“▲「四駆の聖地」に挑む取材班。そこは我々の探検スキルと勇気が試される魔境だった!" ▲「四駆の聖地」に挑む取材班。そこは我々の探検スキルと勇気が試される魔境だった!

悪路、悪路アンド悪路! 道なき道の先にあったものとは……

四輪駆動車を駆るオフローダーたちが「聖地」「魔境」「オアシス」と呼ぶ場所が埼玉県は西部・秩父地方の山中にあるという……。その情報を入手した我々はさっそく取材班を結成し、車を走らせた。相棒は83年式のミツビシ パジェロだ。

情報の提供主によると、アクセスの目印は「丸山鉱泉旅館」とのこと。国道299号を曲がると周辺は民家が点在するひなびた地で、とてもこの先に「四駆の聖地」があるとは思えない。曲がりくねった山道をしばらく進むと入口と思しき場所を発見した。そこで我々が見たものとは……!?

▲ゲート前の立て看板にはデカデカと「2WD走行禁止!」の文字が ▲ゲート前の立て看板にはデカデカと「2WD走行禁止!」の文字が
▲どうやら「BRONCO」というのが聖地の正式な呼び名らしい。それにしても「極悪路」という表記に緊張が走る! ▲どうやら「BRONCO」というのが聖地の正式な呼び名らしい。それにしても「極悪路」という表記に緊張が走る!
▲そしてこれが「聖地」への入口。ホントにココを走るの? という感じですが…… ▲そしてこれが「聖地」への入口。ホントにココを走るの? という感じですが……
▲聖地への道筋とコース内の様子はこんな感じ。突然のスタックに取材班も騒然!?

入口前に掲げられた看板には「普通車での来場をお断りします」の文字が。オフローダーの聖地だけに異教徒は受け入れないというわけかっ!

しかし、我々が乗っているのは年季こそ入っているがレッキとした本格4WD車。軟弱者を拒否する雰囲気に恐れをなしつつも、車を先へと進めると……、ドシンッ! ガシャン!! ガリッ!! という具合にオフロードの洗礼が。看板に記されていた「普通車お断り」の真意は「普通車じゃたどり着けないよ」ってことだったのね。

本格4WD車でも容易に登れない山道を行くこと20分。たどり着いた先にはいかにも魔境の入口という雰囲気の鳥居がある。錆び付いたジープのフロントグリルが掲げられているため、まるでその姿はドクロに見えた……(私には)

鳥居をくぐった先には、何やらロッジ風の建物が。恐る恐る扉を開けてみる。すると……「遠い所よく来たね。雨の中大変だったでしょう」と管理人さんが登場。あらあら。聖地の主なのにやけにフレンドリーじゃないですか。

“▲ロッジの壁には、名器とうたわれたアサルトライフル・シュタイアーAUG(のモデルガン)とともに、料金表のような物が" ▲ロッジの壁には、名器とうたわれたアサルトライフル・シュタイアーAUG(のモデルガン)とともに、料金表のような物が

……はい、小芝居はこのヘンにしておきましょう。ここ「アウトドアパーク ブロンコ」は四駆オーナーには知る人ぞ知る関東屈指のオフロードフィールドなのです。

そもそも「オフロードフィールドってナニ?」って方もいるでしょう。舗装された路面だけでなく悪路を走れる性能を持ち合わせている四駆。しかし環境保護の観点から、日本には堂々と走れる自然のオフロードコースはほとんどありません。

でもオフロードを走らずして何が四駆だ! という方のために、クローズドのコースとして開発され、堂々と悪路を走れるようにしたのがこのアウトドアパーク ブロンコ。いわば四駆のためのサーキットと言えるでしょう。

ちなみにこのブロンコは80年代後半から90年代に訪れた四駆ブームの頃に誕生。しかしブームの衰退とともにコースは閉鎖。以降はすっかり荒れ果ててしまいましたが、それを現在の管理人である竹村氏が大幅にメンテナンスして、2012年にリニューアルオープンさせたのです。

中でも自然の地形を利用した林間セクションはカスタマイズした本格4WDや運転に自信のあるドライバーでも手こずるほどの難コース! まさにジャングル探検の雰囲気が味わえます。

もちろんすべてのセクションがハードなわけではなく、今回私たちが走った外周路のように、ノーマルの4WD車で走れるコースも用意されています。四駆を走らせるテクニックを磨いたり、特殊な環境でのドライビングスキルをアップさせたいという方にとって、これほどピッタリな場所はありません!

“▲コースを下見するつもりで外周路を走っていたら、不覚にもスタック! 特に雨の日はスリップしやすいので、本格四駆でも要注意です" ▲コースを下見するつもりで外周路を走っていたら、不覚にもスタック! 特に雨の日はスリップしやすいので、本格四駆でも要注意です
“▲初心者向けとはいえ、外周路コースでもこの迫力!" ▲初心者向けとはいえ、外周路コースでもこの迫力!
“▲深いデコボコが待ち構えるヒルクライムを前に、思わずたじろいでしまった筆者。ムリだと思ったら撤退する勇気も必要!" ▲深いデコボコが待ち構えるヒルクライムを前に、思わずたじろいでしまった筆者。ムリだと思ったら撤退する勇気も必要!
“▲コース内には巨大なタイヤが埋められたエリアも。こんな所を走れる車があるわけ!?" ▲コース内には巨大なタイヤが埋められたエリアも。こんな所を走れる車があるわけ!?

主に4WD専門店の走行会、オフロード競技のトレーニングフィールドとして人気のブロンコですが、もちろん個人での利用もできます(営業日は公式サイトのカレンダーで確認のこと)。

オフロードを走るのが初めてという方でも安心……と言いたいところですが、悪路走行にはスタックなどのリスクが付き物。それなりの覚悟をもって臨みましょう!

text/田端邦彦