ホンダはレジェンドとインスパイアの生産中止を決定しました。レジェンドは6月中に、インスパイアは7月に生産を終了する予定とのこと。先進技術をいち早く採用してきたホンダの上級セダンが間もなく新車市場から姿を消すことになります。

プリウスやフィットといったハイブリッドカーやエコカーが人気を集める一方、かつて大衆車として人気を博したセダンの販売台数は伸び悩んでいます。自動車販売協会連合会が発表した2011年度の年間販売台数でセダン最上位(総合では6位)となったカローラも、2010年度の販売台数と比較すると3割減の約7万4000台となっています。このセダン市場全体の販売不振もレジェンドおよびインスパイアの生産中止に少なからず影響を与えたものと思われます。

レジェンドはホンダ車初のV6エンジンを搭載して1985年にデビュー。フラッグシップモデルとして国産車初の運転席エアバックを採用、ABSも全車に標準装備しました。2004年に登場した現行モデルには路面状況に応じて前後左右の四輪全てに最適な駆動力配分を行うという先進の4WDシステムSH-AWDも採用しました。

インスパイアは1989年にアコードの派生モデルとしてアコードインスパイアのネーミングで誕生。5気筒エンジンを縦置きにしたFFミッドシップレイアウトは当時話題になりました。2003年に登場した4代目では可変シリンダーシステム(VCM)やドライバー支援装置(HiDS)を搭載、また2007年以降の現行型には3気筒~4気筒~6気筒の切り替えを行うVCMや可変ステアリングギアレシオ(VGR)も採用しています。

他のセダンとは一線を画すこだわりの詰まったセダンが、まもなく中古車でしか手に入らなくなります。S2000と同様、生産終了とともに中古車相場が高騰する可能性もあり、手頃な価格で比べて選べる今こそレジェンド&インスパイアを手に入れるチャンスです。現行レジェンドの中古車は144台、現行インスパイアは58台(ともに6月21日現在)、早速チェックしてみてください。



Text/カーセンサー編集部

画像

4代目 レジェンド。SH-AWDシステムの他にも夜間走行時に歩行者を事前に検知するインテリジェントナイトビジョンも採用している

画像

5代目 インスパイアは低床化やロングホイールベース化を施し、広い室内空間を確保した