世界で初めて電子制御式CVTの量産化に成功したスバル。初搭載のモデルは?
カテゴリー: クルマ
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2015/05/29
大型車への搭載は、世界に先駆け日産が実現
「あなたが乗っている車に搭載されているトランスミッションはなんですか?」。こんな質問をしたら、国産車オーナーのほとんどが今やCVTと答えるのではないでしょうか。
CVTはオートマチックトランスミッションの一種で、歯車(ギア)ではなく2つのプーリーとそこにかけられたベルトで動力を伝えます。変速はプーリーの直径を変えることで行います。そのためATのような変速ショックがありません。さらに最適な変速比を維持できるので、エネルギー効率が良いというメリットもあります。
スバル ジャスティは世界で初めて電子式CVTを搭載した量産車でした。1984年に発売されたのですが、1987年に「ECVT」を採用したモデルが追加されました。とはいえ、ATと比べて変速感覚が不自然だったため、市場からの評価はあまり良くありませんでした。また当時のCVTはとても高価なもので、コストパフォーマンスが重視される小型車で価格が高くなるのは致命的な欠点だったのです。
燃費性能に優れるCVTを普及させるためには量産化によるコストダウンが不可欠でした。日本の自動車メーカー各社は地道にCVTを研究し、CVTの欠点を克服していきます。
例えばホンダを見ると、1995年にシビックとシビックフェリオにCVT「Hondaマルチマチック」を初搭載しましたが、ユーザーからは「エンジンの回転数ばかり上がってうるさい」という声が上がります。そこでホンダは1999年に「HondaマルチマチックS」へと進化させ、2004年にはパドルシフトによるMTモードをCVTで実現しました。
また日産は1997年にトルクコンバーターを備え2Lクラスのパワーに対応できるCVTを世界で初めて開発し、プリメーラに搭載。1999年にはベルトではなくベルトとパワーローラーで動力を伝達するエクストロイドCVTを世界で初めて量産化し、セドリック/グロリアに搭載しました。さらに2002年には3.5Lクラスに搭載できるベルト式CVTを開発し、LクラスミニバンやSUVでもCVTを普及させることに成功します。
軽自動車に目を向けると世界で初めてCVTの量産化に成功したスバルは1987年6月にレックスにもCVT搭載グレードを追加しました。しかし他メーカーはコスト面からCVTには慎重でした。例えばダイハツ ムーヴには2006年10月のフルモデルチェンジで、スズキ ワゴンRには2007年5月の一部改良でCVT搭載グレードを設定するものの、主力はまだATだったのです。
軽自動車にCVTが普及するのは、ベルトによる無段変速機と副変速機を組み合わせたCVTが開発されたことでした。これによりCVTの小型化と軽量化、さらに燃費性能の向上とパワフルな走りを両立させることができたのです。ワゴンRは2010年8月のマイナーチェンジで一気にCVT化を進めました。ダイハツはCVTに遊星歯車の減速機を設けてCVTの効率を高めています。
低燃費の代名詞にまでなり、自然なフィーリングで運転を楽しむことができるCVT。進化の過程では様々な苦労があったんですね。