▲100万円台で手に入る新車のハイブリッドとして登場したアクア。瞬く間に、プリウスを凌ぐ人気車種となりました ▲100万円台で手に入る新車のハイブリッドとして登場したアクア。瞬く間に、プリウスを凌ぐ人気車種となりました

あれから8年。ショックはあまりに大きかった

平成23年に日本で起きたことといえば、あの出来事。

東日本大震災です。

あれからもう8年という気もするし、まだ8年という気も。

私自身が受けた被害は家に置いてあったガラスの置物が落ちて壊れた程度でしたが、遠く離れた地には家族や住まいを失った方がいることを思うと、しばらく仕事が手に付かなかったもの。

いつもの年と同じように他にもたくさんの出来事があったはずですが、正直、震災のインパクトがあまりに強すぎて覚えてません。

供給不足を置き去りに消費ばかりが増えた

▲今や幼稚園・保育園などの送り迎え必需品となった電動アシスト付き自転車。MTBや折り畳み式などバリエーションも増えました
▲今や幼稚園・保育園などの送り迎え必需品となった電動アシスト付き自転車。MTBや折り畳み式などバリエーションも増えました

社会全体に目を向けると、スマホがぐんぐん普及していった時期でした。

ただ平成23年時点でのスマホ保有率は、まだ3割程度。

ここまで普及し、ガラケーを駆逐しちゃうとまでは思ってなかったですよね。

また電動アシスト付き自転車の販売台数が初めて、バイク全体の販売台数を上回ったそうですよ。

新車販売台数ではプリウスが2010年1年間の合計で30万台以上も売れ、歴代トップに。

1990年代にカローラが記録した数字を久々に塗り替えました。

ちなみにプリウスはその後、2012年まで4年連続で販売台数トップの座を守り続けます。

ハイブリッド車が身近になった

▲ハイブリッドシステム、ボディとも超軽量化することで省燃費を実現したアクア。一時期は世界で最も低燃費な乗用車でした▲ハイブリッドシステム、ボディとも超軽量化することで省燃費を実現したアクア。一時期は世界で最も低燃費な乗用車でした

さて、今回もそろそろ私的トップ3の発表にまいりましょう。

第3位は……トヨタ アクアに決定。

何を隠そう、プリウスの独擅場となっていた新車販売台数の記録を2013年に奪ったのが、弟分であるアクアなのです。

よく、プリウスの小型版とかいわれるけど、シャシーをラクティスと共有するなど、中身は別モノ。

当時、プリウスはすでに3代目になっていましたが、アクアの駆動系は2代目プリウスのシステムをベースに新開発したもの。

あの小さなボディに、本格的なハイブリッドシステムがよく載ったな、と感心させられます。

重心の低さが印象的な運動性能、積載性もまあまあ確保されている、とコンパクトカーとしても優秀。

ハイブリッド車を買おう! と意気込まなくても、良さげなコンパクトカーを探したら、たまたまハイブリッドだった……というレベルに仕上げているところが3位選出の理由です。

普通のインサイトとは一味違うんです

▲通常のインサイトよりパワフル&ラグジュアリーな仕立てとしたインサイト エクスクルーシブ▲通常のインサイトよりパワフル&ラグジュアリーな仕立てとしたインサイト エクスクルーシブ

第2位はホンダ インサイト エクスクルーシブ。

まさに激“シブ”のセレクト。

そしてまたもやハイブリッドです。

ちょいとマイナーな車種ですが、2009年にフルモデルチェンジしたインサイトの排気量&高級感アップ版。

あのCR-Zと同じエンジンで、街中の走りは余裕タップリ。

ハイブリッドなのに高級、というのも当時は目新しかったです。

ステアリングを握ってみると意外にもホンダらしいスポーティさがあって、車好きにはたまらないモデルでした。

販売台数では同じ時期に登場したアクアに大きく“水”を開けられましたが、中古車としてはお買い得ですよ!

2010年代で最もヒットした新型車

▲軽スーパートールワゴンはもちろん、軽自動車全体の販売台数トップ車となった初代N-BOX。デビュー翌年には荷役性を高めたN BOX+も登場▲軽スーパートールワゴンはもちろん、軽自動車全体の販売台数トップ車となった初代N-BOX。デビュー翌年には荷役性を高めたN BOX+も登場

第1位は、久しぶりに軽自動車から選びましょ。

ホンダ N-BOXにします。

軽自動車界では2000年代初頭からダイハツ タントなどの「スーパートールワゴン」「スーパーハイトワゴン」が人気になっていました。

当時、このカテゴリーのモデルをもっていなかったホンダが満を持して発売したのが、初代N-BOXです。

シャシーこそNシリーズ共有ですが、エンジンは新開発のDOHC、新開発のCVT、ボディは高張力鋼板、と気合い入りまくり。

フィットで培った、燃料タンクを薄型の異形にして車体中央付近に配置するホンダ独自の技術「センタータンクレイアウト」も車内空間の確保に役立ちました。

ボクシーだけど愛らしさのあるデザインも良かったよネ。

ルックスは好評で、2代目にもそのまま受け継がれたのはご存じのとおりです。

この初代N-BOXは大ヒットとなり、軽自動車全体での販売台数トップに。

その後、登場するスズキ スペーシアなどのライバルを抑え、軽スーパートールワゴン界におけるキングの座を現在に至るまで保持しているのです。

震災を乗り越えて、車業界ではハイブリッド車や軽スーパートールワゴンのカテゴリーが活気づいた平成23年。

時代は確実に進んでます!
 

文/田端邦彦、写真/トヨタ、ホンダ、Adobe Stock

田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。