▲外板パネルが次期ヤリスから流用され、樹脂ガーニッシュなどの外装パーツを追加することで、クロスオーバー仕様が作り出される。ポイントはアクティブな印象をもたらす高めの車高だ。もちろん、次世代シャシーとエンジンを採用 ▲外板パネルが次期ヤリスから流用され、樹脂ガーニッシュなどの外装パーツを追加することで、クロスオーバー仕様が作り出される。ポイントはアクティブな印象をもたらす高めの車高だ。もちろん、次世代シャシーとエンジンを採用

一度は計画されたのに、消えた幻の3代目ist

トヨタがC-HRより下に位置するBセグメントSUVの開発を進めている。欧州を中心にモデル数が増えている同ジャンルにトヨタが投入するのは、ヴィッツ後継車として2020年に発売される、次期ヤリスの派生車だ。

まだ、SUVブームが現在ほど盛り上がっていない頃、2002年から14年間ほど販売されていた、istを覚えているだろうか。ヴィッツと同じBクラスプラットフォームに、約20mm高い車高、実際よりもタイヤが大きく見えるデザイン処理など、コンパクト市場で成功を収めた。

幅広い層に支持された初代ではあったが、2代目は海外マーケットのニーズにも応えようと、欲を出してしまった。このことが裏目に出てしまい、トーンダウンするカタチで2016年に静かにフェードアウトしていった。

2000年代後半からのSUVブームを見据え、実はトヨタは3代目istの投入計画を練っていた。だが、「istのキャラクターでは中途半端すぎるのではないか?」「Bプラットフォームに大径タイヤを履かせるには限界がある」といった理由で白紙に戻された。

プランニングし直した結果、生まれたのがC-HRだ。「こんなにもSUVが増えているのに、C-HRの登場は遅かった」という声も聞かれるが、遅れた理由は前述したような仕切り直しがあったためだ。

C-HRには、Cセグメントのシャシーとパワートレインが使われているため、istよりワンランク上の車に仕上がっているが、世界的な視点でマーケットを見渡すと、最低限必要なサイズといえよう。

▲2002年に発表されたヴィッツベースのコンパクトSUVがistだ。タイアの踏ん張り感が強調されたデザインと背高のパッケージングがウケた▲2002年に発表されたヴィッツベースのコンパクトSUVがistだ。タイヤの踏ん張り感が強調されたデザインと背高のパッケージングがウケた
▲海外市場も意識した結果、全幅は1725mmに拡大されて、3ナンバー幅となった2代目ist。クオーターウインドウが廃止されるなど、室内の開放感は初代より低下▲海外市場も意識した結果、全幅は1725mmに拡大されて、3ナンバー幅となった2代目ist。クオーターウインドウが廃止されるなど、室内の開放感は初代より低下

次期ヤリスに設定される、ist後継車

現在、istの再来と言えそうなモデルが、トヨタ内部で計画されている。

スクープ班がつかんだ情報によると、国内でもヤリスに改称される次期ヴィッツに、世界的な潮流に合わせてクロスオーバーテイストを盛り込んだモデルをラインナップする予定だという。

TNGA世代のBプラットフォームに、高めの車高やSUVを連想させる外装パーツが装備されて、プチSUVと呼びたくなる1台に仕立てられる模様だ。これこそ、かつてトヨタが成功させたistの手法そのものではないか。

次期ヤリスには、1Lから1.5L級のエンジンが搭載される予定だが、お伝えしている派生クロスオーバーは、やや上級に位置づけられるようで、エントリーモデルに1.3L、中核モデルに1.5Lのエンジンが与えられる。どちらもTNGA思想の下で開発が進んでいる3気筒ユニットだ。

1.5Lハイブリッドもラインナップされる反面、ヤリスと違って1Lモデルは設定されない。また、見掛け倒しに終わらないよう、4WD車も用意される。

9月26日にお伝えしたとおり、くしくも、ホンダが次期フィットでクロスオーバー風味の強い、WR-Vを国内導入する旨を検討しており、プチSUVの分野でも、トヨタとホンダのガチンコ勝負が繰り広げられることになりそうだ。

 

※2018年9月29日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません
 

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期:2020年
■全長×全幅×全高:3995×1735×1580(mm)
■搭載エンジン:1.5L 直4+モーター 他

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、トヨタ