インプレッサ釣り場への移動やタックルを積み込む車は、もはや釣具だ。釣りを極める者はいかにして車を選び、どのように使っているのか? トップアングラーに釣車へのこだわりを聞いてきた

釣りにも“走り”にもこだわった、変態的釣車

ベイトロッドメーカー「Fishman」のプロスタッフであり、釣魚の写真家でもある西村さんの釣車は、ラリーカーのようなチューニングが施された、2代目中期型のインプレッサスポーツワゴンWRX。

インプレッサ

窓から運転席をのぞくと、サイドブレーキレバーにはエクステンダーが取り付けられていて、サイドターンする気満々のドリフト使用になっている。しかもそのエクステンダー、長さと角度をこだわりまくったチューニングも見て取れる。これはもう西村さん、走れる方ですよね?

「競技はジムカーナとドリフトやってました。草レースは、砂利もサーキットもジムカーナもだいたいやります」

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そしてこのインプレッサ、3ナンバーのハイパフォーマンスモデル「STI」ではなく、5ナンバーボディの“素”のインプレッサスポーツワゴンWRXなのが自慢だという。

「コンパクトで取り回しがいいですしね。峠では“ただのワゴンじゃん”ってバカにされますけど、踏んだらSTIより速いですよ」

聞けば、なんとエンジンはSTIチューンのものに換装しているとのこと。それならとボンネットピンを外してエンジンルームを見せてもらうが、わけが分からない。STIエンジンの赤い塗装をわざわざサンドブラストで剥がしてデチューンしてあるのだ。

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インプレッサ▲釣りの際に悪路を走っても汚れが落ちやすいよう、なんとアルマイト性の ホイールを特注

また、ローダウンしているかのように低く構えて見えるが、それはエアロとタイヤ外径アップを含むカスタムの妙で、じつはノーマルより1cmリフトアップして悪路走破性を高め、釣り仕様になっている。

リップスポイラーも中央部が高くなっているものをセレクトし、わだち対策も抜かりない。このインプレッサ、かなりの変態チューニング(褒めてます)の集合体だ。

インプレッサ▲フロントリップのセンターを上げ、未舗装路のわだちをかわせるようにチューニング済み

ベイトリールとMT車の共通点

ベイトタックルオンリーというスタイルで、渓流、アジング、ロックフィッシュにシーバスと、海へ山へと駆け回って釣りまくる西村さんが拠点とするのは、新潟県柏崎市だ。

インプレッサ▲ロッドはフィッシュマンのビームス エクスパン 7.10LHTS。ジャンルを選ばない汎用性が特徴で、コンパクトにしまえてどこにでも持って行けるから重宝しているそう。リールはシマノ炎月101HG

「うちから10分走れば渓流釣りができます。信号4つで海浜公園。釣りをするには一番いい所です。夏暑くて、冬豪雪ですけど(笑)」

話を聞いたこの夏の日も、深夜にふと目が覚めて河口へと走ったと、見せてくれたスマホには、釣果のどでかいシーバスが写っていた。そんな釣場の宝庫であるとともに、冬の雪道でのコントロール性が必須の雪国ドライバーに選ばれたのが、スバルのシンボルともいえるシンメトリカルAWDだ。

インプレッサ▲あえてボックス類は使わず、防水バッグなどで限られたスペースを有効活用するのが西村流

「縦置きエンジン、縦置きミッション、それで四駆じゃないですか。左右のバランスがいいんですよ。しかも四輪独立懸架だからわだちにひっかからない。雪の上でまっすぐ走れる車ってなかなかないです」

当然ガレ場や泥ねい路にも強い。バランスがキモのベイトタックルにも通じる、釣車選びのこだわりだ。

インプレッサ▲ルーフキャリアにSUPを積んで釣行へ。SUPのパドルは助手席側に収納

これまで乗ってきた車はすべてがMT車だという。自分の感覚に確実に応えるマニュアルで、必要があれば納得いくまでチューニングを施し、やりたいことをやりたいように遂行するスタイルは、西村さんの釣りスタイルにも通じる。

「クラッチがあってギアがあるのはベイトリールも一緒。車もリールもチューニングはおもしろい」と、一貫した変態的スタンスで、今日も大物を狙う。

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文/竹井あきら、編集部 写真/菊池貴之
竹井あきら

編集・ライター

竹井あきら

自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してから次期愛車を物色しつつ、近年は1馬力(乗馬)に夢中。