▲三菱が近畿地方限定で発売した「eKクラッシィ阪神タイガースエディション」。優勝前に“キネン”車を出しちゃうのが、どことなく関西的。ちなみに2003年、阪神タイガースは見事リーグ優勝を果たしました ▲三菱が近畿地方限定で発売した「eKクラッシィ阪神タイガースエディション」。優勝前に“キネン”車を出しちゃうのが、どことなく関西的。ちなみに2003年、阪神タイガースは見事リーグ優勝を果たしました

アニメや人気ブランドなどとのコラボモデルも!

車のCMを見ていると、最後に「お得な○○セレクション、発売!」などとナレーションが入ったりしますよね。これ、なんだかご存じですか?

これは特別仕様車と呼ばれるもので、通常販売されているグレード(カタログモデル)にオプション装備などを付けて商品力を高めた車です。一般的に特別仕様車はデビューから時間が経ち、客足が落ち着いたり、競合モデルのモデルチェンジ前に登場したりすることが多いようです。

他にも期間や台数を区切って登場する“限定車”もあります。特別仕様車や限定車には企画がユニークなものもありました。今回は話題になったモデルを振り返ってみましょう。

三菱は2003年8月に阪神タイガース優勝“キネン”車「eKクラッシィ阪神タイガースエディション」を発売。「8月なのに優勝?」と思った人もいるはず。実はこれ、快進撃を続ける阪神の優勝を“祈念”したモデルなんです(笑)。なお、阪神タイガースは80年代にもダイハツ ミラとコラボしています。

2年前に大きな話題になったのが「ピンククラウン」。現行型クラウンアスリートのボディカラーにショッキングピンクが設定されたのです。もともとはキャンペーン用の色でしたが、2013年9月の1ヵ月だけ受注を受け付けました。色による特別仕様車といえば、トヨタは初代セリカで“ブラックセリカ”を登場させたこともあります。

▲“モモタロウ”という名の特別設定色で塗られたピンククラウン。これが発売されるというニュースは衝撃的だった。今年3月には空色エディションと若草色エディションも発表された ▲「モモタロウ」という名の特別設定色で塗られたピンククラウン。これが発売されるというニュースは衝撃的だった。今年3月には空色エディションと若草色エディションも発表された

またトヨタは2013年10月に現行型オーリスで「シャア専用モデル」を登場させました。外装や内装にアニメ『機動戦士ガンダム』のシャア専用機をイメージしたパーツをオーナーが選んで取り付けられるというもの。カーナビにはシャア(CV.池田秀一)の声が収録されていました。

▲トヨタマーケティングジャパンがバーチャルカンパニー“ジオニックトヨタ”を設立して発売した“シャア専用オーリス”。付けたいパーツを自分で選べるユニークな設定だった ▲トヨタマーケティングジャパンがバーチャルカンパニー「ジオニックトヨタ」を設立して発売した、シャア専用オーリス。付けたいパーツを自分で選べるユニークな設定だった

アニメとのコラボといえばセブン-イレブン・ジャパンが『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボでミツオカオロチの「エヴァモデル」を1台限定で発売。他にも、ダイハツが90年代にミラに設定した「ハローキティ・バージョン」も話題になりました。

▲限定1台という、まさにスペシャルモデルである「エヴァンゲリオン オロチ」。車両価格1600万円もする車なのに600件近い注文が入ったという ▲限定1台という、まさにスペシャルモデルである「エヴァンゲリオン オロチ」。車両価格1600万円もする車なのに600件近い注文が入ったという

コラボレーションは人気ブランドと行われることも。日本車だとスバルがアウトバックやフォレスターでアメリカの老舗アウトドアブランドであるL.L.Beanとコラボした「L.L.Beanエディション」を発売。ロゴ入り本革シートなどが採用されたこのモデルは、人気が高かったため特別仕様車からカタログモデルに格上げされました。

▲専用色で登場したレガシィアウトバックL.L.Beanエディション。レガシィシリーズではポルシェ・デザインと共同開発したブリッツェンもコアなファンから人気 ▲専用色で登場したレガシィアウトバックL.L.Beanエディション。レガシィシリーズではポルシェ・デザインと共同開発したブリッツェンもコアなファンから人気

スズキはエスクードとSX4に「ヘリーハンセン リミテッド」を設定。日産はアウトドアブランドのコールマンとコラボしセレナ、エルグランドなどに「コールマンバージョン」を期間限定で設定。レジャーユースの車とアウトドアブランドとのコラボはユーザーも乗っている姿をイメージしやすいというメリットがあるのでしょう。

▲マリンスポーツブランド、ヘリーハンセンとコラボしたヘリーハンセン リミテッドはエスクードとSX4に設定。ウインタースポーツブランドのサロモンとのコラボモデルも ▲マリンスポーツブランド、ヘリーハンセンとコラボしたヘリーハンセン リミテッドはエスクードとSX4に設定。ウインタースポーツブランドのサロモンとのコラボモデルも

イタリアのフィアット 500にはボディカラーや装備に特別なものを設定した限定車が多数あります。話題になったのはグッチとコラボした「500 by GUCCI」と、ディーゼルとコラボした「500 by DIESEL」でしょう。中でもby GUCCIは現在でも200万円以上されることが多い人気モデルです。

▲フィアット 500と500Cに設定された“by GUCCI”。グッチのストライプがボディ、シート、シートベルトなどに施されたこのモデルは、いまだ高値で取引されている ▲フィアット 500と500Cに設定されたby GUCCI。グッチのストライプがボディ、シート、シートベルトなどに施されたこのモデルは、いまだ高値で取引されている

特別仕様車には全国区ではなく地域限定で発売されるものもあります。昨年、ダイハツが全国を11のブロックに分け、販売会社の女性スタッフが考えた地域限定のミラココアを発売する「ココかわプロジェクト」を実施。また、カローラやベルタに「なまはげ」「こまち」といった秋田県限定車が設定されたこともあります。

▲ミラココアの“ココかわプロジェクト”では内外装のデザインはもちろん、用品開発や販促方法まで女性独自の視点で提案された。地域限定車の企画にもエリアスタッフが参加 ▲ミラココアの「ココかわプロジェクト」では内外装のデザインはもちろん、用品開発や販促方法まで女性独自の視点で提案された。地域限定車の企画にもエリアスタッフが参加

最近では珍しくもなくなりましたが、80年代には軽自動車やコンパクトカーで女性をターゲットにした特別仕様車が多く発売されました。この女性向け特別仕様車、元祖は1961年に発売された初代ダットサンブルーバードに設定された「ファンシーデラックス」といわれています。ウインカーを作動させるとオルゴールが鳴り、傘立てやハイヒール置き場が設定されるなど、凝ったモデルだったそうですよ。

▲ダットサンブルーバード ファンシーデラックスには、カーテンやバニティミラーなど助手席や後部座席に乗る女性に向けた装備が多数採用された。写真を見ると後席にハンガー用ルーフバー、カーテンが付いているのがわかる。後席ドアにはアンブレラホルダーも ▲ダットサンブルーバード ファンシーデラックスには、カーテンやバニティミラーなど助手席や後部座席に乗る女性に向けた装備が多数採用された。写真を見ると後席にハンガー用ルーフバー、カーテンが付いているのがわかる。後席ドアにはアンブレラホルダーも

特別仕様車や限定車の魅力は、人気装備が標準で付いていることや、他にはない仕様が手に入ること。人気が出ると他のグレードより値落ちしにくいというメリットもあります。みなさんもカーセンサーnetでお得な特別仕様車を探してみてください!

text/高橋 満(BRIDGE MAN)