「ロードスターは、まるでパワードスーツ」心も身体も車と一体化してしまったアートディレクターが語る“ロドスタ愛”
2024/01/30
【連載:どんな車と、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんな車と、どんな時間を?
ロードスターというプロダクトの魅力
あらゆる道具は人間の身体の“拡張”である。人間の手の拡張としてスプーンやフォークが、膨大な計算を可能にする脳みその拡張としてコンピューターが生み出された。
乗り物も同様だろう。どこまでも自由に泳ぎたいという願いが船を生み出し、空を飛びたいという空想が飛行機を生み出し、野を駆ける馬の姿を夢見て、自動車が生まれたのである。
“人馬一体”。そんなマツダの走りの哲学を体現するロードスターをまるでパワードスーツだと表現するのは、日本デザインセンターのアートディレクターとして活躍する有馬トモユキさん。ロードスターの「プロダクト」としての魅力に取りつかれた彼は「ロードスター以外の車はそもそも選択肢に挙がらない」と愛車の購入を決めた。
購入から6年たった今でも車庫から車を出しては眺めているというのだから、その溺愛ぶりは本物だ。
アートディレクター目線でもロードスターはすごかった
車の意匠の良し悪しは、実車を見ればある程度の判断がつく。しかし、“車というプロダクト”の本質的な良さは、買って乗らないとわからないと有馬さんは言う。アートディレクターの目に真っ白なロードスターはどのように映っているのか?
まず、エクステリアは、控えめなフェイスが魅力だと言う。浮かび上がるようなプレスラインにカーデザイナーの粋を感じるのだとか。
さらに有馬さんは「わかりやすい意匠で主張しなくとも道路に出れば圧倒的な個性が出ています。そこにデザインの熟練が表れていると思います」と、アートディレクターならではの目線でロードスターの印象を語る。
また、ハンドルを握れば「パワードスーツのように身体にピタッと張り付くような一体感」があるという。「どう再現しているのか想像もつかない、ロードスターらしい走り味がありますね」。
極め付けは「こんな車が量産されて、公道を走っていることが信じられない、どうかしている」とのこと。自分の身体の感覚と寸分の違いなく車体を操作できる感覚、それを味わったら「もう手放すことは考えられない」そうだ。
パワードスーツというのは、マツダが目指した“人馬一体”をこれ以上なく的確に表す言葉ではないだろうか。有馬さんの口調には、見た目の良さだけではなくプロダクトとしての魅力に惚れ込んだということの説得力が宿っている。
人馬一体を超え、心馬一体へ
以前所有していたモデルは「ロードスターND」(ソフトトップ)だったが、乗り替え時にリトラクタブルハードトップの「ロードスターRF」を選択。開閉の動きも美しく、なにより変形していく過程の“メカ感”が男の子心をくすぐる。実際に屋根をオープンにした状態で走ることは多くないそうだが、「開けられるという可能性を常に持っている」ということは大きな魅力であるそうだ。
ロードスターには小さなトランクが付いているが、当然大きなスーツケースなどは入らない。購入時にはそうした不便な点を心配したりもしたが、「助手席を前に出せばA4のファイルボックスも入りますよ」というディーラーの言葉に有馬さんは覚悟を決めたという。「そういう世界に足を踏み入れたんだ」。こう腹をくくりさえすれば、不便に感じることはあっても不満に思うことなどない。
「格好いい。それ以外に車を選ぶ理由はいらなくないですか?」と語るとおり、不便さをはるかに超える、大きな満足感が得られたのだという。
現在、有馬さんのロードスターは片道1時間半かかる職場までの通勤の足として主に活躍している。その他、「運転する時間が娯楽」との言葉どおり、あてなく首都高を走ってはそのまま車庫に帰って来るという純度100パーセントのドライブに出かけることも少なくない。ロードスターを購入する前は、目的のないドライブに出かけるなんて想像もしていなかったが、今は「車が連れ出してくれる」のだという。
有馬さんは2台のロードスターを乗り継ぎオーナー歴は6年目。愛車を眺める有馬さんの様子からは飽きる気配などみじんも感じられない。彼は身体だけでなく心まで車と一体化してしまったのではないか? こう勘繰ってしまうが、幸せそうだからそっとしておこう。
▼検索条件
マツダ ロードスターRF × 現行型 × 全国マツダ ロードスターについて動画でもチェック!
マツダ ロードスタについては、カーセンサーの公式YouTubeチャンネルの動画でも紹介しています。
有馬さんのマイカーレビュー
マツダ ロードスターRF(現行型)
●年式:2019年
●年間走行距離/3000km
●マイカーの好きなところ/宇宙一かっこいいところ
●マイカーの愛すべきダメなところ/静かじゃないところ、2人しか乗れないところ(それさえ許せば幸せ)
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/車に興味がない人、モノの見方を変えたい人