ファッションイメージ▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム

服装や髪形と同じように車も自己表現のひとつ

以前、全塗装やオリジナルパーツを組んだカスタムカーを扱う販売店に取材した際、「車単体ではなくコーディネートの一部として考えている人がいる」という話を聞いたことがある。

要するに、そんな彼らにとって、車は服装や髪形と地続きの関係にある自己表現のひとつということなのだろう。とても興味深い価値観だ。
 

リクルート自動車総研グラフ

リクルート自動車総研が2020年に行った調査によると、車に求めるものを30項目から複数選べる設問では、「見た目やボディカラーなどの外装」を選んだ人が最も多かった(表①)。

また、車はファッションの一部か、というもう一歩踏み込んだ質問では、そう思うと答えた人は少数派ではあるものの、増加傾向であることがわかった(グラフ①)。

これらの結果には、先ほど触れた「車はコーディネートの一部」という考え方や価値観も、少なからず反映されていると考えられる。

色、サイズ、素材、機能性、デザイン、価格、etc. 何を重視して“身に着けるもの”を選ぶかは人それぞれ。

だが、選んだアイテムの総体=スタイルは、意図しているか否かは別として、その人が何者かを雄弁に語ってしまうものだ。

また、それを見た人は、時代のコードに合わせて、オシャレとか華やかとか個性的とかコンサバとか、その人のパーソナリティを勝手に読み取ってしまう。

この“身に着けるもの”を車に置き換えても、同じことが言えそうだ。「最新こそ最良」というポルシェの有名な惹句にもあるように、性能を追求すると、とかく車は新車優位になりがちだ。

だが、見た目(デザイン)に関しても果たして同じことが言えるかどうかは疑問が残る。

車をファッション=自己表現の一部として捉える見た目重視の車選びが一層定着してくれば、がぜん、中古車の存在感が光ってくるに違いない。なにしろ日本の中古車市場には、洋の東西を問わず、様々なモデルが流通しているからだ。

新車時は不人気だったモデルでも、一昔前は街に溢れていた人気車でも、時間の経過によっていい味が出ていることは珍しくない。

中古車に目を向ければ、それこそ古着を選ぶような感覚で、自分のスタイルに合う1台を選び出す楽しみも味わえることだろう。
 

最近の車とは一線を画す個性派ルックスのモデル3選

1:フォルクスワーゲン ニュービートルカブリオレ(初代)
 

フォルクスワーゲン ニュービートルカブリオレ ▲往年の名車をモチーフにした丸っこいフォルムがユニークな超個性派オープンカー。アメリカの西海岸っぽい雰囲気もあってオシャレ度高し。ルーフ全開にして乗ってほしい1台
 

2:ホンダ エレメント(初代)
 

ホンダ エレメント ▲両サイドに観音開きタイプのドアを採用したアメリカ生まれのSUV。都会派デザインが主流な昨今のSUVとはまさに一線を画す見た目が魅力の超激レア車
 

3:スズキ ツイン(初代)
 

スズキ ツイン ▲まるで漫画に出てきそうなヘタウマ風なルックスが、今となってはどことなく未来的に見える軽自動車。2人乗りのマイクロボディでトコトコ走れば、街の人気モノになれるかも
 
文/編集部、写真/フォルクスワーゲン、ホンダ、スズキ、photo AC