▲2世代(15年間)でブランドが終了したウィッシュ。始まりは、ホンダ ストリームの競合車を送り込むプロジェクトで、初代が大ヒットしたことは記憶に新しい ▲2世代(15年間)でブランドが終了したウィッシュ。始まりは、ホンダ ストリームの競合車を送り込むプロジェクトで、初代が大ヒットしたことは記憶に新しい

約半年の間に国内で5車種を廃止

新型車を華々しく投入している裏で、トヨタの車種整理が続いている。継続生産車も歩行者脚部対応を迫られた2018年春、相次いで5つものブランドがラインナップから消えた。この後も廃止が予定されている車はまだありそうだ。

あまり知られていないが、2017年秋以降トヨタはいくつもの車種にピリオドを打ち、商品ラインナップから引っ込めた。消え去った車は、ウィッシュ(2017年11月終了)、アイシス(2017年12月終了)、FJクルーザー(2018年1月終了)、オーリス(2018年3月終了)、アベンシス(2018年4月終了)。

約半年の間に5つものブランドが廃止された。ウィッシュとアイシスは、低全高ミニバンが下火になった影響もあり、モデルチェンジされることなく消滅。

ファンも多かったFJクルーザーは、2010年から国内販売されてきたが、じつは海外では06年から売られていたロングセラーで、環境性能のアップデートが難しいといった課題もあった。

オーリスはカローラハッチバックとなり、現行モデルの販売が終了。

そして、英国から輸入販売されてきたアベンシスは、いまのところモデルチェンジの予定もなく、いずれ欧州での生産と販売も終了する見込みだ。

▲ラウムと同じく、助手席側センターピラーがドアに内蔵されて、大きな開口部を誇ったアイシス。2004年に販売されて、13年という長いモデルライフをまっとうした▲ラウムと同じく、助手席側センターピラーがドアに内蔵されて、大きな開口部を誇ったアイシス。2004年に販売されて、13年という長いモデルライフをまっとうした
▲北米より4年ほど遅れて、国内導入されたFJクルーザーは、往年のランクルをモチーフにデザインされて、遊び心を感じさせた1台だった。後継車を開発中か▲北米より4年ほど遅れて、国内導入されたFJクルーザーは、往年のランクルをモチーフにデザインされて、遊び心を感じさせた1台だった。後継車を開発中か
▲シャア専用オーリスの設定は話題を呼んだが、販売の底上げにつながったかどうかは懐疑的。ヨーロッパではモデルチェンジ後もオーリスを名乗り続ける▲シャア専用オーリスの設定は話題を呼んだが、販売の底上げにつながったかどうかは懐疑的。ヨーロッパではモデルチェンジ後もオーリスを名乗り続ける
▲英国から輸入販売されてきたアベンシスは、モデルチェンジの予定もなく、欧州でもカムリとオーリスツーリングスポーツが、後継車に充てられるようだ▲英国から輸入販売されてきたアベンシスは、モデルチェンジの予定もなく、欧州でもカムリとオーリスツーリングスポーツが、後継車に充てられるようだ

こうした新陳代謝は昔から行われており、ここで改めて懐かしい車名を列挙するまでもないだろう。そして、この後も同様の動きはもうしばらく続きそうだ。すなわち、モデルチェンジが行われないまま、ブランドが打ち切られる車の予備軍はまだ存在している。

バブルを象徴したあのセダンも消滅か

スクープ班が予想する次のターゲットは、マークXだ。同車は1968年に発表された、コロナマークIIにルーツを有するFRセダン。

バブル期には、兄弟車のチェイサー、クレスタと合わせて月販2万台を記録したほど。しかし、セダン不振のあおりを受けて販売台数は下降。2004年にはイメチェンも狙って、車名が現在のマークXに変更された。

駆動方式こそ違えど、マークXと車格の近いカムリが、トヨペット店に投入されたことを鑑みると、オーバーラップする期間を経て、マークXが消え去る運命にあることを暗示しているにほかならない。

▲2代目にあたる、現行マークXは、2009年にデビューしてから丸8年が経過している。カムリがトヨペット店に投入された事象を加味すると、マークXの世代交代はないだろう。▲2代目にあたる、現行マークXは、2009年にデビューしてから丸8年が経過している。カムリがトヨペット店に投入された事象を加味すると、マークXの世代交代はないだろう。

BC戦争を生き抜いたあのモデルも

マークXと同じくモデルチェンジされる可能性が低いモデルが、プレミオとアリオンだ。こちらは、5ナンバー幅に収まるよう設計された国内向けのセダンで、コロナ/カリーナの時代から、脈々とポジションを受け継いで今日に至っている。

現行モデルは2007年に発売され、発売後9年が経過した2016年に歩行者保護対応をも目的としたビッグマイナーチェンジが実施された。

だが、2017年2月28日に紹介したとおり、次期カローラが国内でも3ナンバー化された後、ラインナップ内でのポジションが入れ替わって、下剋上が起きてしまう。


そのため、2019年とも目されている、カローラのモデルチェンジと前後して、プレミオ/アリオンは廃止されるのでは? との見方もある。

▲2016年6月のマイナーチェンジでフロントノーズが共通化された、プレミオとアリオンの兄弟車(画像はアリオン)。カローラが3ナンバー化されるとラインナップ内で下剋上が起きるため、同時期に廃止か▲2016年6月のマイナーチェンジでフロントノーズが共通化された、プレミオとアリオンの兄弟車(画像はアリオン)。カローラが3ナンバー化されるとラインナップ内で下剋上が起きるため、同時期に廃止か

やめたくてもやめられないモデルも

実はやめたくてもやめられないモデルもある。その筆頭がエスティマだ。ヴェルファイア/アルファードという大人気ミニバンが存在しているにも関わらず、いまだにトヨタが同車の販売を打ちきれないのは、地味ながらも根強く支持されているからだ。

ヴェルファイア/アルファードの押し出しの強さを敬遠するユーザーが存在することは、説明するまでもなく、流線形フォルムは、彼らにウケがいい。

とはいえ、永遠に改良を積み重ねて、現行モデルを売り続けるのは不可能。そこで、トヨタ社内で検討されているのは、2017年4月22日でご紹介した、プリウスαとの統合である。エスティマの名にふさわしい流線形が作り出されるか、開発陣の腕の見せどころとなりそうだ。


大きなスライドドアが自慢のポルテ/スペイドも進化が難しい1台。5人乗りの背高2BOXは、需要が減っていることもあって、将来が危ぶまれるが、大開口ドアを生かした福祉車両が用意しやすいメリットもあるため、何らかの形で存続することを願いたい。

※2018年7月3日現在における予測記事です。発表を保証するものではありません

text/マガジンX編集部
photo/トヨタ