エレメント▲自動車・中古車に関する調査・研究を通じ業界の発展を目指すリクルート自動車総研が、調査データと独自の考察をお届け。今回のテーマは「車の乗車期間」。乗る期間が短ければ、手のかかりそうな昔の車も買うハードルも下がるかも?(写真はローバー ミニ)

車検をあまり通さない20代と、10年を目安に乗り続ける60代

リクルート自動車総研が実施した『中古車購入実態調査』では、「車の乗車期間」について聞いています。今回は世代別の乗車期間の違いに注目しました。

20代はその約半数が4年未満、つまり、購入後2回目の車検を迎えずに車を乗り替えているのです。しかも全体の2割は2年未満。そうなると、1回も車検を通さない人すら一定数存在していることになります。

対して、60代では半数弱が8年以上同じ車に乗り続けています。10年を節目と考えているのでしょうか、4~5回目の車検の時期になると次の車の買い替えを検討し始めているようです。
 

リクルート自動車総研グラフ

このデータだけを見ると、「そりゃそうだよ、免許取りたての若者はぶつけたりするからまずは安い車を買うから……」と短いサイクルの理由を連想しがちですが、実態を見ると20代の中古車平均購入単価は162.9万円。60代の160.0万円と変わらないどころか、むしろ若干ですが高い金額を支払っているのです。

で、倍近い早さで買い替えているということは……? そう、実は若者がこの市場を活性化させていますよね!
 

クラウンロイヤル ▲「いつかは……」と、憧れの象徴として語られるモデルも、わりと手頃な価格で買えるのが中古車の魅力。トヨタ クラウンロイヤル(S21型)の平均価格は約177万円(2012年12月~2014年3月までのモデル)

乗り替え周期を短くすると、カーライフの選択肢が広がるかも

買い替えのサイクルが異なると、購入時に考慮することも変わるでしょう。

例えば、車検は通さず2年以内に乗り替えると決めた場合、「車検の費用が高そう……」なんてモデル選びでちゅうちょするシーンが少なくなるのではないでしょうか。

もちろん、日々のメンテナンスや定期的な整備費用など、すべてをナシで考えられるわけではありませんが。また、車検のことを考えなくて良いとなれば、もしかすると主治医的な車のケアを任せるお店を一生懸命探さなくても、多少古い車を思い切って選んだり、遠方から購入するなんて選択肢も増えるかもしれませんね。

今は新車でも残価設定ローンやサブスク、リースなどを活用して、2~3年のショートスパンで乗り替えをする人が増えている時代。

より豊富な選択肢から選べる中古車だったら、乗り替えサイクルを短くすれば、もっともっとその時々のライフスタイルに合った素敵なカーライフが送れるはず!?
 

ランドクルーザー80 ▲幅広い世代から人気のトヨタ ランドクルーザー80。およそ25年前に販売終了になったモデルだが、中古車では数年にわたり値上がり傾向が続いている。「長く乗る」と決めなければ、あこがれていた車の購入ハードルも下がるかも
文/西村泰宏、写真/ミニ、トヨタ
西村泰宏(にしむらやすひろ)

リクルート自動車総研所長

西村泰宏

カーセンサー統括編集長 兼 リクルート自動車総研所長。自動車メディアを車好きだけでなく、車を購入するすべての人のエンターテインメントに変革すべく日々の仕事に従事している。