今年度の「第28回2007-2008日本カー・オブ・ザ・イヤー」の最終選考会が、11月20日と21日の両日に開催された。選考会場は昨年の丸ビルから、今年は東京都江東区にある有明コロシアムへと移っている。
すでに11月1日に、ノミネートされた55台の中から10台(10ベストカー)が選出されており、まず20日には、その10ベストカーに選出されたメーカーのプレゼンテーションと、選考委員による最終確認のための試乗会、さらに投票が行われた。
そして翌21日。午後1時半よりいよいよ開票が開始された。

最初に特別賞3賞から選ばれたのだが、ここでは注目のイヤーカーの開票模様からお届けしよう。すでに60名の選考委員は、それぞれ持ち点25点のうち、10点を1台に、残り15点を任意に配分して4台へ投票している。開票はその選考委員の点数を一人ひとり開票することで、結果的に投票された車の点数が少しずつ加点されていくカタチで行われた。

序盤からホンダフィット、M・ベンツ Cクラス、日産スカイライン/スカイラインクーペ、スバルインプレッサ/インプレッサWRX STIが競り合う格好。途中からフィットが頭ひとつリードしていくが、一時Cクラスに迫られるシーンも。しかし最終的にホンダフィットが374票の得票を得て逃げ切った。

フィットは激戦のコンパクトカー市場において、旧型を大きく越えるパッケージング&ユーティリティ、走行性能など、コンパクトカーの新たなベンチマークとなる実力が高く評価され、見事イヤーカーに輝いた。

また、輸入車で最も高い得点を得た車に贈られるインポート・カー・オブ・ザ・イヤーは、フィットを追い上げ2位に食い込んだ(299票)M・ベンツ Cクラスに贈られた。
ホンダ フィット M・ベンツ Cクラス

さて特別賞の3賞だが、こちらは選考委員60名が該当する車種を各1台投票する方式となる。
まずは革新的かつ優れた技術に贈られる『Most Advanced Technology』。こちらは省燃費性能と、排気量を超える動力性能を持つ新世代エンジン“TSI”を搭載した、フォルクスワーゲンゴルフシリーズ(ゴルフGT TSI / ゴルフトゥーラン / ゴルフ・ヴァリアント)が受賞した。環境問題やガソリン価格の高騰の時代に応えたタイムリーな技術が60名中48名の評価を得た。

また、ドライビングの楽しさを含めた“Fun”な車に贈られる『Most Fun』は、進化した『ツインクラッチSST』などの最新技術を搭載した三菱ランサーエボリューションXが獲得。ブランドとしても高い評価を受けている『ランサーエボリューション』の高性能な走りを、従来のコアなランエボファンだけでなく幅広いユーザーに楽しめるようにした、その技術と提案に43名が票を投じた。

そして、ハード&ソフトを問わず“新しい価値”を提案した車に贈られる『Best Value』にはダイハツミラが選出された。接戦となった『Best Value』だが、軽自動車の原点に立ち返った走りや環境性能、そして高い経済性が評価され、結果ミラが27名の票を集めて受賞した。
VW ゴルフ シリーズ 三菱 ランサーエボリューションX ダイハツ ミラ
例年の受賞から分析すると、イヤーカーの“当選ライン”と言われるのは400票。しかし今年度のフィットはそれを下回る374票となった。3位になったスバルインプレッサ/インプレッサWRXが273票、日産スカイライン/スカイラインクーペも245票を獲得するなど、それだけ今年はまれに見る接戦であったと言える。

Text/高山正寛 Photo/萩原文博