いよいよ始動!日本初の会員制ドライビングクラブの度肝を抜く豪華さ【EDGE Motorsports】
2023/06/12
愛車の性能が公道では堪能できない今、オーナーが選ぶべき道は?
車の高性能化はとどまることを知らない。いまやスーパーカーだけの話ではなく、SUVにも最高出力700馬力、最高速度時速300kmオーバーなんてものがあるくらいだ。
それに反比例するかのように、世のコンプライアンスはどんどん厳しくなっている。今の時代、夜な夜な首都高や峠道を爆走するなんて笑って許してもらえない。
だから多くのジェントルマンドライバーたちは、合法的にその車がもつ本来の性能を味わえるサーキットへと向かっている。講習を受けてサーキットの走行会員になれば、自分の車で思い切りサーキットを走ることができるからだ。
ただし、問題がないわけではない。人気のサーキットは週末に多くのイベントが開催されている。つまり、一般会員の走行枠は平日が中心になる。多忙な人にはどうしても選択肢が限られてしまう。
1990年代にフェラーリやマセラティの日本総代理店となり、またロールスロイス、ベントレーなどの販売からメンテナンスまでを手がけてきたコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドは、その歴史の中で積み上げてきた顧客のために、「どのサーキットにも似ていないコースを持つ、世界に唯一のドライビングクラブを作る」という壮大なプロジェクトを発足させた。
日本でのサーキットという概念を覆す豪華絢爛な施設
きっかけは、同社の代表取締役社長である渡 謙作氏が2014年に訪れたスペインの会員制サーキット「アスカリレースリゾート」に感銘を受けたことだという。
2020年5月、東京都心や羽田空港から車で約1時間の千葉県南房総市に、会員制ドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB」の建設に着工。以来約3年、コロナ禍を乗り越えてようやく今年7月のグランドオープンを迎えることになる。
正式オープンを目前に控え、報道関係者に施設見学およびコース試走の機会が与えられた。
富士山と東京湾を望む約100万㎡もの広大な敷地には、全長3.5kmのロードコースを中心にオーナーズパドックやクラブハウス、ダイニング、そしてプールやジム、温泉といった施設を備えている。そして、別棟に約300台の収容能力を誇るオーナーズガレージが用意されている。ここでは長期保管が可能で、走行前後にはクラブ専任メカニックによるメンテナンスが受けられるサービスも用意されている。
ゲストを迎えるメインの建物は、切妻屋根が印象的な2階建てのクラブハウス。2階にはメインダイニングや、プライベートダイニングがある。レストランをはじめとするホスピタリティは、「金谷ホテル」で知られるKANAYA RESORTSが担当。ダイニングでは地元の食材を生かしたコース料理などが提供される。
レストランだけでなく、富士山を望むインフィニティプールの他、地下918mから掘り当てたという天然温泉やスパ。さらに、ジムやエステ、サウナ、バールーム、シミュレータールーム、キッズルームなどファミリーで休暇を満喫できる施設が整っている。ヘリポートも用意されているので、自家用機をお持ちなら休日のアクアラインの渋滞とも無縁でいられる。
クラブハウスの目の前にはオーナーズパドックと名づけられた、ビラスタイルの宿泊施設がある。昨年4月に入札形式で行われた第1次販売の5戸は即日完売。当初、予定していた全9棟は完売予定のため、開業後に14棟が追加で建設される計画だ。部屋は245㎡から528㎡で、価格はおよそ2.5億円から8億円。リビングからは富士山や緑の山々を、眼下にはロードコースを眺めることが可能。今後所有者の多くは、「THE MAGARIGAWA CLUB」に管理運営を委託し、不在時にはデイユースとして、他会員も利用が可能という。
パドックは凝った造形の屋根を設えた36台が収容可能なスペースを確保。世界的にも珍しい屋内型のPITレーンで冷暖房も完備。待機するゲストのために18ものソファセットが用意されている。
一流のサーキットデザイナーが手がけた本格的なコース
今回の試走のために、フェラーリ 458や488、ポルトフィーノ、ランボルギーニ ウラカン、ポルシェ 911スピードスター、ベントレー コンチネンタルGTなど、現在同社が取扱うブランドの車が用意されていた。
コースはレース競技をするためのサーキットではなく、あくまで運転技術を磨き、楽しむ場所というコンセプトで設計されている。とはいうもののコースデザインは、F1グランプリを開催するサーキットなどを数多く手がけてきたヘルマン・ティルケ氏率いる「ティルケ・エンジニアーズ&アーキテクツ」による本格的なもの。あえて観客席やスターティンググリッドも設けておらず、追い抜きができないようコースの後半では意図的にコース幅を狭くしている。
それでも約800mのストレートでは車種によっては時速250kmに到達する。山を切り開いて作られており標高差は約80m、22のコーナーからなり、周囲がすべて緑に囲まれていてドイツのニュルブルクリンクやベルギーのスパ・フランコルシャンを思わせる。そして後半に現れる前方が見えないブラインドコーナーを経て、空に向かって一気に駆け上がり下るさまは、まるでアメリカのラグナセカのよう。とても起伏に富んでおり、日本のどのサーキットにも似ていないチャレンジングなコースだ。
そうしてもう1点、印象的だったのがデジタルフラッグだ。一般的なサーキットではあれば旗を振るコースマーシャルが必要になるが、ここではコントロールセンターでコース全体を管理。コーナーごとにとても見やすい位置にデジタルフラッグが配置されている。もし前を走る車が突然スピードを落としたり、停止した際には自動で感知し、イエローフラッグを掲出する仕組みになっている。
筆者は実際にアスカリレースリゾートを訪れた経験があるが、それをもはるかに凌ぐホスピタリティの充実ぶりなどを鑑みれば、この「THE MAGARIGAWA CLUB」は、世界一のドライビングクラブといえるものかもしれない。総工費はすでに300億円を超えるというから、以下の会員費も決して法外なものではないはずだ。スーパースポーツカーをお持ちの方はぜひここで本領発揮を。
「THE MAGARIGAWA CLUB」の現在の会員権価格は3600万円(2023年6月末まで)。年会費22万円。開業時までに250名を募集。会員数は500名を上限とする。また、正会員の他に「アソシエイト会員」が設定されている。コース利用日数などに制限はあるが、主要な施設の利用が可能。入会金は400万円。年次諸費用105万円。会員権は5年ごとに更新が必要。コース利用費用は、正会員、アソシエイト会員ともに半日1.1万円(ゲストドライバーは5.5万円)。※価格はすべて税込み。