ちょいレトロな車好きが社用車に選んだのは、あえてチープにしたメルセデス・ベンツ Vクラス
2019/10/07
車を洋服のように乗りこなせたら
アクアリウムを扱う会社を経営する浦田恭資さん(36歳)。
仕事柄、大きな荷物をたくさん積む機会が多く、荷室容量のある車を探していた。会社がある大阪から東京まで走ることもあるので、長距離ドライブを難なくこなすことも条件になる。
浦田さんはもともと古い車が好きで、これまで30年以上前の日産 グロリアワゴンなどを乗り継いできたという。
ただ、このような車だと東京まで頻繁に出かけるのは難しい。
一方で、多くの時間を車と過ごす浦田さんは、妥協せず本当に気に入ったものを選びたかった。
古い雰囲気をまとう車を中心に探し始めたが、なかなかこれだと思える1台が見つからない。
そんなときたまたま行きつけのBARで出会ったのが、ゼロカートラブルという中古車販売店を営む三上さんだ。
「自分の好みや使い方などを相談したところ、メルセデス・ベンツのVがいいんじゃないかということになって。さらに『チープアップという見せ方もある』と教えてもらったんです」
酒の席だったこともあり、後日、あらためて店を訪ね、話をした。
「そこであえてシンプルにチープさをまとわせるという、三上さんのスタイルに共感をして。早速製作を依頼しました。
常々、車を洋服のように乗りこなせたらいいなと思っていて。服は組み合わせるもの次第で、いろいろなアレンジが楽しめる。でも車はメーカーが用意した数少ない見せ方、使い方から選ばないといけない。それがどうもしっくりこないという話をしたんです」
名前は思い出せなくても、車のことを覚えてもらっている
浦田さんは以前、自身で愛車のカスタムを試みたことがある。
しかし、仕事が忙しく時間が割けず「薄っぺらい知識のままで手をつけたら中途半端で終わるだろう」と諦めた。
「僕は素人だから、例えばカタログを見てこのホイールにしよう、こういうカスタムにしようと言われても全体をイメージできませんでした。
でも、三上さんに『こんな車に乗りたい』と話すと、『だったらこんな感じは?』と、車の雰囲気を伝えてくれて。それがすごくよかった」
そして2年前、商用車っぽさを意識した初代Vクラスのチープアップカーが浦田さんのもとに。
今は、仕事の相棒として全国を飛び回っている。
ある会社では社員が浦田さんの名前を思い出せず、「ほら……あの大きくてかわいい車に乗っている人」と呼ばれたことも。苦笑いしながらも、どこか親しみを感じ、うれしかったという。
個性的なVクラスは、仕事以外でも人の心を引きつけている。
浦田さんはフリーマーケットが好きで、アンティークな家具や古着を販売することがある。
Vクラスでフリマに行くようになってからお客さんの集まりがよくなり、商品が売れやすくなったそうだ。
きっと浦田さんとVクラスの雰囲気がうまくミックスされ、車を含めた空気感が周囲の人をほっこりした気分にさせていたのだろう。
「僕自身もVクラスの空気感がすごく好きで。たまにこの車が走る姿を見たくなるんですよ。そんなときは会社のスタッフに運転してもらって別の車から後ろ姿を眺めています」
浦田さんにとって、車はお気に入りの洋服やアクセサリーのようなもの。
大切な自分のコレクションのひとつだから、生活に溶け込んで自分と一心同体になるようなものを選びたい。
多くの人が同じような選び方をすることができたら、もっと楽しめるのにと感じている。
Vクラスを見て、「僕もこういう雰囲気の車に乗りたい。でも壊れませんか?」と聞かれることがあるそうだ。
「僕は『そんなことを気にする前にとりあえず乗ってみたらええやん』って思います。乗る前から心配事を抱えるのではなく、まず楽しんじゃう。少しくらい調子が悪くなっても、それをおもしろおかしく楽しめばいい」
そういったうまくいかないことも含め、スタイルというのはできあがっていくのだろう。
現在発売中のカーセンサー11月号では、浦田さんのように、“個性が出せてかつフツーに乗れる車”を特集している。
自分の趣向に合った車を手に入れたオーナーや、人とかぶらない車を製作・販売するお店も多数掲載。
あなたにピッタリはまる“個性車”を、ぜひ誌面でもチェックしてみてほしい。
インタビュアー
高橋 満(たかはしみつる)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL
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