【フェルディナント・ヤマグチ×編集長 時事放談】アウトドアシーンの盛り上がりについて(後編)


みなさまごきげんよう。 フェルディナント・ヤマグチでございます。

最新アウトドア事情、そして多くの人が選ぶアウトドアグッズについて話をしてきましたが、カーセンサーとしては、「アウトドアを楽しむ人が選ぶクルマ」についても聞かなければなりません。何といっても自動車媒体ですからね、ウチは。

一般的にアウトドア向きのクルマといえばSUVやミニバンなどが代表的。でも今どきの若者は私の想像とは全く違うアウトドアライフを楽しんでいることを目の当たりにしたので、クルマも想像の上を行く選び方をしているかもしれません。

前回に引き続き、東京にある『A PIT AUTOBACS SHINONOME』で、お客さんがどのようなクルマに乗っているか伺っていきましょう。

アウトドアのために走る楽しさを諦める必要はない

大津
大津

前編では世代によるアウトドアの楽しみ方の違い、中編ではアウトドアを楽しむ人たちからどんな道具が人気なのかを話してきました。最後はクルマのことをお話できたらと思います。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

私もそれをぜひ伺ってみたかったです。

西村
西村

カーセンサーでは、特集で「バンライフや車中泊が盛り上がっているけれど、クルマが好きなんだったら走る楽しさを捨てたくないでしょう?」というメッセージを発信したりもしています。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

うんうん。好きならポルシェに乗れやと。

西村
西村

走るのが好きなら箱型じゃなくて好きなクルマに乗って、多少空力は悪くなるけれどルーフの上にテントを載せれば泊まれるよって。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

その感覚、すごくよくわかります。私も同じ思いで今のクルマを買いましたから。

西村
西村

普段は好きな走りを楽しむ。そして荷物をたくさん積んで出かけるときは方法を考えればいい。まさに、僕らが伝えたいメッセージを実践していただいてありがとうございます(笑)。

大津
大津

これはみなさんの感覚で構わないのですが、アウトドアグッズを買いに来るお客さんはどんなクルマで来ている印象ですか?

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

やっぱりSUVやミニバンユーザーが圧倒的に多いイメージだな。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

もちろん、今はSUVやクロスオーバーモデルが流行していますので、SUVのお客さまは多いです。でも、その中にはいわゆるコンパクトSUVと呼ばれる、積載力が決して高いわけではないタイプにお乗りの方もたくさんいらっしゃいます。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

確かにコンパクトSUVは構造的に荷物をたくさん積むのは難しいですからね。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

でも、そういう方は屋根の上にルーフバスケットを載せたりして楽しんでいます。GORDON MILLERでもルーフコンテナボックスを作っていますが、そういうものって載せてあるだけでも絵になりますしね。

西村
西村

ルーフバスケットを載せてちょっと昔っぽくカスタムするのも流行っていますね。クロスオーバー系に乗られる方は何より見た目を重視しているのは僕らが取材をする中でも強く感じます。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

機能よりも見た目が大事ということですか?

西村
西村

例えば、リフトアップして最低地上高を高くするのも、その方がオフロードの走破性が高くなるからではなくカッコいいから。そういうことですね。タイヤも悪路には行かないけれどオールテレーンを履いたり。

大津
大津

読者の方を取材していると“チープアップ”という言葉も耳にします。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

チープアップ? それはどういう……?

西村
西村

別の言葉に置き換えるならドレスダウンです。わざと昔っぽくチープにカスタムして、使い込んだ道具感を楽しむスタイルです。ワークウエアやミリタリーを古着で着るとカッコいいよね。そのノリに近いですね。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

な……マジすか? SUVかワゴンじゃないの?

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

コンパクトカーにお乗りの方も普通に楽しまれていますしね。もちろん、クロスオーバーやミニバンにお乗りの方が多いのは間違いないですが。最初の質問にご回答すると、「SUVやクロスオーバー、ミニバンのニーズは高いが、その他のクルマでアウトドアを楽しまれている方も大勢います」となります。実際、フィットや軽自動車でアウトドアグッズを買いに来られる方もいますし、それこそセダンのお客さまもいます。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

そしてルーフバスケットなどを買ってそこに荷物を積んでキャンプに行くわけですね。おもしろい。お話を聞いて感じたのは“アウトドアを楽しむならかくあるべし!”というのがなくなってきているということです。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

それに伴い、エントリーユーザーの裾野が広がっていることも実感しています。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

なるほど。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

そして私が感じているのはその裾野の広がりに、GORDON MILLERも一翼を担うことができているということです。

西村
西村

どんなときにそれを感じますか?

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

すべてではないですが、例えばシートカバーや車内でいろいろなギアを吊るすことができるフック、カーゴボックスなどはGORDON MILLERが誕生する前からある製品です。でも、デザインや色がオシャレになったことでそれを使って外に出たいと思う人が増え、実際すごく楽しそうに使ってくださっています。GORDON MILLERは新しいことを提案できているのかなと感じています。

マツダ ロードスター ▲昔からあるカーグッズをおしゃれに、便利にアップデートすることで、多くの新しいファンもついてきたGORDON MILLER。中編でもご紹介した、汚れや水もはじくシートカバーは、広げると写真のようにおしゃれに座席を保護してくれます
マツダ ロードスター ▲アウトドアに出かけるときだけ荷物を積めば普段は走りを楽しめる!。A PIT AUTOBACS SHINONOMEでも、もちろん人気商品のひとつです

アウトドアのために走る楽しさを諦める必要はない

西村
西村

ところで、GORDON MILLERはオートサロンやキャンピングカーショーなどでコンプリートカーの展示も行っていますね。そちらの調子はいかがですか?

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

おかげさまで大変好調です。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

GORDON MILLERのキャンピングカーも今回紹介していただいたアウトドアグッズと同じコンセプトですか?

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

車両のコンセプトでいえば、先ほども話題に上がった“チープアップ”に近いかもしれません。

西村
西村

普段使いもしやすいですよね。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

いわゆるキャンピングカーは車内に家庭用のエアコンが付いて、水道やキッチンが付いて、価格は800万円くらいするものが中心です。でも、多くの方が求めているクルマは、普段使いもできて、オシャレなデザインで、車中泊もできたらいいなというもの。こういうニーズが高いんです。

西村
西村

 装備が増えて大型になると、普段使いは厳しくなりますね。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

とくに都市部で生活していると、大型のキャンピングカーを置く駐車場を確保することも至難の業です。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

そのとおりです。そんな中でGORDON MILLERは、無駄を省くことで一般の方でも選びやすくしたモデルを開発しています。キャンピングカーとして見たときには本当に必要な機能だけを搭載した、チープアップしたモデルだと考えています。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

ベース車両は何ですか?

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

日産のNV200バネットと、トヨタ ハイエースです。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

200? 350キャラバンではなくて?

西村
西村

5ナンバーサイズのNV200は今、車中泊仕様のベース車としてすごく人気なんですよ。あまりにも人気があるから、日産自身が車中泊仕様を発売したくらいです。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

売れているならうちが上流から抑えてしまおう、ということか。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

そのクルマにオリジナルのカラーリングを施してドレスアップして販売しています。ちょうど今実車もあるのでご覧になりますか?

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

ぜひ見せてください!

マツダ ロードスター ▲中編でも登場しましたが、GORDON MILLERで大人気の日産 NV200バネットをベースとしたキャンピングカー。おしゃれな見た目と、キャンピングカーとしての使い勝手の良さが魅力です
フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

おー、ミリタリー感があってカッコいいじゃないですか。顔がかなりかわいいですね。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

フロントフェイスにはブラック塗装したグリルの中にGORDON MILLERのロゴを付けています。

西村
西村

インテリアはウッド仕様になっていますね。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

サイドと天井には天然の木を使用しています。床面は濡れたものも積めるように塩ビシートを使いました。素材を厳選して手間もかけて製造しているのでノーマル車と比べると価格は高くなりますが、これだけのことを購入後に自分でやろうとすると相当な予算が必要になるはずです。その意味ではかなりお買い得だと思いますよ。

マツダ ロードスター ▲説明を受けながら、車内に使用された木や広さに感動しまくりの2人。写真を撮ったり質問をしたり、購入意欲を刺激されまくりでした
フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

室内はかなりコンパクトに見えますが、寝ることはできますか?

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

今はテーブルを組んでいますが、ベッドモードにすると奥行きが184cmあるので、フェルさんならゆったり寝られるはずです。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

こうやって実車を見るといろいろ想像が膨らみますね。今はノーマルのシートだけれど、ここに店舗にあったGORDON MILLERのシートカバーを付けたくなるな。

西村
西村

せっかくだからハイエースも見せてもらいましょう。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

顔を丸目にするの、流行っていますね。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

一般的にインテリアを板張りっぽくする場合はシートを張るケースが多いのですが、このハイエースもNV200同様に天然木を多用しています。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

その分フロアは少し高くなっているのかな。

西村
西村

フェルさんのように大きなものを積んで出かけることを考えている人は、実際に積めるかよく確認する必要がありそうですね。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

こうやって実車を見ると、クルマやこのシーンのことをよくわかっている人が作っていることが伝わってきます。例えば、バックドアのカーテン。よくわかっていない人が手がけるとバックドアを上げたときにビローンと垂れ下がったりするんですよ。

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

ありがとうございます。それもあって、お値段は少し高くなりますが多くの方に選んでいただいています。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

今オーダーを入れるとどのくらいで手元に来るのですか?

オートバックスセブン 広報・IR部
オートバックス

半年くらいお待ちいただく形になります。

フェルディナント・ヤマグチ
フェルディナント・ヤマグチ

半年か。でも欲しい人なら待つ価値は十分ありますね。今回はいろいろ教えていただきありがとうございました。

マツダ ロードスター ▲取材が終わった後も店内のグッズに夢中でお店を離れがたい……と名残惜しそうなお2人。読者の皆さまもぜひ、アウトドアのご相談は「A PIT AUTOBACS SHINONOME」へ

(アウトドア編は今回で最後です。A PIT AUTOBACS SHINONOMEさん、大変お世話になりました。次回の連載もお楽しみに!)

文/フェルディナント・ヤマグチ 編集協力/高橋満(ブリッジマン)
フェルディナント・ヤマグチ

コラムニスト

フェルディナント・ヤマグチ

カタギのリーマン稼業の傍ら、コラムニストとしてしめやかに執筆活動中。「日経ビジネス電子版」、「ベストカー」など連載多数。著書多数。車歴の9割がドイツ車。