▲一休さんは室町時代の禅僧で臨済宗大徳寺派。1481年に88歳で病没。いまわの際の言葉は「死にとうない」と伝えられている ▲一休さんは室町時代の禅僧で臨済宗大徳寺派。1481年に88歳で病没。いまわの際の言葉は「死にとうない」と伝えられている

アラフォー世代には懐かしいアニメ「一休さん」

忙しい毎日を送っているであろう読者諸兄。カーセンサーnetでお目当ての車を探しているときは、とっても楽しいことだろう。もし購入に至らなくても、憧れの車に思いをはせてることは、気持ちが一休みできる大事な時間かもしれない。

ん、「一休み」というワードを耳にすると、アラフォー世代としては「慌てない慌てない、一休み一休み」というフレーズがリフレインするぞ。そう、夏休みの再放送アニメでお馴染み(少なくともうちの田舎では)、「一休さん」の名フレーズだ。ということで、ちょっと強引だが、今回は「一休さん」にオススメの1台を考えてみようと思う。

アニメ「一休さん」を取り巻く濃いキャラクターたち

アニメでもお馴染み「一休さん」は室町時代に生きた臨済宗の禅僧だ。ちなみに、アニメに出てくる将軍様は金閣寺を建てたことでも有名な足利義満公。トラブルを抱えて一休さんに泣きつくガタイのいい武士は蜷川新右衛門。実在の人物だが、実際には幼少時の一休さんとは交流がなかったとされている。有名な話だが、新右衛門さんの子孫は格闘家の武蔵だ。

さて、アニメでは可愛らしい風貌の一休さん。抜群のトンチで将軍様の無理難題を退け、新右衛門さんや世の人々を助けるのだが、史実ではなかなかのくせ者であることをご存じだろうか。

▲一休さんが晩年を過ごした京都の酬恩庵は一休寺と呼ばれる。境内には、あの有名な「このはしわたるな」を再現した橋も ▲一休さんが晩年を過ごした京都の酬恩庵は一休寺と呼ばれる。境内には、あの有名な「このはしわたるな」を再現した橋も

ある意味、とっても人間くさかった一休さん

実際の一休さんはアニメのイメージとは違い、お坊さんとは思えないような数々の振る舞いがあったという。女性と情を重ねたり肉を食らったり、周囲からは破戒僧と称されるほど。さらには、偉い和尚さんの追悼法要にぼろ布をまとい参列したり、師が後継と認めた証しである印可を焼いたり、しまいには阿弥陀如来像を枕にして昼寝をしたりとやりたい放題だったそうだ。

極めつけは、おめでたいはずの正月に「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり、めでたくもなし」という歌を詠みながら、ドクロのついた杖を突いて歩き回ったなんて逸話も。将軍様には逆らうし、伝統行事に楯突くわで、なかなかアナーキーな御仁だったのだろう。

そんな一休さんだが、実はとーっても高貴なお生まれ。なんと、御父様(おもうさま)は後小松天皇という説がある。今で言えば皇族にあたるのだ。

皇族なら、御料車として採用され「皇ナンバー」を冠する『トヨタ センチュリー』をオススメしたいところだが、権威を嫌う一休さんが良しとするだろうか。

▲超高級車のイメージがあるセンチュリーだが、1997年3月まで生産されていた初代なら、中古車相場24万~150万円で手に入る。タマ数が多い現行型でも平均価格は170.6万円 ▲超高級車のイメージがあるセンチュリーだが、1997年3月まで生産されていた初代なら、中古車相場24万~150万円で手に入る。タマ数が多い現行型でも平均価格は170.6万円

今上天皇の愛車はホンダ『インテグラ』

今上天皇も公務ではセンチュリーに乗車なさるが、御所内では愛車である『ホンダ インテグラ』のハンドルを御自ら握られることは有名な話。皇太子時代には、ご学友のアルファロメオでドライブしたというエピソードも残されている。

▲天皇陛下が運転されているのは、初代インテグラ。免許も所有しており、皇后さまと皇居内をドライブされているのだとか。ちなみに、初代インテグラの中古車相場は30万~74万円 ▲天皇陛下が運転されているのは、初代インテグラ。免許も所有しており、皇后さまと皇居内をドライブされているのだとか。ちな

みに、初代インテグラの中古車相場は30万~74万円

また、秋篠宮殿下も、独身時代に紀子さまとのデートで、なかなかエッジの立ったカスタムを施した黄色のワーゲンを運転して話題になった。そう、皇族=センチュリーというわけではないのだ。

一休さんにオススメの1台は「生き霊」を意味するあの超高級車

では、一休さんにオススメの1台はなんだろうか。権威を嫌い、つねに民とともにいた一休さん。後部座席におとなしく座っているとは考えにくい。しかし、高貴な生まれにふさわしい気品のある車に乗ってほしいという願望もある。そこでオススメしたいのが、世界で最も気品のある自動車メーカー、ロールスロイスのクーペタイプ『レイス』。クーペタイプで自らステアリングを握り、運転を楽しめる車だ。



▲執筆時点で『レイス』の掲載台数は6台。価格は3380万~3650万円。ちなみに、発売当時の新車価格は3195万円 ▲執筆時点で『レイス』の掲載台数は6台。価格は3380万~3650万円。ちなみに、発売当時の新車価格は3195万円

注目してほしいのはその車名。『wraith(レイス)』とは生き霊や死霊、亡霊、幽霊などといった意味を持つ。正月にドクロのついた杖を突いて歩き回りながら、「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり、めでたくもなし」と歌ったり、「親死に 子死に 孫死に」という言葉を残したり、誰しもに平等に、必ず訪れる「死」を見据えつつ、禅の教えを極めようとした一休さんには、『レイス』という車名には思うところがあるかもしれない。

ロールスロイスは歴代の御料車にも採用されたことがある自動車メーカー。天皇の血を引く一休さんも、きっと満足してくれることだろう。

text/コージー林田