憧れだった海沿い暮らしで可能になった、ホンダ N-BOX+で楽しむマリンライフ
2020/08/19
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
4人家族+ギア。どうやってすべての荷物を積んでいる?
SUPフィッシングというスポーツがある。ここ数年で楽しむ人が増えたスタンドアップパドルボード(SUP)で沖に出て、陸からでは届かないポイントで大物を狙う釣りだ。
このSUPフィッシングを趣味にしている小川将司さんの愛車は、ホンダ N-BOX+(初代)。取材の日も、SUP、ウエットスーツ、2本のロッド、ルアーなどを積んで2人の子供と湘南の海に訪れていた。
室内空間の広さが自慢の軽自動車とはいえ、よくこれだけの道具を積み、家族を乗せて海に来られたな……というのが、筆者の率直な印象。
そんな疑問を素直にぶつけると、小川さんは笑いながらカラクリを教えてくれた。
「僕が使っているSUPはインフレータブルタイプ(空気注入式)なので、使わないときはクルクルと丸めてコンパクトに収納できるんです」
なるほど! だから軽自動車でも後部座席を格納せずにSUPフィッシングの道具を積むことができるのか。
だが、小さなお子さんとレジャーを楽しむときは、着替えなどで荷物がかさばるもの。4人家族だと車内はかなりぎゅうぎゅうになるに違いない。
ところがその点も大丈夫だという。なぜなら小川さんファミリーは8年前に海沿いの街に移住。今では近所の公園に遊びに行く感覚で海を楽しんでいる。
だから着替えをたくさん持っていく必要もないし、忘れ物をしたら家まで取りに戻ればいいので、気が楽になったそうだ。
埼玉県出身の小川さんは子供の頃から海に対する憧れが大きく、高校生でサーフィンデビュー。先輩の車に乗せてもらい海に通ったという。
免許取得後は中古車でハイラックスサーフを購入。そして、サーフが動かなくなるまで毎週のように地元・埼玉と湘南や外房の海とを往復した。
学校卒業後は伊豆のリゾートホテルでブライダル関連の仕事に就き、数年後に本格的にブライダルを学ぼうと、都内の結婚式場に転職。
「仕事は真面目にやりましたが、一方で休日は海で過ごしたい。だから住まいは職場と海の中間あたりを選んでいました。当時乗っていたのは初代ステップワゴンですが、これも20万km以上乗りました」
独身時代、海に行く時間を無駄にしたくないから荷物が満載に
ここで読者のみなさんに質問が。家族とキャンプに出かけたが、キャンプ場についたら強い雨が降っていた。あなたならどうするだろうか?
あるいはサーフィンを楽しみに友人と海に行ったら、波が全然立っていない。そのとき、どうするだろうか?
ほとんどの人は「せっかく遊びにきたから……」と雨に濡れながらテントを立てるだろうし、凪いでいてもとりあえずは海に入ってみるはずだ。
実際、小川さんに会った日も波はほとんど立っていなかった。
小さな子供を連れたファミリーにとっては波打ち際で遊ぶのにちょうどいいが、わざわざ車を走らせて海までやってきたサーファーは残念だったに違いない。
それでも何人かのサーファーは、諦めきれずに海に入っていく。
「彼らの気持ちはよくわかります。ハイラックスサーフやステップワゴンに乗っていた頃は僕も同じように、波がなくても一日中海に入っていましたから」
少しでも波が立つポイントに向かってパドリングするサーファーを見ながら、小川さんは当時を振り返る。
「日の出前に家を出て、100kmくらい走って海まで来ていますからね。波がないから帰ろうという気分にはとてもなれませんよ。当時はサーフィン以外にバス釣りもやっていて、海に着いたらとりあえずサーフィン。粘っても波が立たなければ、諦めて帰り道にある池やダムでバス釣りをしていました。ふたつの趣味の道具を積んでいるのだから、当然荷物は増えますね」
ただ、結婚して海沿いの街で暮らし始めてから、海との関わり方は大きく変わった。
ちょっと車を走らせて、波がなければ「また来ればいいか」と思えるようになったのだ。
だから道具を満載にしてどんな状況にも合わせる必要がない。そのゆとりで、選ぶ車も大きく変わったという。
「N-BOX+を買うときはどれだけ荷物が積めるかよりも、小回りが利くかとか、燃費が良いかなど、普段使いのことを考えました。小さくて取り回しがいいから妻も運転しやすいと言っています」
小さな車に家族で乗ると、宝箱の中にいる気分
とはいえ、小川さんファミリーが車で気軽に出かけられるのはあくまで近所の海の話。年に何度か、家族で旅行に行こうという話になったら大騒ぎだ。
アウトドア好きの小川さんファミリーにとって旅行といえばキャンプ。
テントやイス、テーブルなどを積み、さらに旅先でも楽しみたいからと小川さんはSUPも荷室に積み込む。
とてもじゃないが荷室だけでは荷物が積み切れず、後席や助手席の足元にも荷物を置き、家族4人がぎゅうぎゅう詰めになって出かけるという。
「普段は余裕をもって乗れるから、荷物が満載で移動するのは非日常。普通の人だとドン引きするような状態の車に家族4人が乗って出かけるのはものすごく楽しいですよ。まるで宝箱の中に家族で入っているような感覚でドライブしています」
小川さんの話を聞いて筆者の頭に浮かんだのは、小さな車に家族全員が乗り込み旅に出るヨーロッパの人々の姿だった。
数週間のバカンスを楽しむ習慣があるヨーロパの人々は、小さな車しか持っていない人もたくさんの荷物を積んで旅に出る。
もちろんコンパクトカーだと荷室に積める荷物は限りがあるから、足元や膝の上にもバッグを置いてドライブしているという。
そういえば筆者も20代の時に、男4人で友人のクラシックミニに荷物を満載にして八ヶ岳までドライブしたのを思い出した。
真夏に荷物だらけの車の中にいるから全員汗だくだが、これまで体験したことない楽しさがあったのを覚えている。
小川さんはこれからも家族とギアという“宝物”をいっぱいに積んで、N-BOX+でのドライブを楽しんでいくはずだ。
小川将司さんのマイカーレビュー
ホンダ N-BOX+(初代)
●購入金額/約175万円
●年間走行距離/約6000㎞
●マイカーの好きなところ/コンパクトさ
●マイカーの愛すべきダメなところ/特になし
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/アウトドアの趣味がある、家族持ちのパパ
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL
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