人生2度目のスカイラインを手にした理由は「友達に負けてられない」から!? あの頃の理想を詰め込んだジャパン
2024/03/17
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんな車と、どんな時間を?
友人と趣味を満喫するため、若かりし頃の愛車をもう一度!
「ジャパン」のニックネームで呼ばれる5代目スカイライン。首藤さんがこの車を愛車とするのは、人生で2度目だ。
人生初の愛車は、「ケンメリ」こと4代目スカイライン。「その後ジャパンが出たけど新車では買えんかって」と、人懐こい大分弁で話す首藤さんが、25歳の頃中古で買ったのが初めてのジャパンだ。
それからいろいろ乗り継いで40年弱がたち、AE86に乗っていた8年ほど前のこと。
「友達がチェイサーなんか買いだして2000cc乗りよったけん。ほいで私のは1600ccやったけん、ちょとアレやなと」 じつは首藤さん、バイク乗りでもあり、カワサキ Z900やマッハ、GPZに、スズキ バンバンも所有しているとか。共通の趣味を持っている旧車もオートバイも好きな仲間たちとツーリングチームを組んで、休日は九州の様々な場所で愛車を走らせている。
そんな仲間たちに排気量で負けてられないと4代目に当たるC31型のローレルに乗り替えたが、これがATだったのがどうにも納得いかなかった。
「友達もみんなミッションやけん、やっぱミッションがいいなっちゅうことで」、MT車への買い替えを検討。そこで脳裏に浮かんだのが、若き日に手放した、自分好みにカスタムしてとことん愛したジャパンだ。
「どうしてもこういう車はやんちゃな仕様になっちょる」そうで、やっと見つけたMTのジャパンはギリギリまで車高を落とされてまともに走れなかったため、車高を上げ、あの頃と同じような好みのスタイルに仕上げながら乗っている。
ビタローニのドアミラーが付けられていたものをフェンダーミラーに戻し、グリルもノーマルに戻し、レカロの赤いバケットシートが入っていた内装も、ノーマルのシートをネットで探してクッションと表皮を張り替えてノーマル化した。
「マーシャルのライトは私が入れました」とにっこりする首藤さんに、理想の1台に仕上がりましたね、と言うと本当はもうちょっと手を入れたいという。
「これはエンジン載せ替えとるんですわ。ホントはL6ちゅうエンジンなんやけど、今RB20DETに載せ替えられちょる。本当はL6に戻したい。そんでタコ足入れて、ソレックスとデュアルマフラー入れて」
いわゆる「ソレ・タコ・デュアル」だが、「ソレ」はフランスのソレックス社製高性能キャブレター、「タコ」は等長エグゾーストマニホールド、「デュアル」はそのエグマニから2本の管で排気するマフラーのことを指す、当時あこがれのチューニングだ。以前乗っていたジャパンは、「ソレ・タコ・デュアル」にしていたとうれしそうに語る。
奥さまもまた、ドライブも車も好きだそうで、このジャパンはとっておきのときだけ走らせ、普段はスズキ カプチーノで奥さんとよく一緒にドライブするそうだ。
「紅葉見に行ったりね、たまに運転代わってもらったりして。親が車好きすぎて敬遠しちょるのか、子供たちはあんまり興味ねえなあ」と笑う。 「酒も飲まんし煙草も吸わんしパチンコも行かんし(笑)。もうほんとこればっかりよ。まわりに旧車好きな人がおって、一緒にできるのがいいですよね。年とっても話しもできるし」
このジャパンだけじゃなく、首藤さんもまた、あの頃のままのようだ。
首藤さんのマイカーレビュー
日産 スカイライン(5代目)
●購入額/約300万円
●年間走行距離/約1000km
●マイカーの好きなところ/オーバースペックフェンダー
●マイカーの愛すべきダメなところ/底を擦ってしまうところ
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/スカイラインジャパンのことが好きな人
ライター
竹井あきら
自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。