レース初心者の編集部員が4時間耐久レースを走ったら……
2016/11/08
無謀にもサーキット走行初心者の編集部員(森本・野田)を伝統あるメディア対抗ロードスター4時間耐久レースに送り込んだカーセンサー。何とか走りきった2人が発した言葉は「もう参加したくない」「とにかく悔しい!」だった。そして、この体験を機に2人にある変化が……
メディア対抗ロードスター4時間耐久レースとは?
メディア対抗ロードスター4時間耐久レースは、自動車に関係するメディアが年に一度、意地とプライドを懸けて戦う伝統あるレースだ。マツダはこの大会をサポートし続ける目的を「車を走らせる楽しさを伝える」と言っている。普段、車の情報を伝える立場のメディアに、レースという極限状態の中で、運転の楽しさを体感してほしいというメッセージだろう。
9月3日に筑波サーキットで行われた27回目の本レース、車両は現行型ロードスターだ。参加27チームのマシンは全台同じコンディション。限られた燃料で4時間を走り切るには戦略とチームワーク、なによりもドライバーの腕が勝敗を分ける。そのため、各チームは名だたるプロドライバーやレース経験豊富なジャーナリストを助っ人に迎えることも多い。
我々も昨年は坂本勇也プロと、弊誌の試乗記でお馴染みのレース経験豊富な松本英雄氏をドライバーに迎え参戦。それでも結果は170周で20位だった(完走21チーム) 。
チームカーセンサーのドライバーは?
そんな中で、無謀にも今年はメンバー5人をALL編集部員、内2名は全くのレース初心者で挑んだ。レースで上位を目指すことももちろん大事だが、耐久レースという極限の状況下を通じてレース素人だから感じることが間違いなくある。無事完走を果たした彼らは、なにを感じたのだろうか?
初めてレースを体験し無事に完走を果たした素人ドライバー2人。普段の運転を苦にしたことのないという彼らだが、サーキットではさすがにちぐはぐ……。サーキットでの走行はどう違うのか。レース中はもちろんだが、その後の心境の変化を聞いた。
初レースは99%の恐怖と1%の快感だった(森本の感想)
「もう二度とロードスターレースには参加したくない」というのが走り終えての正直な感想でした。慣れないMT車の操作に加え、1つでも上の順位を狙って背後から迫ってくる車がこれほど恐ろしいとは思ってもみませんでした。日が落ちていたこともあり、ヘッドライトの光は今でも少しトラウマになっています。
しかし、数日後自分の車を運転していると、不思議と思い出す感覚があります。ブレーキのタイミングやステアリング操作など、よりスムーズに曲がるためにはどうすれば良いかを考えている自分がいました。レース中は恐怖と闘いながらもコンマ1秒でも速く走ろうと必死。同じコーナーでも、うまく曲がれたときは、驚くほどスムーズでした。もし、思いのままに操れるのであれば、レースって、運転って楽しいだろうなぁと。それでもやっぱり今回のようなハイレベルなレースには出たくないですが、あの快感を手に入れられるのならサーキットでまた走りたい気も少しします。
車購入を決意させた「悔しさ」(野田の感想)
4時間のレースのうち、自分が走るのは約50分。トラブルなく走り終えたものの、残ったのは「悔しさ」と「面白さ」でした。私は今回サーキット2回目の「ド」が付く素人。そうそうたるドライバーを揃える他チームを前に、何度も抜かれることなどレース前から分かり切っていたわけです。しかし、いざ本番、抜かれてみるととにかく悔しい。自分の感覚ではミスをしていないのに抜かれたときは相手の車に向かって叫んでいたくらいです。だって同じ車同士ですよ? 自分の運転が下手、これ以外に抜かれる理由がないわけですから。反面、極まれながらこちらが抜く瞬間は爽快感に満ちていました。本当に数えるくらいなんですけどね……。
レース後はその爽快感をまた味わうため、そしてあの悔しさをいつか晴らすべく、練習用の車購入を決意。ただいま物色中です。多分また数えきれないほど抜かれるのでしょうが、それでもまたあの爽快感を味わうべく、練習に励みたいと思います。
あとがき
レース初心者も含んだ編集部員のみという無謀とも思える体勢で挑んだレースであったが、そこでしか得ることができないものを初心者2人は得た。極限状態の車を操ることで、普段の運転では決して感じることのできなかった快感を体験することができたようだ。その姿を見ていたメンバーも、運転スキルのほとんど変わらない同僚が頑張っている姿を見て、感じるものが多くあったという。さらに、メンバーの中には現行型ロードスターの持つポテンシャルに魅了され、自分用に購入した者も出てきており、今回のレースを通じて確かな変化がカーセンサー編集部に起きている。
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