ダッジ ラムバン

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

車好きがほれ込んだキャンピングカーは一味違うロードトレック

青山真也さん、美穂さん夫妻のマイカーはロードトレック。キャンピングカーだ。ダッジ ラムバンがベースとなっている。購入のきっかけは妻の美穂さんから「キャンプに行きたい」とせがまれたことだという。当時、まだキャンプの経験がなかった真也さんはテントを張る必要がないキャンピングカーなら何とかなるだろうと考えたのだ。

まずはどんなものか体験してみようと国産小型トラックをベースにした、いわゆる「キャブコン」のレンタカーを借りて出かけてみた。ところが日本の道路事情に合ったコンパクトなボディサイズやキャビンの居住性には感心したものの、トラック然としたルックスと鈍重な走り味がやや好みに合わなかった。

真也さんは三菱 パジェロやホンダ シビックタイプR、スバル アウトバックなどを乗り継いできた生粋の車&運転好き。キャンピングカーといえど走行性能は無視できない要件だったのだ。

検討を重ねたうえに行き着いたのが、カナダ「HOME&PARK」社が製作するこのロードトレック。国産キャンピングカーと一線を画す伸びやかなスタイリングに一目ぼれした真也さん。

中古車の出物をネットで見つけるや否や、実印と印鑑証明を持参してお店へと出向いたほど入れ込んでいたそう。キャンピングカーを手に入れたことで、青山夫妻の旅のスタイルは大きく変わった。

「ロケーションの良い道の駅やRVパークを拠点にして、周辺の温泉やグルメを楽しむのがいつものパターンです。夫婦揃って大のお酒好きなので、訪れた土地のお酒を買って車内で飲むことも多いですね。宿泊費が浮くので、その分を現地での食事や酒代に充てられるのがキャンピングカーの素晴らしいところだと思います」(真也さん)

「あと、新鮮な食材を買って調理するのもキャンピングカー旅ならではの楽しみです。いつも地元の精肉店や鮮魚店を事前にリサーチしてから出かけています」と美穂さん。
 

ダッジ ラムバン
ダッジ ラムバン

車で友達の家へ遊びに行っても遠慮なくお酒が飲めるのもキャンピングカーの大きなメリットだという。駐車場で車中泊させてもらい、翌朝に帰ることができるからだ。

ロードトレック170は、北米製のモーターホームとしては小型の部類だが、FFヒーターはもちろん、発電機やシャワー、冷蔵庫、ルーフエアコンなど、快適装備はひと通り揃っている。
 

ダッジ ラムバン

ハイエースなどをベースにしたキャンピングカーではあまり見られない天窓も付いており、キャンプの朝は朝日がここから差し込んで気持ち良く目覚められるとか。冬になると真也さんの長年の趣味であるスノーボードのベースキャンプとしても活躍している。

約20年も前のモデルなので故障歴についてお聞きしたところ、意外なことに装備品はファンが壊れた程度。エンジンなどの機関も大きなトラブルはないという。ガソリンこそ少々大食いだが、大陸的な雰囲気は代えがたい魅力だとか。
 

ダッジ ラムバン

「ドロドロとしたV8サウンドを聴きながら流しているだけで気持ちいいです。コロナ禍でキャンプができない時期はどこにも立ち寄らずに純粋にドライブを楽しんでました」と話すのは真也さん。

真新しく見えるのは、2年前に車両購入代とほぼ同額の費用をかけて大掛かりなリノベーションを施したため。すでに購入から6年以上が経過していたので買い替えも検討したが、結局これに変わる車が見つからなかったという。

レトロなボディカラーとグラフィックは、ダッジ ファルコンという80年代のキャンピングカーをモチーフにしたもの。美大出身の友人が選んでくれたというクリーム色がばっちり決まっている。

モール類までリフレッシュされており、しっかりと手間のかかった塗装であることがひと目で分かった。内装は元々のアーリーアメリカンな意匠を残しつつ、2人でより快適に過ごせるよう広々としたレイアウトに生まれ変わっている。

「所有してから5万kmほど走りましたが、まだまだ頑張ってもらおうと思っています。もっと年を取って大きな車を動かすのがおっくうになってきたら考えます(笑)」

真也さんは美容室のオーナーとして多忙な毎日を送るが、いつか夫婦で北海道を巡ってみたいそうだ。もちろん、この素敵なロードトレックとともに。
 

ダッジ ラムバン
文/佐藤旅宇、写真/尾形和美

ダッジ ラムバン

青山さんのマイカーレビュー

ダッジ ロードトレック(170ポピュラー)

●購入金額/中古で200万円、その後カスタムに300万円
●年間走行距離/約8000km
●マイカーの好きなところ/夫婦2人でキャンプや車中泊できるようカスタムした内装と経年劣化でボロボロになったボディをオールペンしてこだわったボディカラー
●マイカーの愛すべきダメなところ/燃費が悪い……。そして自動車税が高い!
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/思いついたらすぐにお出かけして、行った先で宿泊できちゃう人には最適です!
 

佐藤旅宇

インタビュアー

佐藤旅宇

オートバイ専門誌や自転車専門誌の編集記者を経て2010年よりフリーライターとして独立。様々なジャンルの広告&メディアで節操なく活動中。現在の愛車はボルボ C30と日産ラルゴ・ハイウェイスターの他、バイク2台とたくさんの自転車。この2年で5台の車を購入する中古車マニア。