クラシックカーラリー▲日本をはじめ、世界各地で人気を集めているレースが、クラシックカーラリー。速さを競うのではなく、クラシックカーでいかに設定されたタイムで走るかが重要で、速すぎても遅すぎても、交通違反も減点。観光名所を走るルートが多く、2~4日間の日程で開催されることが多い。また、クラシックカーが走る姿をひと目見ようとするギャラリーも多い

実は年代によって旧車の呼び名は異なる

車が好きな人たちに支持されるジャンルの一つに「旧車」がある。一般的にクラシックカーといわれるジャンルだ。輸入車、日本車に限らず、現代の車とは異なる美しさや味わいがある旧車は、所有するのはもちろん、眺めるだけでも楽しいものだ。でも、やっぱり車好きとしては、一度は自分の手で走らせてみたいと思うもの。さらに、同好の士が集まればより楽しいものだ。そんな旧車好きが集まり、競い合い、楽しむモータースポーツ、それがクラシックカーラリーだ。

ちなみに、古い車を指す言葉には「旧車」や「ビンテージカー」「ヒストリックカー」、そして「クラシックカー」など、様々なものがある。

実はそれらには定義があるとされるが、国や団体によって異なり、少々ややこしい。イギリスの分類方法がグローバルスタンダードとされており、自動車が誕生した1800年代の終わりから、およそ10年ごとに区分けされている。中でも1919年から1930年頃には、エポックなモデルが世に多く誕生したことから、当たり年のワインになぞらえて“ビンテージ”という言葉が使われている。以下の4つが、いわゆる戦前といわれる第二次世界大戦前(一般的に1939年以前)の区分けだ。

1886~1904年:ベテランカー
1905~1916年:エドワーディアンカー
1919~1930年:ビンテージカー
1931~1942年:ポストウォービンテージカー

そして諸説あるが、第二次世界大戦後(一般的に1945年以降)から1971年までのモデルを“クラシックカー”と呼ぶことが一般的だ。したがって、ポルシェ 356やランボルギーニ ミウラ、さらにはトヨタ 2000GTといった日本でも人気の名車たちは、クラシックカーに分類されることになる。

ちなみにアメリカでは、1930年以前に製造された車をアンティークカー、1931~1960年をクラシックカー、1961年以降をプロダクションカーと分類している。イギリスとアメリカの両方の文化に影響を受けている日本では、混用されることが多いため、より複雑になっている。
 

ポルシェ356▲クラシックカーの代表格がポルシェ 356。戦後の1948年から1965年まで生産された小型スポーツカーで、今ではレプリカモデルも流通している。中古車市場での車両価格は「応談」がほとんどで、価格が明記されている物件では1500万~2500万円ほどとなっている

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ポルシェ 356 × 全国
ランボルギーニミウラ▲1966年から1973年まで製造されたランボルギーニ ミウラ。マルチェロ・ガンディー二による流麗なデザインと、V型12気筒エンジンをミッドシップに横置きに積んだレイアウトが話題となった。生産台数は750台ほどといわれている

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ランボルギーニその他 × 全国
トヨタ2000GT▲世界に誇る日本の名車、トヨタ 2000GT。1967年から1970年のわずか3年間だけ生産された、トヨタとヤマハの共同開発で誕生したスポーツカー。当時の最新技術(DOHCエンジンや四輪ディスクブレーキなど)を盛り込んだ超高級モデルだった

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トヨタ 2000GT × 全国

クラシックカーラリーなら1人ではなく、夫婦や友人と参加できる

そんなクラシックカーラリーだが、近年は日本でも公道を走行するラリーが盛況で、日本各地で町おこしや地域貢献活動として広く企画されるようになった。

クラシックカーによるラリーは、速さではなく技術力を競うものだ。設定された時間に決められた区間をいかに正確に走行するかが勝負の鍵を握る。通常はドライバーとナビゲーターであるコ・ドライバーが2人1組で参加。ドライバーの運転技量はもとより、コ・ドライバーのナビゲーションや時間管理などが重要な役割を担う。コ・ドライバーなら運転ができなくても楽しめるだけに、夫婦やパートナーと一緒に参加する人も多い。

公道クラシックカーラリーとして世界的に名高いのが、イタリアのミッレミリア。もとは1927年から1957年まで開催されていた伝説的な公道自動車レースで、1000マイル(イタリア語でmille miglia)を走ることから名づけられた。1977年にクラシックカーラリーとして復活し、現在では世界中からファンが集う一大イベントとして知られている。
 

ミッレミリア▲ミッレミリアは、もともとは公道を使って速さを競ったレース。1927年から1957年まで行われており、当時は欧州の自動車メーカーがこぞって参戦していた。写真は公道レース時代のゴールシーン
ミッレミリア▲ミッレミリアは1977年にクラシックカーラリーとして復活。イタリアだけでなく、欧州をはじめ世界各地から参加者が集まる自動車界の一大イベントで、日本からの参加者も多い

イタリアのミッレミリアの姉妹版として日本で開催されているのが「La Festa Mille Miglia(ラフェスタ ミッレミリア)」。1997年に始まり今年で25回目を迎えた、国内でも歴史あるイベントとして定着しており、今年9月に開催された「ラ フェスタ ミッレミリア 2022」では、東京都原宿明治神宮をスタートし、福島県裏磐梯~栃木県日光市~千葉県成田市~千葉県木更津市など1都8県、約1200kmを走行するルートが組まれていた。

なお、ラフェスタ ミッレミリアは格式高いレースだけに参加資格車は厳格に定められており、以下のように区分けされている。

A:Vintage クラス(1919年1月1日~1929年12月31日に製造された車両)
B:Post-Vintage クラス(1930年1月1日~1939年12月31日に製造された車両)
C:Post War-I クラス(1940年1月1日~1949年12月31日に製造された車両)
D:Post War-II クラス(1950年1月1日~1957年12月31日に製造された車両)
E:Closed List クラス(1958年1月1日~1967年12月31日に製造された車両)

今年は1920年代のブガッティから、1967年式のMG B-GTまで総勢83台がエントリーしていた。戦前のビンテージカーなんていうとかなりハードルが高いが、MGと聞けば少し身近に感じられるのではないだろうか。

一方、インターネットで「クラシックカーラリー」と検索すると、ラフェスタ ミッレミリア以外にも、多くのイベントを見つけることができる。その中にはクラシックミニ(ローバー ミニ)やVW ビートル(タイプⅠ)などといった、流通量もある比較的身近なモデルで参加できるイベントも見つけられる。“クラシックカー”を手に入れたらぜひチャレンジを。
 

クラシックカーラリー▲クラシックミニ(ローバー ミニ)やフォルクスワーゲンのビートル(タイプⅠ)など、手頃な価格で入手できるクラシックカーのラリーも存在する。これを機会に、その楽しさを体験してみてほしい

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フォルクスワーゲン ビートル(タイプⅠ) × 全国
文/藤野太一、写真/トヨタ自動車、ポルシェジャパン、ランボルギーニ、Newspress