adobestock▲自動車・中古車に関する調査・研究を通じ業界の発展を目指すリクルート自動車総研が、調査データと独自の考察をお届け。今回のテーマは「個性」

最新で最良な車が偉い? ヒエラルキー化された自動車市場

リクルート自動車総研が毎年行っている『 中古車購入実態調査』において、中古車を「個性的な選択」と捉えている人たちの割合が増加傾向にあります。
 

カーセンサー

車といえば、メーカーやモデル、グレードなどによるヒエラルキーがはっきりしている商材です。「いつかはクラウン」という有名なコピーが生まれたのも、その象徴と言えるでしょう。

また、欧州系の車だとBMWであれば3シリーズや5シリーズのように数字、メルセデス・ベンツであればCクラスやEクラスなどアルファベットで、クラスが定義されています。
 

カーセンサー▲2023年11月に満を持して登場した16代目トヨタ クラウン セダン
カーセンサー▲BMWのミドルクラスセダン 5シリーズ。写真は8代目
カーセンサー▲メルセデス・ベンツのミディアムクラスセダンである6代目Eクラス

このような生産側のヒエラルキーの明確化も相まって、良いとされるものが分かりやすいマーケットでした。また、クラス感にとどまらず、最新が最良であるというイメージも強く打ち出されてきました。

人と被らないモデル選びも可能! 中古車選びは個性の表現

では、中古車選びにおいて個性を打ち出すということはいかなることか、具体的に考えてみましょう。

現代の車はグローバルビジネス化の影響もあり、形や流行りが同じ方向に集約されがちです。ですが、ある程度古いものを探せば、まだメーカーの思想やその国の文化が色濃く反映されていた頃の車を見つけることができます。

雑誌『LEON』の標語は「必要なのはお金じゃなくてセンス」ですが、中古車選びとはまさに個性を打ち出す格好の手段になっていると言えるでしょう。
 

カーセンサー▲“平成のゲーム機っぽさ”をまとう、2003年に登場したホンダ エレメント。令和の現代にはない個性をもつ車と言えよう

日々生活する街中で、もっと言えばメディアやインスタグラム・フェイスブックといった、SNSの中でもあまり見かけることのない車を選んで乗ることで、“あえて”選んでいる=個性的な選択、をすることが可能になるでしょう。

人とあまり被らない、ニッチなモデルを中古車で探してみるのも面白いですよ!
 

文/西村泰宏、写真/トヨタ、メルセデス・ベンツ、BMW、ホンダ、尾形和美
西村泰宏(にしむらやすひろ)

リクルート自動車総研所長

西村泰宏

カーセンサー統括編集長 兼 リクルート自動車総研所長。自動車メディアを車好きだけでなく、車を購入するすべての人のエンターテインメントに変革すべく日々の仕事に従事している。