SUV▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム

SUVを検討の初期から想定する人が増加傾向に

ワイン好き、中でもブルゴーニュやボルドーなどフランスワインに興味がある方には、2009年と2010年が当たり年だったことをご存じの方も多いだろう。

特にブルゴーニュの赤では、秀逸なブドウが2年連続で収穫されることはとても珍しいそうだ。自動車業界でも、2019年と2020年は、2年連続の当たり年と語られるであろう現象が起きている。そう、SUVだ。

この2年で登場した新型SUVをバイネームで挙げていくと、おそらく紙幅の半分くらいは車名で埋まるほど、数多くのモデルがリリースされた。

そこにトヨタのライズやハリアーなど、大ヒットモデルが含まれているところをみると、量だけではなく質でも優れた収穫年だと言えるかもしれない。

加えて、ハイブリッドやディーゼル、EVなどパワーユニットの選択肢が増えたことや、クロスオーバー車の守備範囲が広がるなど、少し前から見られ始めた傾向が、加速度的に強化さていることも特徴だ。

つまり、2019~2020年はSUVの多様化、ダイバーシティ化が飛躍した当たり年という側面もありそうだ。
 

リクルート自動車総研グラフ

中古車でもSUVの人気は年々アップしている。グラフ①が示すとおり、購入検討の早い段階からSUVを想定している人の数は、セダンやステーションワゴン、ハッチバックのそれを超えるようになった。

流通量におけるパワーユニットの割合では、ガソリン車が過半数を超えているものの(グラフ②)、他のボディタイプに比べハイブリッド車やディーゼル車の割合は高い。

こうした傾向は、2019~2020年デビューのSUVが潤沢に中古車市場へ流入してくるであろう3~5年先には、さらに強化される可能性は十分ある。

そうなると、燃料価格や自動車関連の規制、税制に大きな変化がない限り、当たり年SUVの中古車相場は高値がしばらく続くことになるだろう。

一方で、新しいモデルが数多く登場し人気を博している状況では、差別化を図りたいという欲求が高まり、古いモデルに注目が集まるケースがある。

もしかしたら、2019~2020年に登場したSUVが中古車市場で主流になる頃には、古いモデルの相場がアップする可能性もあり得る。

新しい人気モデルも良いけれど、人とかぶるのはちょっと……とお考えなら、今のうちにちょっと古めのSUVを手に入れる手もありだ。

いずれにしても、流通量の少ないレア車が多いので、早めにアクションした方が良さそうだ。
 

今のうちに予算100万円で狙いたい“ちょい古系SUV”の注目3モデル

1:スズキ ジムニー(JA11、JA12型)

スズキ ジムニー ▲現行型の大ヒットを受け、人気が出始めているJA型最終モデル。すらっとしたスタイルの都会派SUVが多い今、古めかしいメカ感たっぷりな外観は抜群の存在感を放っている
 

2:日産 ラシーン(初代)

日産 ラシーン ▲四角いフォルムが特徴のクロスオーバーSUV。現役当時はカワイイ系キャラで人気を博したが、生産終了から20年が経過した今ではネオクラシックカーの風格すら出てきた
 

3:ホンダ クロスロード(2代目)

ホンダ クロスロード ▲当時では珍しい3列シートの7人乗り仕様だったクロスロード。2007年2月~2010年8月のわずか3年半しか生産されなかったため、中古車のレア度はなかなかのハイレベル!
 
文/編集部、写真/photoAC、スズキ、日産、ホンダ