知ってた?日本が世界に先駆けて開発した4WSの初搭載車はR31型スカイライン
2015/05/18
4WS開発の“祖”は、なんと月面走行車!?
自動車は先進技術の塊。各メーカーが走行性や安全性向上のために様々な技術を投入しています。先進技術の中には日本のメーカーが初めて開発したものも多くあります。4輪操舵システム(4WS)もそのひとつです。
もともと4WSはアポロ計画の月面走行車で初採用されたそうです。これは月面上で仮に前輪の操舵システムが故障しても、後輪で操舵できるようにするためだといわれています。対して、自動車では前輪と同時に後輪も動かすことで小回り性能や車両の安定性を高める目的で開発されました。
世界初の量産車用4WSとして有名なのが、日産が開発した「HICAS(ハイキャス)」です。油圧によりクロスメンバーを変位させて高速走行時の安定性を向上させるシステムで、R31スカイラインに初搭載。HICASはその後、油圧アクチュエータシリンダーを1本に減らしたタイプのHICAS-Ⅱ(S13シルビアに初搭載)、ステアリング舵角センサーで角速度を計測するSUPER HICAS(R32スカイラインに初搭載)、さらに油圧機構を排して電動アクチュエータを採用した電動SUPER HICAS(C34ローレルに初搭載)へと進化していきます
ホンダやマツダは日産のHICASとは別のアプローチで4WSを開発しました。FF(前輪駆動)車では前輪が駆動と操舵の役割を担っており、後輪は安定して走るために固定されて転がっているだけ。制動(ブレーキ)には4輪が参加しているのだから、操舵にも後輪を参加させられないか。
そう考えたのか、ホンダは1987年、世界初の舵角応動型4WSを3代目プレリュード(BA5型)に搭載。マツダも世界初の車速感応式4WSを5代目カペラ(GD型)に採用しました。ホンダの4WSは車速とハンドル操作量に応じて後輪の最適切れ角を設定させるのが特徴。一方、マツダの4WSは前輪操舵角に対する後輪操舵角の比を車速に応じて連続的に制御するシステムでした。どちらも後輪は前輪と同方向から逆方向まで後輪の舵角方向が変化します。
続いて三菱自動車が、世界で初めてフルタイム4WD車に4WSを搭載しました。1987年10月に登場した6代目ギャラン(E30系)に「ACTIVE FOUR」と呼ばれるシステムを採用。4バルブDOHCエンジン、フルタイム4WD、4WS、4輪独立懸架、4輪ABSを組み合わせてあらゆる路面状況でタイヤのグリップ力を確保させていました。