマンスと燃費を両立しています。自然吸気エンジンのフィーリングが好きだったファンはがっかりしたかもしれませんが、「最新の911が最良の911」と言われ続けてきたモデルだけに、992型は歴代911の中で最も優れた性能を有していると言って間違いないでしょう。

新車価格帯は1398万~2892万円です。中古車流通量は70台前後で、価格帯は1560万~3300万円です。まだ登場から2年程度かつ、新車でも手に入れられる今は、中古車の相場も新車の定価からあまりかけ離れてはいません。

992型を中古車で狙う「うま味」ですが、新車より安く買えることはあまり期待できません。ただ、世界的な半導体不足の影響によって、新車の製造遅れが生じている昨今、すぐに手に入れたいという納車スピード重視の人にとっては、中古車が最速かつ最良の選択となります。992型は、来年の夏以降に登場より3年目、つまり初回車検を迎えます。車検タイミングに流通量が増えるのが中古車のセオリーですので、992型を中古車で購入する「うま味」が高まる最初の時期は、1年後にやってくると予想します。
 

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ポルシェ911(992型)×全国

今、中古車の旬を迎えている911は991型!!

中古車の「うま味」を、最大限享受できる911のモデルおよびタイミングですが、結論として、現行型(992型)は「来年の夏前後まで待つ価値あり」、絶版世代は待つほどに条件が厳しくなる可能性があるので「基本的には常に今がベストの買い時」と考えておいた方がよさそうです。中でも、現在絶好の旬を迎えているのが991型ですので要チェックを!

一方、歴代モデルの中でも比較的低予算で狙える996型、997型ですが、一部にインターミディエイトシャフトというエンジン系部品の故障報告例があるようです。発生してしまうと多額の修理費、またはエンジン交換が必要となります。「ポルシェは壊れにくい」という評判がある一方、工業製品である以上どの世代にもウイークポイントがあるという理解は必要です。なので、購入時は価格や見た目だけに惑わされることなく、販売店の方からしっかりとした説明やアドバイスを受けて判断するようにしましょう。
 

文/EDGE編集部、写真/篠原晃一、ポルシェ