超個性的ルックスの軽量2シーターオープンカー

これまでにない、斬新なスタイルの小型車として1997年に登場したスマート。キュートなルックスや、メルセデス・ベンツと同等の安全基準が適用された堅牢なボディなどによって人気を集め、欧州では低燃費時代の旗手として象徴的な存在になりつつあります。2ドア2シーターのフォーツー(クーペ)だけなく、電動オープントップのカブリオ、ルーフやフロントウインドウを省いたクロスブレード、さらには4シーターのフォーフォーなど、様々なバリエーションが登場しています。

そんなスマートラインナップの中でもとりわけ個性的なのが、スポーツタイプのスマートロードスター。リアにエンジンを積み、後輪を駆動するというフォーツーのシステムはキープしつつ、全長を長く、全高を低くすることでスポーツカーらしいスタイルになっています。同時にリアトランク部分がグラスドームとなったクーペモデルもラインナップされています。

日本で発売されたのは2003年9月。新車時の車両本体価格はロードスターが255万円、ロードスタークーペが278万円でした。698ccの直3SOHCインタークーラー付きターボエンジンはフォーツーの後期型と同様で、最高出力は82psを発揮します。搭載する6速セミATはトルクコンバーターのない電子制御タイプで、アルファロメオのセレスピードやルノーのクイックシフト、シトロエンのセンソドライブなどといったセミATに似たシフトフィール。自分でギア操作を積極的に行いたい人には違和感がないかもしれませんが、ATモードはかなりギクシャクするので注意が必要です。
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2つのボディタイプの違いは、まずルーフ構造。ロードスターが電動キャンバストップで、ルーフ両側のフレームも脱着できるのに対し、ロードスタークーペはデタッチャブルトップとなっています。またタイヤサイズもロードスターが15インチ、ロードスタークーペは16インチと異なるサイズを採用。メーターカラーはロードスターが白、ロードスタークーペが黒となっています。

ラゲージルームはどちらのモデルもかなり狭め。リアエンジンのため、フロントボンネットの中がメインの荷室となりますが、2人分の旅行用荷物サイズを辛うじて確保できるかどうかという大きさです。ロードスタークーペは、リアのガラスハッチ内にもある程度の荷物を押し込めますので、ラゲージサイズを重要視する人はこちらを選択したほうがいいでしょう。

運転してみると、排気量が小さい割にスポーティ感があります。830kg(ロードスタークーペは850kg)という軽量ボディに小さな車体、RRレイアウトの組み合わせにより、実にクイックなハンドリングが楽しめるのです。座席がかなり低位置ゆえに、必然的にアイポイントが低くなるため、走行時の迫力が増すのもスポーツ感覚を味わえる要因となっています。
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ノーマルモデルより、さらにパフォーマンスの高い走りを味わいたい人には、2004年6月に追加されたロードスター/ロードスタークーペBRABUSがオススメ。メルセデス・ベンツのチューニングブランド、BRABUSが手がけたバージョンです。最高出力は101psに高められ、足回りは17インチのワイドホイールを採用。スポーツサスペンションが装着されているほか、シートヒーター付きの本革シートなどBRABUS仕様の豪華装備を追加。外装もエアロパーツで固められ、かなり精悍な面構えになっています。

原稿執筆時点でカーセンサーnetに掲載されているロードスターは18台、ロードスタークーペは5台となっています。最高値は238万円、最安値は168万円。200万円台の物件は走行距離が1万km前後のものが中心です。100万円台になると多少走行距離が延びたものが多くなりますが、それでも最大で4.6万km。なお、ロードスターとロードスタークーペに価格差はほぼありません。BRABUSはロードスターに1台だけ存在しました。

フォーツーがすでに2代目に移行し、すっかり日本にも定着した感のあるスマートブランド。しかし、スマートロードスターは相変わらず希少種の道を突き進んでいます。都心でも郊外でも、見かけることが極めて少ない車種ですので、人と同じものが嫌いという人にはピッタリといえるでしょう。流通量が少ないためか、中古車相場もなかなか下がらないのが難点ですが、半面で売却時にはリセールバリューが期待できそうです。気になった人は、下の検索窓に「スマート ロードスター」と入力してみてください。