ハイエース

【連載:どんな車と、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんな車と、どんな時間を?
 

自分たちのスタイルに合わせてカスタム

島元さんがハイエースのキャンピングカーを手に入れたきっかけは、昨年2023年9月のこと。

お嬢さんの用事のため家族で北海道までマイカーのステップワゴンで出かけた際、帰り道ちょっと疲れたので予定外にもう1泊しようと思ったが、愛犬のメロンちゃんも一緒だったことから、泊まれる宿が見つからないという不自由な経験をした。
 

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メロンちゃんは、映画『マスク』でひと目ぼれして迎えたという8歳のジャックラッセルテリアだ。

2023年1月にはもう1頭の愛犬を11歳で亡くしていたこともあって、これからメロンちゃんとたくさんの思い出を作りたいと思っていた矢先のことだったから、これはなんとかしたいと強く思ったのだという。
 

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そこからの展開はあっという間で、10月にはキャンピングカーショーに行き、その場でこのキャンピングカー仕様のハイエースの購入を即決。11月末に納車されると、リフォーム業を営んでいたスキルを生かし、1ヵ月ほどかけて自ら内装を剥がして断熱材を入れる施工を行った。

「暑さ寒さ対策ももちろんなんですけど、雨の中での車中泊でも雨音がまったく感じなくなりました。思った以上に快適ですよ」

もちろん、メロンちゃんの寝床となるクレートがぴったり収まるスペースも完備している。

ハイエース

「メロンがいたから買えた車なので、ナンバーもメロンの誕生日にしました」

愛犬のために旅はできないものと受け入れていたという島元さんだが、愛犬とともに旅をするための車を完成させてからは1~2ヵ月に1度のペースで、メロンちゃんと奥さんと旅を楽しんでいる。

ハイエース
ハイエース

「3泊ぐらいできるような休みが取れたら、最終目的地と何をしたいかだけ決めて後は走りながら考える感じです。思い立ったらすぐ出かけられるのがいいですね」

古い町並みが残る宿場町や、風情ある温泉を目指して旅することが多いという。

「木曽の馬籠宿に行ったとき、たまたま近くに棚田を見つけまして。そこに水を張った風景が見たくて、田植えの季節にもう一度行きました。いい里山の中の棚田でね、すごくきれいでした」

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四駆仕様を選び、熱で雪が溶けないLEDヘッドライトに加えて熱源にもなるハロゲンのフォグランプも追加しているおかげで、降雪地帯への旅にも対応できる。

「3月くらいに福島の大内宿を目指して行ったときには、たまたま季節外れの大雪に降られちゃって、泊っていた道の駅には除雪車が走ってました。それでも問題なく旅が続けられたのは、雪の対策をしておいたかいがありましたね」

ポータブル電源で稼働するエアコンも完備し、寒い時期も快適に過ごせるそうだが、「この暑い夏はさすがに無理でした」と苦笑いする。

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また、1インチのローダウンを施しているそうだが、これは奥さんが乗り降りしやすいようにという配慮から。「おかげで2.1mまでの立体駐車場に入れるようになった」というのは、ちょっとした照れ隠しのようにも聞こえた。

今年の7月には、この車を手に入れるきっかけにもなった北海道にも行き、長距離ドライブも、途中の気ままな車中泊も満喫したそうだ。今後してみたいことを聞くと、「信州の方を回りたいな」という。
 

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「6月にお世話になっていた方が亡くなったんですけど、その人から勧められていた宿とかお店とか、2~3日かけて回りたいと思っています」

多くの思いを乗せて、人生という旅が続いていく。
 

▼検索条件

トヨタ ハイエースバン(5代目) × 全国
文/竹井あきら、写真/小林司
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島元さんのマイカーレビュー

トヨタ ハイエースバン(5代目)

●購入額/約600万円
●半年の走行距離/約5000km
●マイカーの好きなところ/家族もペットも快適に過ごせるところ
●愛すべきダメなところ/配線のミスでちょっとラジオが入りにくい
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/ペットがいるけれど、ぶらっと目的地を決めずに旅をしたい人
 

竹井あきら

ライター

竹井あきら

自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。