EDR搭載義務化決定で、今後の中古車品質評価に一役買うか!?【いまどき・これからの車学】
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タグ: EDGEが効いている / 高山正寛 / c!
2022/07/22
事故時の状況を“客観的”に記録
事故発生時の状況を客観的に記録し解析に活用できる「EDR」だが、新車への搭載が2022年7月より義務化された。
EDRとは「イベント・データ・レコーダー」の略で、飛行機の「フライトレコーダー」をイメージすると分かりやすい。EDRは事故発生時に一定以上の衝撃が加わると約5秒前までさかのぼり、車両速度、ブレーキペダルの操作、エンジン回転数、ステアリング操舵角度、さらにシートベルトの装着状況やエアバッグの展開時間など最大約100種類の“客観的”データが記録されるシステム。
すでに米国では、2000年以降から裁判における証拠データとして活用されているが、これが日本でも遅ればせながら本格運用されることになる。
事故時の証拠記録としては「ドライブレコーダー」が日本では定番だが、カメラの性能や取り付け位置などで見え方や記録データは異なる。つまり、真の意味での客観性にはやや乏しい。その点では映像こそないが、EDRに記録されるデータは極めて客観性が高い。「数字は嘘をつかない」のである。
現在、EDRからのデータを抽出し解析、事故の原因解明などを行うにはこれらを策定したボッシュの「CDR(クラッシュ・データ・リトリーバル)」という専用のデバイスが必要となる。また、解析には専門知識とボッシュの認定トレーニングに合格した「CDRアナリスト」の資格が必要だ。さらに、今後の事故発生時のEDRデータの活用拡大を見据えて、データの読み出しに特化した「CDRテクニシャン」と呼ばれる資格が新設された。
中古車におけるEDRの有効性
新車への搭載義務化は法制化されたばかりだが、すでに流通している多くの中古車にもEDRは搭載されている。
これまで中古車における「修復歴車」の概念は査定士などによる目視を基本としてきたが、この場合はキャリアを含めた個人差も発生しやすい。そこで今後は、中古車査定にこの客観的な「EDRデータ」が活用されるのではないか、ということが予想される。
特に「修復歴車ではない」と査定された物件は、EDRの客観的データによってそれを裏付けることが可能(逆もありえるが)となる。また、修復歴車であっても、その車両がどのような事故だったのかをデータで「可視化」できることにもつながる。
いずれにせよ、今後は自動運転カーやコネクテッドカーが増え、事故の理由が分かりにくくなっていくことが予想される。EDRのデータがその判明に一役買うことになるのは間違いない。
カーコメンテーター、ITSエヴァンジェリスト
高山正寛
カーセンサー創刊直後から新車とカーAV記事を担当。途中5年間エンターテインメント業界に身を置いた後、1999年に独立。ITS Evangelist(カーナビ伝道師)の肩書で純正・市販・スマホアプリなどを日々テストし普及活動を行う。新車・中古車のバイヤーズ系と組織、人材面からのマーケティングを専門家と連携して行っている。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。認定CDRアナリスト&CDRテクニシャン。愛車はトヨタ プリウスPHV(ZVW52)とフィアット 500C