新型ホンダ ヴェゼルは「ジェネレーションCの生活をアンプアップする」パートナー! 大ヒットモデルの商品企画が語る先代ありきではない車づくり(後編)
2021/08/01
新型ヴェゼルのグレードはたった4つだけで大丈夫なのか!?
前編では新型ヴェゼルが何にこだわってつくられてきたのか、そのコンセプトやターゲット、車を見ながら具体的にと、いろいろ伺いながら紹介してまいりました。
こちらの後編では、たったの4つとすっごくシンプルになったヴェゼルのグレードや、最近のホンダに西村が感じている変化について、引き続きガンガン聞いていきたいと思います!
本田技研工業株式会社 商品企画部
池田さん
2021年にフルモデルチェンジした2代目ヴェゼルの商品企画を担当した。現在はさらに先の未来を見据えたモビリティを企画している。
インタビュアー
カーセンサー編集長 西村泰宏
カーセンサーおよびCarSensor EDGE編集長 兼 リクルート自動車総研所長。自動車メディアを車好きだけでなく、車を購入するすべての人のエンターテインメントに変革すべく日々の仕事に従事。愛車はKJチェロキーと986ボクスターの2台にて、SUVとオープンカーのハイブリッド生活中。3児の父として、チャイルドシート、ジュニアシートにはRECARO製をチョイス。好きなものはスニーカー、ハンバーガーとアイス。
さて、後編です。実は今回のヴェゼルで最も注目しているポイントがありまして。
なんでしょう?
ズバリ、たった4つに絞られたグレードについてです! カーセンサー調べによりますと、先代ヴェゼルは最後8グレードまでラインナップが拡充したと思いますが、一気には・ん・ぶ・んです。そして何より、大ヒットモデルなのに4グレードだけということが異例かと。
そうなんですよ、実はここはすごくこだわって、いや、悩みに悩んで絞っていったんです!
2~3年前ですか、前八郷社長時代の会見で今後の方針としてモデルやグレードは絞っていくという主旨の発表はされていましたが。エース級のヴェゼルでもグレードを幅広く用意できないくらい採算厳しいのかな……とか、ネガティブにも見られる方もいらっしゃるはずですが。
とはいえ、ディーラーなど営業サイドからの要望は何かとありますよね?
はい、もちろんそれはありました。一般的にも選択肢は多い方が良いと思われがちですが、実は多すぎて分かりにくいという意見がお客さんからも販売店からも出ていたんです。買う方も売る方も、一番ベストなものを選べているのか自信をもてなくなるんですよね、多すぎると。
よく分かります! カーセンサーもグレード別の購入ガイドは十八番ではありますが、ヒットモデルを扱うときはそれはそれは複雑でして……編集者泣かせなんです。だから、今回の4つに絞るという決断をすごく前向きに捉えています、我々は!!!
ありがとうございます(笑)。もちろん議論はたくさんしましたが、例えば値段を安く見せるためのエントリーグレードなど一切設けず、単純にあった方が良いと思う装備を備えたe:HEVのモデルで、まずは上下(ZとX)を設定しました。あとはガソリンが良い! というお客さんのためのG、そして+αの価値を最も表現するためにPLaYを用意しています。
プレイ、自動車メディアの編集者として恥ずかしながらまだキチンと覚えられてないんですけど大文字と小文字が混ざってますよね?
混ぜてます。aのみ小文字であとは大文字です。
ここにはどんな意味が?
遊び心をグレード名にもってことで大きな意味はとくにないです。だから、大文字小文字のいろいろなパターンを並べてみて、みんなでこれがしっくりくる! というものを選びました。
それが、aだけ小さいPLaYなんですね、もう覚えました! 今までこういう遊び方ってあんまり記憶にないんですけど?
新しい取り組みですね! 同じような例として、PLaYのグリルには赤白青のワンポイントが付いているのですが、色はホンダに縁がある3色なんですけど、白は膨張色なので一番奥になるように、あとの2色はみんなで並べてみながら決めました。
なんかヴェゼルの開発現場は楽しそうですね!
はい、まさしくPLaYですね!
少し話が変わりますが、最近のホンダさんってやることがなんだか楽しそうですよね。コンセプトがすごく明確で、しかもそれをちゃんと打ち出している。もちろん、ビジネス的な採算は裏側で相当計算されているんでしょうが、はたから見ると思い切りがいいというか。
そう感じますか?
はい、2019年のモーターショーくらいからでしょうか、会社の歴史をスチャダラパーがラップで紹介していたり。
ありましたね(笑)。
ホンダマンスリーオーナー(認定中古車のサブスクサービス)のラインナップにS660が入ってたり。昨年発売されたフィットも「心地よさ」がキーワードだったりと、なんだかワクワクすることが多いです。キッカケはあるんですか?
これといったキッカケはないのですが、単純にお客様目線で何が求められている価値なのか? ということを改めてみんなで追求しだした感じはあるかもしれません。
トップやある人が号令かけてるとかではなく? 例えば、三部新社長とか?
そうですね、特に特定の人ではないかも。フィットなんかは分かりやすい例ですが、1つ前の世代だとウリは燃費とか広さとかってスペックで表現してました。でも、数字が1変わってもほとんどの場合、その人の生活には変化を及ぼしません。
細かい数字の差異を我々が感じること自体がそもそも不可能かもしれませんね。
もちろん、セールスポイントとしての数字は分かりやすいんですが、やっぱりお客さんに生活がよくなりそうって感じていただけるものをつくって届けたい。だから、感じ取ってもらえそうなものを一生懸命つくったり発信しているんだと思います。
いい話ですね! まんまと感じ取ってしまってます! とはいっても台数も……?
はい、そこの数字はもちろん大事なのでぜひ(笑)!