ランボルギーニビジネス▲今回のインタビューに応じてくれたのは、英国本国から招かれたMSOの担当であるロレーヌ・トゥーラン氏

自分の好みに合わせた世界に1台だけの車を作る。これは多くの車好きが夢見る究極の贅沢である。そこで高級車ブランド、中でも走りのイメージが先行するマクラーレンではどんなサービスを展開しているのか。ビスポーク「MSO(McLaren Special Operations)」部門の担当者であるロレーヌ・トゥーラン氏に聞いてみた。
 

本国担当者が語る、MSOでできるスペシャルメニュー

マクラーレンはカタログモデルをそのまま販売するだけでなく、顧客の要望に応えてカスタマイズを行うビスポーク・プログラムを積極的に展開している。先日、同社のビスポーク・プログラムを統括するMSO(McLaren Special Operations)の責任者であるロレーヌ・トゥーラン氏が来日した。彼らの活動の全貌を知る機会を得たので、ここで紹介しよう。

「私たちがお客さま向けのサービスを始めたのは、マクラーレン F1をリリースしたのがきっかけでした。F1を購入したお客さまの中に、自分好みに車をモディファイしたいとおっしゃる方がいらっしゃいました。そうしたお客さまの要望に応える形でカスタマー・ケア・プログラムを始めました。その後、マクラーレン SLRを発売すると、注文時にお客さまから様々なリクエストをいただくようになったため、これにも対応しました」

そうした伝統は、2010年にマクラーレン・オートモーティブとして再出発してからも続いたという。

「初のアルティメットシリーズであるマクラーレン P1を発売したときにも、ビスポーク・プログラムへのオーダーを数多く頂戴したため、私たちはMSOという部署を立ち上げ、これに対応することにしました」

トゥーラン氏によると、MSOには主に3つの役割があるという。

「その第1は、マクラーレン F1で対応させていただいたような、ヘリテージモデルへのカスタマイゼーションです。これには車両へのメンテナンスやレストレーションも含まれています。そして2番目が、いまお話ししましたビスポーク・プログラム。そして3番目が、ワンオフモデルの制作です」
 

ランボルギーニビジネス▲MSOのプログラムで作れるカラーサンプル。単色だけでなく、グラーデションカラーなども選べる

思いのままに作れる、世界に1台だけの特別なマクラーレン

ビスポーク・プログラムは、どのようなものが主流となっているのだろうか?

「お客さまにとって使いやすいプログラムとするために、あらかじめテーマを決めたカラーリングをご提案しています。そのなかには、マクラーレンの歴史的なレーシングカーにヒントを得たカラーリングや、最新のF1マシンをテーマにしたものがあり、いずれも好評をいただいています。その他にも最新の塗装技術を駆使した様々なカラーリングをご提案しています」

今回、筆者もビスポーク・プログラムを体験するため、顧客が実際に目にするのと同じコンフィギュレーター(オーダーの内容をリアルタイムに可視化するシミュレーション・システムのこと)でいくつかサンプルを見せてもらった。ステルス、ストラータ、ダイドといった名前が与えられたカラーリングは、どれも斬新なアイデアを採用したものばかり。そのテイストにしてもポップなものからサイエンティフィックなものまで様々だった。

とりわけ驚かされたのが、複数のカラーを組み合わせたり、グラデーションが施されているもの。これほど凝った塗装は、他ブランドではほとんど目にしたことがないといっていい。

MSOのビスポーク・プログラムには、この他にもインテリアの素材やカラー、ホイール、カーボンパーツなど様々なものが用意されており、その可能性は無限大といって間違いない。

MSOとしては今後、どのような展開を想定しているのか?

「ウォーキングのマクラーレン本社では、塗装をはじめとする様々な技術を現在も開発中で、今後も様々なプログラムをお客さまにご提供する予定です」

マクラーレンのビスポーク・プログラムは日本からもリモートでオーダーが可能。ニューモデルのデビューに合わせてイギリスからMSOの担当者が来日することもあるので、詳細はマクラーレンの正規ディーラーにてご確認いただきたい。
 

ランボルギーニビジネス▲インタビュー会場となったマクラーレン麻布のショールームに展示されていた様々なサンプル

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文=大谷達也、写真=師岡 学