▲ショーモデルでは、フロントバンパーの開口部は楕円形に仕上がっていたが、市販化にあたって、トヨタ最新のデザインテーマである、アンダープライオリティが反映されて台形っぽく見直される ▲ショーモデルでは、フロントバンパーの開口部は楕円形に仕上がっていたが、市販化にあたって、トヨタ最新のデザインテーマである、アンダープライオリティが反映されて台形っぽく見直される

お蔵入りの可能性もあった!?

トヨタが86を中心にして、下にS-FR、上にBMWとの共作である、スープラ後継車を取り揃えてスポーツカー3部作の完成を目指していることは、2014年7月22日、10月28日の記事などで紹介してきた。今回はS-FRに焦点をあてていく。

前述のとおり、10月28日以来の登場となる、平成のヨタハチことS-FRだが、久々になるのも当たり前。実はマツダの4代目ロードスターのクオリティに舌を巻いたトヨタが2015年7月に開発を中断したのだ。

東京モーターショーへの出品がすでに決まっていたことから、発売予定のなくなった車がステージ上に展示されていたことになる。だが、S-FRに対する思いは、トヨタ社内でくすぶり続けているようで、プロジェクトが再始動する可能性が高まってきているようだ。

▲ショーモデルは、開発凍結が決まった時点ですでに東京モーターショーへの出展が決まっていたため、ブースに並べられた< ▲ショーモデルは、開発凍結が決まった時点ですでに東京モーターショーへの出展が決まっていたため、ブースに並べられた
▲ショーモデルのインテリア。これを見るかぎり、市販を前提に開発が進んでいたことがわかる ▲ショーモデルのインテリア。これを見るかぎり、市販を前提に開発が進んでいたことがわかる

価格はなんと税込み170万円

では、開発はいつ再スタートするのか。そのタイミングのカギを握るのが、2017年以降にWRC(世界ラリー選手権)に参戦するマシンだ。ヴィッツベースで鋭意開発中のマシンが完成した後、マンパワーがS-FRに再び割り当てられる。市販時期は2020年頃か。

すでに一端が公表されているが、S-FRは5ナンバー幅に収まるコンパクトなライトウェイトスポーツがコンセプト。「軽い」「小さい」「安い」がテーマに掲げられ、サーキットなど特別なシチュエーションでなく、普段乗りでも気持ちいいと感じられる走りが織り込まれる。

搭載エンジンは、1.5LのNAと1.2Lターボが検討されている。足回りでは、後輪のサスペンションに、高級スポーツでよくみる、ダブルウィッシュボーンが与えられる点も見逃せない。

また、車重は1tを下回って990kgに抑えられる見通しだ。ヒップポイント高は、ロードスターに負けず劣らずの460mmを想定。

エントリー価格は、170万円(消費税込み)だという。この価格設定も興味深い。

自社生産のライトウェイトスポーツに期待

プロジェクト立ち上がり時には、社外で委託生産する方式が模索された。だが、86でオープントップ仕様を断念せざるを得なかったこと、インライン生産が売りのG’sが製作できなくて、愛知県の元町工場でGRMNを組み付けるはめになったことが加味され、トヨタは自社工場で生産した方が融通が効くことを痛感したようだ。

よって、S-FRはトヨタが自ら組み立てる公算が大きい。すでにFR車の生産を手がけている元町工場が有力か。

紆余曲折を経て送り出される、S-FR。トヨタだって楽しいライトウェイトスポーツを作れるという心意気を見せつけてほしい。

※2016年4月27日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期:2020年
■全長x全幅x全高:3990x1695x1345(mm)
■搭載エンジン:1.5L 直4

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部