▲安全性能やボディ剛性を高めるためにサイズが一回り大きくなったNCロードスター。しかし初代から続く“人馬一体”の乗り味は失われていません ▲安全性能やボディ剛性を高めるためにサイズが一回り大きくなったNCロードスター。しかし初代から続く“人馬一体”の乗り味は失われていません

人気のNAとNBは相場が上昇中

1989年9月1日に日本デビューしたマツダ 初代ロードスターはこれまでに3回のフルモデルチェンジを敢行。昨年デビューした現行型は4代目となります。車好きの間では型式を取ってNA(初代)、NB(2代目)、NC(3代目)、ND(4代目)と呼ばれているロードスター。デビュー以来“ライトウェイトFRオープン2シーター”というコンセプトがぶれることなく、独自の進化を続けてきました。

しかし登場から27年以上経過しているにも関わらず、NAロードスターの人気は衰える気配がありません。昨今のネオクラシックモデルのブームもあり、中古車相場は大きく上昇。平均価格は1年間で約20万円もアップしています。中には車両価格100万円以上するものも存在するから驚きです。

また、NA型ほどではないですが、人気面ではヘッドライトがリトラクタブルから固定式に変わりエンジンが1.6Lと1.8Lの2タイプ用意されたNBロードスターも負けていません。平均価格はNA型よりも安い約55万円ですが、長く横ばいだった相場が夏から上昇に転じています。

NA型、NB型の楽しさは決してパワフルではないエンジンを思い切り回し、1t前後の小さくて軽い車体を後ろからぐいぐい押して走らせることにあります。ハンドリングも素直で軽快。パワフルではない分シビアになる必要もなく、気楽にスポーツ走行を楽しめます。そしてショートストロークのMTは心地よくシフトチェンジが決まるのです。

▲世界に衝撃を与えた初代NAロードスター。パワーがない分、エンジンを思い切り回して走る楽しさがあり、現在でも人気が高いモデルです。2016年11月26日時点の流通量は約160台 ▲世界に衝撃を与えた初代NAロードスター。パワーがない分、エンジンを思い切り回して走る楽しさがあり、現在でも人気が高いモデルです。2016年11月26日時点の流通量は約160台
▲NAロードスターを正常進化させたNBロードスター。ボディサイズはNA型とほぼ同じ。NAは前期型1.6L、後期型が1.8Lでしたが、NB型は1.6Lと1.8Lがあります。2016年11月26日時点の流通量は約330台 ▲NAロードスターを正常進化させたNBロードスター。ボディサイズはNA型とほぼ同じ。NAは前期型1.6L、後期型が1.8Lでしたが、NB型は1.6Lと1.8Lがあります。2016年11月26日時点の流通量は約330台

ネオクラシックなNA・NBの裏で、相場が下がっている前期型NCがおいしい!

そんなNA型、NB型に比べると、NCロードスターはやや注目が低くなります。

その理由としてサイズアップを上げる人が多いですね。NC型は全幅が1720mmとなり3ナンバーサイズに。排気量は2LでNB型の1.6Lと比較すると最高出力が45ps、最大トルクが4.8kg-mも大きくなりました。ND型のエンジンが1.5LになりNA型やNB型に近づいたことを考えると、NC型は歴代ロードスターの中では異端の存在と言えるかもしれません。

11月26日時点でのNCロードスターの物件数は約360台。夏から相場が急激に下がり、平均価格が138万円にまで落ちています。2008年11月までの前期型にはスポーツグレードのRS、本革シートで高級感を高めたVSともに100万円以下がたくさんあります。つまりNA型やNB型と同じ予算で、それよりも新しいNC型に乗れるのですよ! 中古車っておもしろいですよね。

▲NB型より精悍な印象になったNCロードスター。排気量が拡大されるなど大幅に変更されました。2016年11月26日時点の流通量は約360台 ▲NB型より精悍な印象になったNCロードスター。排気量が拡大されるなど大幅に変更されました。2016年11月26日時点の流通量は約360台
▲こちらが相場(モデルの平均価格)グラフ。長く下げ止まっていた相場が2016年7月から急激に値落ち。一時期20万円近く平均価格が下がりました。その後やや反動したものの、再び下げ基調になっています ▲こちらが相場(モデルの平均価格)グラフ。長く下げ止まっていた相場が2016年7月から急激に値落ち。一時期20万円近く平均価格が下がりました。その後やや反動したものの、再び下げ基調になっています

マツダ ロードスターは歴代を通して“人馬一体”をコンセプトに開発。もちろん、NC型ロードスターにもその魂が込められています!

ちなみに、よく言われるのが「ボディが大きくなり排気量も増したことでNCは重くなった」ということ。これは事実です。しかし人馬一体をコンセプトにFUNな走りを実現するため、重量増は最小限に抑えられています。NB型の1.8Lと比較するとその差は60kg(ともにベースグレードで比較)。この差はエンジンの違いで十分に埋められるものです。

また、排気量が大きくなったNC型は中低速のトルクがアップしているため、街中での走行がしやすくなっているのも特徴。例えば往復の通勤時間も楽しめるスポーツモデルを探している人には最高の選択となるはずです。

さらにNC型には電動開閉式ハードトップ「パワーリトラクタブルハードトップ(RHT)」が設定されているのも見逃せません。幌のオープンカーには独特の雰囲気がありますが、防犯面を心配して手を出しづらいという人は案外多いもの。これなら、そんな不安も要りません。クーペを選びたいけれど、年に数回くらいはオープンエアを楽しんでみたいという人にもオススメです。

RHTは2006年8月に登場。同じ前期型でもソフトトップより相場はやや高めになります。でも徐々に100万円以下のものが増えていますよ。RHTはRS、VSともに設定されています。

▲輸入車に採用モデルが多かった電動ハードトップ「パワーリトラクタブルハードトップ」がついにロードスターにも登場! 開閉時間は約12秒 ▲輸入車に採用モデルが多かった電動ハードトップ「パワーリトラクタブルハードトップ」がついにロードスターにも登場! 開閉時間は約12秒

NCロードスターをあえてATで乗るという選択もアリ!

もうひとつの特徴として、NC型の中古車はATの比率が高いことが挙げられます。NA型は約2割、NB型は約3割しかATがありませんが、NC型は約4割がATです。AT限定免許の人も多くの中古車を比べて選ぶことができます。しかもNC型からATが電子制御6ATに。スポーティな走りも十分楽しめますよ!

スポーツ走行を楽しむなら無条件にMTになりますが、恋人や奥さんとのドライブで気軽にオープンエアを楽しみたい、屋根を開けてのんびりクルージングしたいと考えているならむしろATの方が乗りやすかったりするもの。とくに高級感を高めたVSのRHTなら、ATの方が雰囲気を味わうことができるはず。

NCロードスターは2008年12月にはマイナーチェンジを行います。フロントマスクは魂動デザインになる前のマツダのデザインモチーフである5角形グリルを採用。前期型以上に精悍な顔つきとなりました。6MTモデル、6ATモデルともにトランスミッションに変更が加えられ、走りの性能も向上しています。

▲後期型はフロントマスクが大きく変わり、メーターも新デザインを採用しています。中古車相場はまだ高めですが、低走行の中古車が欲しい人はこちらを探してみましょう ▲後期型はフロントマスクが大きく変わり、メーターも新デザインを採用しています。中古車相場はまだ高めですが、低走行の中古車が欲しい人はこちらを探してみましょう

後期型は流通量自体が少なく、まだ100万円以下で見つけるのは難しくなっています。でも150万円以下には走行5万km未満のRHT搭載グレードもあるので、好みのものをじっくり探してみましょう。

NA型やNB型をリアルに知らない世代はもちろん、若い頃にNA型やNB型に憧れた人も、NCロードスターに注目してみませんか?

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マツダ ロードスター(3代目)× 支払総額アリ
text/高橋 満(BRIDGE MAN)
photo/マツダ