マニュアル▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム

およそ3台に1台がMT車! 新型シビック現象に注目

シリーズ11代目となる新型ホンダ シビックが2021年9月に登場した。同社のニュースリリースによると、発売からおよそ1ヵ月間の累計受注台数は3000台を超え、月間販売計画台数の3倍以上となるそうだ。

また、購入者の年齢層では20代が23.9%と最も多く、それに50代が22.2%で続くという。新車価格300万円超のモデルながら、若い世代から支持されているのは、ちょっとしたニュースだろう。

さらに驚くのは、累計受注台数におけるトランスミッション別構成比だ。新型シビックにはCVT車と6MT車の2タイプあるが、なんと同期間で受注したシビックの35.1%、およそ3台に1台が6MT車だったというのだ。

この数字、かなりインパクトがあったのか、ネットニュースを中心に多くのメディアの注目を集めていた。
 

リクルート自動車総研グラフ

グラフ①は、2021年10月末現在でカーセンサーnetに掲載された中古車のAT・CVT車とMT車の比率を示したものだ。MT車の割合はわずか8%。さらに対象物件から商用車・バンを除くと、MT車率は5%に下がる。

こうした中古車市場の状況は、過去の新車販売の結果であると考えると、現在進行形ではあるが新型シビックのMT車率35.1%が、いかに驚異的かがわかる。

ちなみに、新型シビックと車格的に近いトヨタ カローラスポーツとマツダ MAZDA3ファストバックの中古車掲載台数におけるMT車率は、いずれも5%だった。
 

リクルート自動車総研グラフ

新型シビックのMT車率が高い理由は、今後の検証を待つしかないが、ひとつ興味深いデータを見つけた。グラフ②が示すとおり、20歳代、30歳代の運転することを楽しめる車への興味・関心が年々高まっているのだ。

運転を楽しめる=MTという公式が成り立つかはわからないが、少なくともMT車は他に比べて自分で操る感覚が高いのは確かだ。

新型シビックで起きている現象が、グラフ②の示す傾向を少なからず反映しているなら、この先MT車の人気が高まる可能性は無きにしも非ずだ。

運転を楽しめる車へのニーズが引き続き高まり、次なるシビックのようなモデルの供給を上回るようなら、中古のMT車にも目が向くに違いない。そうなれば、近い将来、MT車の中古車相場が上がるかも。
 

相場が上がるかも!? 中古車でゲットしたい注目MT車3選

1:スズキ スイフト(現行型)
 

スズキ スイフト ▲中古車掲載台数におけるMT車率が21%と高い現行型。それをけん引しているのが1.4Lエンジン搭載のスイフト スポーツだ。予算150万円で低走行車が狙える今が買い時!
 

2:トヨタ ヴィッツ 1.5 RS(3代目)
 

トヨタ ヴィッツ ▲MT仕様は1.5 RSのみ。中古車掲載台数におけるMT車率はわずか4%と激レア級だ。予算100万円で狙える物件もあり、羊の皮を被った狼的なモデルが好きなら要注目
 

3:ホンダ CR-Z(初代)
 

ホンダ CR-Z ▲まるで漫画に出てきそうなヘタウマ風なルックスが、今となってはどことなく未来的に見える軽自動車。2人乗りのマイクロボディでトコトコ走れば、街の人気モノになれるかも
 
文/編集部、写真/スズキ、トヨタ、ホンダ、photo AC