ジムニーやアルトワークスなどを生み出した浜松の風雲児、スズキの革新性を振り返る
カテゴリー: クルマ
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2015/09/29
時代を先取りし、数多くの新ジャンルを発表
SUVテイストの「キャスト アクティバ」をはじめ、3つの異なるバリエーションがあるキャストがダイハツから発売されました。力強さと愛くるしさをあわせ持つこのモデルは、スズキが2014年に発売したハスラーの対抗馬であることは言うまでもありません。
ありそうでなかった軽クロスオーバーという新ジャンルを開拓し、多くのユーザーから支持されるハスラー。ダイハツも指をくわえて見ているわけにはいかなかったのでしょう。
実は、スズキというメーカーはこれまで幾度も軽自動車で新しい市場を開拓してきました。今回はスズキのパイオニア精神を振り返ってみましょう。
<スズライト>
1955年に登場したスズキ初の四輪自動車であるスズライト。当時は軽自動車でもFRが当たり前でしたが、スズライトはFFモデルとしてデビュー。2008年にはその革新性が評価され、「日本自動車殿堂」の歴史車に選ばれています。
<ジムニー>
もともとはホープ自動車が開発したモデルですが、製造権をスズキが買い取り、1970年にデビューしたジムニー。当時は4WDといえばジープのような大型モデルが主流で、軽自動車の需要はないと社内は大反対だったといわれています。しかし現スズキ会長の鈴木修氏はそれを押し切りました。その後のジムニーの躍進はみなさんご存じのとおりです。
<アルトワークス>
日本が高度経済成長から安定成長に入り、バブル景気を迎える1980年代後半。豊かになった日本では多くの若者が車へと目を向けました。スポーツカーを思う存分乗り回したいと考える若者が急増しましたが、免許を取りたての若者にとってスポーツカーは高嶺の花。そこでスズキは1987年、軽自動車にハイパワーターボを搭載したアルトワークスを登場させます。
アルトワークス以前にもダイハツがミラ TR-XXというスポーツモデルを発売していましたが、アルトワークスの3気筒4バルブDOHCインタークーラーターボエンジンは最高出力64馬力に到達。当時、メーカー間の馬力競争が激化する事態に発展していたため、アルトワークスの最高出力を基準に軽自動車の馬力自主規制ができました。64馬力を上限とする自主規制は現在でも続いています。
<ワゴンR>
スズキ アルト、ダイハツ ミラ、三菱 ミニカ……。それまで軽自動車では背の低い商用車(ボンネットバン)から派生したモデルか、1BOXタイプが主流でした。1990年には三菱がミニカトッポという背の高いモデルを出すものの、その潮流を変えるまでには至りませんでした。
しかし1993年、ズズキが商用車ベースではないワゴンRを発売。当時ブームだったRVのテイストを盛り込んだこのモデルは市場から大歓迎され、爆発的ヒットモデルとなります。現在では軽自動車といえば居住空間を広く取ったトールワゴンタイプが当たり前ですが、それもワゴンRの登場があったからこそです。
いつでも時代の先を読み、様々なモデルを開発してきたスズキ。他にも長い歴史の中では軽FRオープンスポーツのカプチーノ、軽クロスオーバーの元祖ともいえるKeiなどを生み出しています。
中には2人乗りでTバールーフを備えたライトクロカンのX90(軽自動車ではなく登録車)や、2人乗り軽シティコミューターのツイン(ハイブリッドモデルもあったんですよ!)という先を読みすぎ、“珍車”の域に達したモデルもありました。そしてハスラーが登場したことで、現在でもフロンティアスピリットを忘れていないことを証明しました。これからもきっと、私たちを驚かせるようなモデルを作ってくれるはずです。楽しみにしていましょう!