▲5月23日(土)より、『新劇場版「頭文字D」Legend2-闘走-』が全国ロードショー ▲5月23日(土)より、『新劇場版「頭文字D」Legend2-闘走-』が全国ロードショー

中智仁監督に新劇場版第2弾の魅力を聞く!

5月23日(土)、『新劇場版「頭文字D」Legend2-闘走-』が全国劇場にて公開される。『頭文字D』(作:しげの秀一/講談社刊)は、峠道を“攻める”走り屋の若者たちの青春を描いた人気漫画だ。累計部数4860万部を誇り、かつて若者たちを中心に車ブームを巻き起こした。

その新劇場版3部作の第2弾となる今作では、「バトル!バトル!バトル!」と公式サイドで謳うように、前作で原作ファンをも魅力した大迫力のレースシーンがさらに進化。主人公・藤原拓海と、ライバルとある中里毅と庄司慎吾の“バトル”を熱く描く。

そんな車好き必見の今作。監督である中智仁氏に、見どころを伺った。

車のアニメーションにこだわりアリ!

―ズバリ映画の見どころは、どこでしょう?

中:やはりカーバトルでしょうか。前作は、同じFRのFD RX7とのドリフト対決でした。しかし、今作は拓海の駆るFRのハチロク(トヨタ スプリンタートレノ)とナイトキッズの中里毅が駆る4WDのGTR、同じくナイトキッズの庄司慎吾が駆るFFのシビックEG6との対決と、駆動方式の違う車同士が対決します。

前半は、380馬力想定のGTRのグリップ走行と、FRのハチロクのドリフト対決が大きな見どころです。一般的なレースでの車の挙動はグリップ走行で、重厚なレースカーのようなかっこよさがGTRにはあります。それが、軽量で挙動の派手なドリフト走行のハチロクと対決するという無茶な取り合わせではあるのですが、「峠」という舞台でダウンヒルバトルとなればドライバーのテクニックによって、結果の見えないバトルにもなりうるという面白さを描いています。

一方、後半の見どころは、ハンドルに片手をガムテープで固定してバトルするという、シビックEG6とのイレギュラーマッチです。ハンドルの持ち替えができず、さらにハンドルがある程度の角度しか回せずに、マニュアル車で狭い峠道を全開走行……。色々な意味で危険なバトルとなっています。そこをいかに戦うのか、そう いったところを楽しんでいただきたいです。

―たしかにバトルはすごい迫力でした! 車の動きひとつひとつに、こだわりを感じました。

:ありがとうございます。そこは、一番時間をかけた部分です。リアルなだけでなく、いかに迫力とかっこよさを出せるか、その為の多少の“誇張”と“嘘”のバランスで、映像として気持ち良いところを目指しました。

また、駆動方式や車格の違う車の動き方にもこだわりました。例えば、FFのシビックはそのままではドリフトしないのでサイドブレーキを使って後輪をロックさせて車体を滑らせますが、ずっとロックさせるわけではなく止めたり戻したりをコーナーでやっていて、後輪が止まって滑り、回って進むとそれによって車体の角度がコーナーに合ってくる、といった動きをさせています。

車の効果音も、新たに今作のために収録しました。エンジンの音、ブレーキの音、ドアの開閉の音、タイヤのスキール音など全て実車から録音しています。

―逆に、苦労した点はありますか?

:今回もプロレーサーの片岡選手に監修していただいているのですが、ドリフト走行については前作で積み上げたノウハウがあったので、初めからそれなりに評価していただいたのですが……。比較的簡単だと思っていたGTRのグリップ走行について、厳しいご指摘をいただきました。

難しかったのは、単純にグリップ走行であるということだけではなくて「上手いグリップ走行とは何か」といったところ。具体的には、コーナーへの進入の角度やラインどり、車体の傾きなどですが、相当修正をして合格点をいただきました。片岡選手、本当にありがとうございました!

しかし、一番苦労したことは、尺(時間)に収めることです。前回もそうだったのですが、これだけの内容を60分に収めるというのが一番大変でした。泣く泣く落としたカットやシーンもあり、そのバランスに苦労しました。

ただ、そのお陰で見終わったときにもう少し観たいなと思わせる尺的な“空腹感”は残せたかと思います。3部作の2部ということで、そのもう少しを次作で満たしていただきたいと思います。

▲カーバトルは迫力満点。車好きも納得のクオリティだ ▲カーバトルは迫力満点。車好きも納得のクオリティだ
▲「ひとつひとつのカットやシーンは、それぞれこだわって作られている」とのこと ▲「ひとつひとつのカットやシーンは、それぞれこだわって作られている」とのこと

人間ドラマにも注目!

―キャラクターもすごく個性的で魅力がありますね。

:そうですね。拓海を取り巻くキャラクターたちも、ある意味、見どころです。

中里は、男臭いかっこよさだけでなく、その猪突猛進な姿にはちょっと可愛げがあったりします。高いドラテクを持ちながらもダーティーなバトルを仕掛けてくる庄司も憎まれ役ではありますが、自分の車に対する愛情が深く、傷ついた愛車に涙したりと、どこか憎めないところも持っています。

また、拓海にドライバーとして独自の英才教育を施す父親・文太との不器用な親子の対話や、幼馴染でお調子者の樹、気のいい先輩たちの池谷と健二、ヒロインのなつきとの関係など、キャストの皆さんも時間をかけて良い芝居をつけていただきました。そういったドラマ部分も楽しんでいただければと思います。

▲拓海と父・文太の1シーン。父から子へと“走り屋の魂”は受け継がれていく ▲拓海と父・文太の1シーン。父から子へと“走り屋の魂”は受け継がれていく
▲純粋に速さを追求してGTRとグリップ走行にたどり着いた、ライバルの中里毅 ▲純粋に速さを追求してGTRとグリップ走行にたどり着いた、ライバルの中里毅
▲天然、小悪魔的な性格な茂木なつき。拓海との関係はどうなる? ▲天然、小悪魔的な性格な茂木なつき。拓海との関係はどうなる?
text/たけだ たけし photo/(C)しげの秀一/講談社・2015新劇場版「頭文字D」L2製作委員会