▲「何これ?」お店に入るなりBoseさんが近寄っていたこの車、みなさんは知っていますか? ▲「何これ?」お店に入るなりBoseさんが近寄っていたこの車、みなさんは知っていますか?

都心のど真ん中にある、昭和から時間が止まった中古車販売店

1990年のデビュー以来、日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMCであり、中古車マニアでもある、Boseが『カーセンサーnet』を見て触手が動いたDEEPでUNDERGROUNDな中古車を実際にお店まで見に行く不定期連載! 今回は1960年代に製造されたアメリカ車をはじめ、超希少なマニアックモデルチェック!

▲F31型日産 レパードをベースに開発されたステルビオ。新車時の価格は約1800万円! ▲F31型日産 レパードをベースに開発されたステルビオ。新車時の価格は約1800万円!

オーテックザガート ステルビオというバブル期に世界でたった200台だけ生産されたスペシャルモデルに出合ったBoseさん。本企画の取材で、さらにプライベートでも様々な中古車販売店に足を運んでいるが、この高輪自動車は、これまで訪れたどの店とも違う独特な雰囲気を感じたという。



▲港区白金という都心の一等地にある高輪自動車。周囲には高級タワーマンションやお洒落なレストランが立ち並ぶ一角に、築80年の古い工場がポツンとある ▲港区白金という都心の一等地にある高輪自動車。周囲には高級タワーマンションやお洒落なレストランが立ち並ぶ一角に、築80年の古い工場がポツンとある

「そもそも店の佇まいが普通の中古車屋さんじゃないよ。どっちかといえば昭和から続く、頑固な職人がやっている整備工場という雰囲気だよね」

整備中、整備待ち、さらにはお客さんから預かっているものも含め、店頭に並ぶのは珍しい……というか、不思議な車だらけ。Boseさんと一緒に見ていこう。

スチュードベーカー アヴァンティ

▲独創的なリアのラインと大きな丸いフロントライトが特徴的な1963年式のアヴァンティ。Boseさんもその存在を初めて知ったそう ▲独創的なリアのラインと大きな丸いフロントライトが特徴的な1963年式のアヴァンティ。Boseさんもその存在を初めて知ったそう

「これはアメ車を専門に扱うお店でも集めないアメ車だね。僕も初めて見たよ。どんな車かまったくわからない。何という名前なんだろう」

不思議そうに車を見つめるBoseさんに小林社長が、かつてアメリカにあったスチュードベーカーというメーカーが作ったアヴァンティというモデルだと伝える。

アヴァンティは1963年に登場したクーペモデル。そのデザインや装備を見て当時のアメリカ人はアヴァンティを称賛し、実際かなりの注文が入ったそう。

ただ、その注文をメーカーがさばききれず(FRPボディ生産体制が整わなかったらしい)、アヴァンティが登場した同年末にアメリカ国内での自動車生産を打ち切ると発表せざるを得ない状況に追い込まれた。

国内ではめったに見かけないが、高輪自動車には一時期店頭にアヴァンティが2台並んでいたという。その光景は小林社長自身「気持ち悪かった」と笑う。

「フロントのボリューム感やリアのライン。とにかくデザインが凄すぎるよね。もし何かあっても普通じゃ直せないよ。まさに贅沢品。いったいどんなライフスタイルの人が、何を目指して手に入れようとするのか、まったく想像がつかないもの」

ジェンセン インターセプター

▲「うわ! なんでこんな車があるの??」とBoseさんも驚愕するモデルが、店の一番奥に隠れていた ▲「うわ! なんでこんな車があるの??」とBoseさんも驚愕するモデルが、店の一番奥に隠れていた

工場の一番奥に、かろうじてボディの一部が見えるような形でしまわれていた車。それを覗きこんだBoseさんが叫ぶ。

「これ、インターセプターじゃん! なんでこんなところにあるの?? 『グランツーリスモ』で何度か走らせたことはあるけれど、まさか実車を目にすることがあるなんて思わなかったなあ」

1976年までイギリスに存在したジェンセンコーポレーションが1966年から製造した高級スポーツモデルがインターセプター。「『凄くエンジンがでかい車』で検索するとでてくるやつ」とBoseさんが興奮気味に話すように、インターセプターに搭載されるエンジンは7.2L V8だ。

ボディカラーのマットブラックは、もちろんオリジナルではない。オーナーがマットブラックのアストンマーティン シグネットに乗っていて、それと同じ色に塗り替えたのだ。

「なんかもう無茶苦茶な話だなあ。自分の好きなことのためならどんなことでもやる。僕らみたいな人間には想像ができない世界だよ」

トヨタ センチュリー

▲1979というナンバーが付けられたこのセンチュリーは、その数字が示すとおり1979年式。39年前に作られたとは思えないボディの輝きだが、なんとオリジナル塗装! ▲1979というナンバーが付けられたこのセンチュリーは、その数字が示すとおり1979年式。39年前に作られたとは思えないボディの輝きだが、なんとオリジナル塗装!

昨年の東京モーターショーで3代目となる新型が発表されたトヨタ センチュリー。初代は1967年に登場し1997年まで作り続けられた。お店にあったものは1979年式だというが、とても40年近く前に作られたものとは思えない輝きをしている。

実はこれ、オーナーが買ってすぐに買ったことを忘れていて、ずっと納屋の中に眠っていたという。だから1979年式でも走行距離は6000km。雨風、紫外線に当たっていないので塗装状態も抜群。軽く磨いただけでこの状態になったそう。

「でた!! 納屋から凄い車が出てくるって都市伝説かと思っていたけれど、本当にあるんだ!」

小林社長によると、このような車は時折現れるそう。一般人にはとても想像できないが、お金持ちには数十台の車を所有している方もいるため、本当に買ったのを忘れてしまうこともあるらしい。

「僕らがイヤホンを買ったのを忘れて新しいのを買っちゃう。それと同じノリじゃん(笑)。本当にそんな世界があるんだ」

ホンダ モトコンポ

▲初代ホンダ シティのトランクにしまえたモトコンポには現在でもマニアがかなりいる。横には巨大なロールスロイス クラウドIIIが ▲初代ホンダ シティのトランクにしまえたモトコンポには現在でもマニアがかなりいる。横には巨大なロールスロイス クラウドIIIが

1981年にデビューし、文字どおり一世を風靡したホンダ シティ。モトコンポはシティのトランクに入る原付として開発され、当時はシティとセットで買う人も多かった。

「モトコンポはもう何年も前からキテるよね。最近も雑誌で特集していたな。僕も昔から好きなんだけど、まだ所有したことがないんだ。これは本気で欲しい!」

全国でたった3人だけのマニアのためにあるお店??

▲小林社長(写真右)と店を手伝う妹さん。妹さんは学生時代からスチャダラパーのファンで、Boseさんの来店に感激! ▲小林社長(写真右)と店を手伝う妹さん。妹さんは学生時代からスチャダラパーのファンで、Boseさんの来店に感激!
▲どんな車でも欲しい人が3人はいる。「ただ、全般的にお客さんは関西方面の方が多いですね。西が2、東が1という感じ」(小林さん)「それ、多いとかそういう話じゃないよ」(Boseさん) ▲どんな車でも欲しい人が3人はいる。「ただ、全般的にお客さんは関西方面の方が多いですね。西が2、東が1という感じ」(小林さん)「それ、多いとかそういう話じゃないよ」(Boseさん)
text/高橋 満(BRIDGEMAN)
photo/山本佳代子

――Information――

日比谷野外大音楽堂公演『スチャダラパー・シングス』の開催が決定!

毎年恒例となっている野音でのライヴが今年も開催。ぜひみんなも参加を!
出演:スチャダラパー
会場:日比谷野外大音楽堂
公演日時:2018 年4 月8 日(日)
開場時間:15:30 /開演時間:16:30
料金:前売¥6,500(税込) 全席指定
チケット発売日:1月27日(土)
INFO:HOT STUFF 03-5720-9999 www.red-hot.ne.jp
*4歳以上チケット必要、3歳以下膝上鑑賞可。ただし、座席が必要な場合はチケット必要。
*雨天決行・荒天中止