中古車の支払総額とは? 2023年10月から始まる「支払総額表示義務化」についても解説!
2023/09/15
「支払総額」って?「支払総額表示義務化」で何が変わるの?
2023年10月より、中古車販売価格の「支払総額」表示が義務化される。
中古車購入を検討している人にとってはうれしいニュースとなるが、「結局どのような価格になるの?」といった疑問を抱く方も少なくないだろう。
そこでこの記事では、今後は表示されるのが当然となる「支払総額」がそもそも何なのか、また、義務化の背景などについて解説する。中古車を購入するうえで知っておきたいポイントをおさえておこう!
中古車販売価格の「支払総額」とは?
中古車における支払総額とは「車両本体価格」と「諸費用」を足した価格。購入者が必ず支払うべき費用の合計金額を示す。
中古車を購入してから乗り出すには、車両そのものの価格以外にも実はいろいろと費用がかかる。つまり、乗り出すために最低限必要な金額が支払総額というわけだ。
2023年10月より中古車販売価格の「支払総額」表示が義務化へ
2023年10月から、自動車公正競争規約・同施行規則の改正が施行され、支払総額での表示が義務化される。
つまり、販売店が中古車の販売価格を表示する際に「車両本体価格のみ表示し、支払総額については未表示」とすることが原則NGとなるわけだ。
そもそも中古車販売価格の支払総額での表示は、一部の中古車販売店による不当な価格表示を是正するために実施される。
例えば、店頭のプライスカードでは、諸費用を除いた実際の購入価格より安価な「車両本体価格」を強調表示しながら、商談時になると整備費用などの支払いを強制したり、本来は車両本体価格に含まれる納車費用を請求したりと、不適切な販売行為を実施しているケースがあった。
そういったトラブルを解消するため、価格表示のルールを見直し。支払総額での表示が義務化され、支払総額に含まれる費用も明確化されることになった。当然これに反した価格表示は禁止となり、支払総額に含まれるべき金額を別に請求された場合、支払う必要はない。
支払総額表示のメリットは、今まで以上に中古車を安心して購入できるようになること。表示された支払総額で車を購入することができることも利点だ。
また、いずれの中古車販売店でも表示される価格の内容が均一化されるため、中古車価格を比べやすくなるのもポイントだ。
支払総額の「車両本体価格」に含まれる費用
支払総額の内訳となる「車両本体価格」と「諸費用」は、どのような費用を指すのか? まずは「車両本体価格」について詳しく見ていこう。
車両本体価格とは、消費税を含めた車両本体の現金価格のこと。当然、すでに付けられている装備品の価格も盛り込まれている。下記3つの費用も車両本体の範囲内とするように定められている。
車内清掃や洗車、クリーニングなどが該当。納車前に行うべき費用は、車両本体価格に含まれる。
車両の点検やオイル・バッテリー交換をはじめ、車検を通す際に必要となる部品代など納車時に発生する費用も車両本体価格に含まれる。また、販売条件として「保証への加入」や「定期点検整備」が必須な場合は、その料金も車両本体価格に盛り込まれる。
販売手数料やオークション陸送費、土日祝日の納車費用などが挙げられる。これらは諸費用として別計上してはいけないと定められている。
支払総額の「諸費用」に含まれる費用
続いて「諸費用」について詳しく見ていこう。
諸費用とは、「自賠責保険料」「税金および税金に準ずる費用」「車の登録に伴う費用」の3つを合計した価格のこと。いわゆる、法定費用と各種代行手数料を指している。
自賠責保険とは、車の所有者は必ず加入しなければならない保険。「強制保険」とも呼ばれる。その保険料は一律で定められており、1ヵ月単位で加入。最長で37ヵ月の加入期間が設けられている。
基本的に車検のタイミングに合わせて保険の更新となるが、中古車を途中で購入した場合は次回車検までの期間分に相当する月割分(未経過相当額)を支払う。一方で、自賠責保険が切れている中古車なら24ヵ月の料金が支払総額の諸費用に含まれる。
保険期間 | 普通自動車 | 軽自動車 |
---|---|---|
1万1500円 | 1万1440円 | |
1万2010円 | 1万1950円 | |
1万7650円 | 1万7540円 | |
1万8160円 | 1万8040円 | |
2万3690円 | 2万3520円 | |
2万4190円 | 2万4010円 |
保険期間 | 普通自動車 | 軽自動車 |
---|---|---|
1万1500円 | 1万1440円 | |
1万2010円 | 1万1950円 | |
1万7650円 | 1万7540円 | |
1万8160円 | 1万8040円 | |
2万3690円 | 2万3520円 | |
2万4190円 | 2万4010円 |
車を購入する際には、各種税金を支払う必要がある。支払総額の諸費用に含まれる費用は5種類であり、その特徴は下記のとおり。なお、税額は車両によって異なるが、購入する店舗による違いはない。
自動車重量税 |
車検切れで 再取得する場合は納付 |
---|---|
自動車税種別割 |
購入時に必ず納付。 年度途中で購入した場合、 未経過相当額を払う |
軽自動車税環境性能割 |
購入時に必ず納付。 ただし車種によっては 減税・免税される |
法定費用 |
購入時に必ず発生。 車庫証明と検査登録の 証紙・印紙代を支払う |
リサイクル預託金相当額 |
購入時には基本的に発生。 車両本体価格と諸費用どちらかに 含まなければならない |
車検切れで 再取得する場合は納付 |
|
購入時に必ず納付。 年度途中で購入した場合、 未経過相当額を払う |
|
購入時に必ず納付。 ただし車種によっては 減税・免税される |
|
購入時に必ず発生。 車庫証明と検査登録の 証紙・印紙代を支払う |
|
購入時には基本的に発生。 車両本体価格と諸費用どちらかに 含まなければならない |
車の登録に伴う費用は「検査登録手続代行費用」と「車庫証明手続代行費用」の2種類が該当。加えて、検査に付随して発生する指定工場での「検査費用」、あるいは認証工場での「車両持込費用」も諸費用に含まれる。
これらは購入者が自ら行うこともできるが、一般的には販売店が代行することが多いため、支払総額の範囲内となっている。なお、購入者自身で各手続きを行う場合は、当該費用分が差し引かれる。
支払総額に含まれない費用
支払総額は、あくまで中古車の購入における最低限の金額を示す。つまり、購入者の希望などによって要否が異なる費用は含んでいない。例えば、下記の費用は支払総額に含まれないので注意が必要だ。
自動車保険は、自動車事故による損害を補償してくれる保険。自賠責保険と異なり、任意で加入を決められる。「任意保険」とも呼ばれる。現在でも大半の人が加入しているが、必ずしも加入が必要なわけではないため、支払総額には含まれない。
後付装備によって未預託なリサイクル料が発生する場合があるが、その追加費用は支払総額の諸費用に含まれない。
登録・届出に関する費用は支払総額の諸費用に含まれる。しかし、県外あるいは管轄外の運輸支局で登録・届出をする際に発生する追加費用は、支払総額外として扱われる。
他の販売店などから所有権を解除するための「下取車手続代行費用」や、下取車の査定料は支払総額の諸費用に含まれない。なお、査定料が発生する場合は、査定書などを事前に発行することが求められる。
店頭納車に係る費用は支払総額に含まれる。しかし、自宅など購入者が希望した場所に配送する費用は支払総額外となる。
購入者の希望であるオプションは当然、支払総額に含まれない。装備類だけでなく、納車にメンテナンスパックなどのオプションも同様。もしオプションを購入の条件としていたら、規約外の「不適切な販売」に当たる。
中古車を購入する際に確認すべきこと
支払総額の表示が義務化されても、費用の詳細な内訳をきちんと確認しておくことが大切だ。車両本体価格はいくらか、手数料や代行費用が不当に高くないかなどをチェック。加えて、支払総額に含まれない費用を購入の条件としていないかなど、不適切な点がないかも確認しよう。
【まとめ】支払総額は購入に必要な最低限の価格
最後に、支払総額の表示義務化に関する要点を改めて振り返っておこう。
・支払総額の表示が義務化されるのは2023年10月1日以降
・支払総額=車両本体価格+諸費用
・中古車の購入時に必要な費用は車両本体価格か諸費用に含まれる
・購入者によって要否が異なる費用は支払総額に含まれない
・支払総額が表示されても詳細な内訳はきちんとチェックする
支払総額の表示ルールを守らないのは、中古車販売店の重大な規約違反。万が一、価格表示に関するトラブルに巻き込まれたら、カーセンサーのホットラインをはじめ、自動車公正取引協議会やJU中販連(日本中古自動車販売協会連合会)、消費者センターなどに相談すると良いだろう。