出せばいいのに…って普通に思うこの二台

富士スピードウェイで開催された「ワクドキ体験会」。この体験会がなんたるかは、前回の記事を参考に。2回目は「これはなかなかイイんじゃないの!」と思った車をご紹介したいと思います。

まずは「マトリックス」。キアヌ・リーブスのアレじゃないですよ! 初代マトリックスは日本に導入されていませんが、過去には姉妹車にあたるヴォルツが日本で販売されていました。初代はサイオンtCほどではないにせよ、若者向けのショートワゴン風のボディでしたが、今回試乗した2代目は、日本でいえばオーリス/ブレイドに近いハッチバックボディです。
  • トヨタ ワクドキ試乗会 マトリックス 走り|日刊カーセンサー
  • トヨタ ワクドキ試乗会 アイゴ 走り|日刊カーセンサー
↑マトリックスのコーナリングはロールが大きめだが、腰砕け感が少なく懐の深い、そこそこにスポーティなこの「ユル~い感じ」がよかったりして(左) アイゴは決してパワフルじゃないが、現地で販売している車両のデータを見ても軽自動車程度の車重の軽さと足回りのしっかり感が好印象(右)
ラゲージルームのサイズやアレンジなどは実用的だし、サイオンtC同様、オーディオにうるさそうな現地のユーザー向けに、ラゲージ脇にはJBLのサブウーハーなども組み込まれているなど、使いやすいボディサイズと相まって、結構日本市場でもイケるんじゃないかな、と思うんですよね。でも現実は前述したようにオーリスなどがあるので、こちらも日本に入ってくる可能性はないでしょうな。トホホ…。

もう一台のアイゴ(Aygo)は、欧州でトヨタとプジョーの合弁会社により生産されている、Aセグメントに位置するコンパクトカー。ぶっちゃけヴィッツよりも小さく、iQよりも大きいサイズ。欧州では3ドアも販売されていますが試乗車は5ドア。内装やパーツなどを見ても、日本車のソレとはかなり異なっており、わりと「素のまま」という感じ。それが安っぽいかっていうと、これがいい味出してるんですよ。

アイゴを見たら正直「安っぽい」という第一印象をもってしまうかもしれませんが、鉄板むき出しの部分とかも、妙に味わいがあります。リアゲートはガラスハッチで使い勝手が良いのですが、ゲートを支えるダンパーが1本とか、コストダウン感は正直あります。でもスタイリングを含め、このフツー感がイイのだ、ってことでアイゴ。台数限定で輸入してくれると日本の自動車市場も面白くなると思うのですが…どうでしょうかね、トヨタさん?

レクサスLFA以上のスゲー奴と今後注目の「GAZOO Racing」

続いて試乗したのが今年トヨタが一番推している(?)マークX。マークX自体は昨年発表していますが、今回試乗したのはモデリスタで販売される「+Mスーパーチャージャー」というモデルです。クラウンにも設定のあるこのシリーズ、簡単に言えばスーパーチャージャーをプラスし、専用の足回りをセットしたコンプリートカー。

で、ぶっ飛んだのがそのスペック。今じゃスペック自慢なんてダサイぜ、とか言われそうだが、ノーマル(3.5L)に比べ、最高出力は42psアップの360ps、最大トルクは12kg-mアップの50.7kg-m! このトルクは、V10エンジンを搭載したLFAの48.9kg-mを上回るスペック。

前述したようにスペック至上主義の時代は終わっているとはいえ、オジサンにはこういう“ぶちかまし”がインパクト大なんですよ。まあその分500万円超え(試乗した350S)とまずまずのお値段。でもパフォーマンスを考えると、お値打ち感は結構あると思います。
  • トヨタ ワクドキ試乗会 マークX +Mスーパーチャージャー 走り|日刊カーセンサー
  • トヨタ ワクドキ試乗会 iQ GRMN+スーパーチャージャーコンセプト 走り|日刊カーセンサー
↑“背中を蹴飛ばされる”ような豪快な加速感が低速から長く続く、スーパーチャージャー(SC)ならではのフィーリングが新鮮なマークX。一方で足回りがガチガチかと思いきや、乗り心地はしなやかで良好(左) iQは1.3Lの直4にSCを装着。特にコーナリングやレーンチェンジ時の俊敏な動きは新鮮な発見(右)
GAZOO Racingからは3車種が用意されていましたが、その中で実は一番欲しいと思ったのが「iQ GRMN+スーパーチャージャーコンセプト」。この車もクラウン同様、スーパーチャージャーを装着したモデル。正確なスペックなどは公表されていませんが、コレかなり楽しい! っていうか、iQってこんな面白い車(ベースとしても)だったんだ、ってことを再認識。ホント軽快ですよ。

新車の販売はなかなか厳しいようですが、こういう車が出てくると面白くなりそう。前述したように、個人的にはiQ自体の面白さを再認識したので、この機会に中古車を探してみようかと。で、カーセンサーnet見たら…「うおおおっ!」って結構お買い得の車種あるんですよね。皆さんもちょっとチェックしてみてください。

GT5だよね、たぶん…

ほかにも魅力的な車があったのですが、全部紹介することは無理!ってことで、最後に来年発売予定(?)のFT-86のドライビングシミュレーターが置いてあったので早速こちらも試乗してみました。ハッキリ言って凄すぎ! これって11月3日発売のGT5(グランツーリスモ5)ですよね? で、これに関しては安直な物言いですが「ホント、リアルですわ」に尽きます。トヨタ広報Hさんの後ろからの視線にプレッシャーを感じながら、ヘロヘロになりながら完走。発売までは時間のあるFT-86、それまではGT5でお楽しみください!

用意された試乗車も多かったので、正直もう少しじっくり見る時間が欲しかったものの、「トヨタ ワクドキ体験会」ですが、このようなイベントは大賛成。ユーザーなども巻き込めるとトヨタファンも増やせると思いますぞ。

Text/高山正寛 Photo/尾形和美