▲2008年に発売されたミニバン「マツダ ビアンテ」。独特のフロントデザインには理由があります ▲2008年に発売されたミニバン「マツダ ビアンテ」。独特のフロントデザインには理由があります

明るい家族計画! が順調すぎちゃった場合……

先日、友人の1人に相談されました。今度子供が生まれるんだけど、車、何を選べばイイ? その友人、実はすでに3人の子供がいて、今度で4人目! しかも両親と同居、つまり8人世帯というわけ。世間の少子化問題なんてドコ吹く風、なんだか頼もしい話です。

もちろん、8人が乗れる国産ミニバンはたくさん存在しますので、彼にもその中の1台を推しました。ところが、ミニバン的な乗り味は好みじゃない、と言うんです。しかも、毎度8人乗るわけじゃない。もちろん最大8人乗れなくちゃいけないけど、できるだけコンパクトな方がいい、とのこと。7人乗りまでなら3列シートを備えたステーションワゴンも候補に挙がるんですが、8人となると……。なかなか難しい注文でしょ?

ハテどうしたものか、と悩んでいたら、以前に試乗したことのある車で、ちょうどいいのがあることを思い出しました!
 

ありそうで実は見つけにくい、コンパクトな8人乗り!

それはマツダ ビアンテ。2008年のデビュー当時、歌舞伎独特の化粧である隈取りっぽいフロントデザインで話題になった、あの車です。オススメの理由は、8人乗れる車の中ではミニマムに近いボディサイズ。5ナンバー枠を全幅と全長でちょっとだけ越えている……というサイズ感が、実にちょうどイイんです。両側電動スライドドアだったり、豊富なシートアレンジ、見た目のコンパクトさからは想像できない快適な3列目シートなど、ファミリーカーとしての素養も十分に高い。

また、運転席のシートポジションがライバルたちよりも低めで、ミニバンの高い視点が苦手な人にはぴったりです。隈取りマスクは、低いキャビンと全体のフォルムを統合するための手法だったのですネ。しかも走りはマツダらしくスポーティというところも、ミニバンの乗り味が苦手な人にオススメしたい理由。
 

▲フロアが低く、ミニバンらしからぬ乗り味を実現しているビアンテ。両側スライドドアなどミニバンとしての実用度も高し! ▲フロアが低く、ミニバンらしからぬ乗り味を実現しているビアンテ。両側スライドドアなどミニバンとしての実用度も高し!
 

安全に真摯に向き合ってつくられたビアンテ

ところで、近年はコンパクトな8人乗りモデルが、ビアンテを除いてほとんど存在していません。これは2012年7月に、乗用車の全座席への3点式シートベルト装備が義務化されたことが影響しています。唯一のライバルだったホンダ フリードは元々8人乗りでしたが、3点式義務化の前年に7人乗りへと変更。兄貴分のマツダ MPVも同様でした。

ところが、ビアンテは2列目シート中央席のシートベルトを2点式から3点式に変更するという、極めて真っ当な方法で対応したのです。さらに言うと、2列目シートが左右に分かれて横にもスライドするタイプで、8人乗りを実現しているのは現在もビアンテだけ!

フツーに7人乗り化しても誰も文句は言わなかった気もしますが、あえて挑戦したところにマツダらしさを感じます。ちなみに同時期にヘッドレストも乗車定員全員分が装備されて、衝突時の安全性が高まりました。

コンパクトなのに車内スペースは余裕たっぷり、運転も楽しいビアンテは、ファミリーカーとしてとっても優秀。総額100万円台後半で狙えるとあってオススメですヨ!
 

▲1770mmという全幅は狭い路地でも取り回しに困らず、2列目&3列目シートに3人がキチンと並んで座れるジャストサイズ ▲1770mmという全幅は狭い路地でも取り回しに困らず、2列目&3列目シートに3人がキチンと並んで座れるジャストサイズ
▲3列目シートの座面は厚みがあって、座り心地もマル。写真は全席3点シートベルト義務化後のモデル(ベルトが天井からつり下がる方式) ▲3列目シートの座面は厚みがあって、座り心地もマル。写真は全席3点シートベルト義務化後のモデル(ベルトが天井からつり下がる方式)
text/田端邦彦
photo/マツダ