カメラマンが惚れこんだ「守ってくれている」堅牢さが魅力のジープ ラングラー
2023/04/25
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
3台目のアメ車
もともとはカメラマンではなかった。大学を卒業後、車好きであればおそらくは99パーセントの人が知っているはずの老舗自動車専門誌の編集部に、新卒の編集記者として入った。
だが、文才がなかった――と、本人は言う。
しかし、イベント取材などの際に記者として撮影した写真は、本職のカメラマンが撮った写真を差し置いて大きく使われることが多かった。
「私は、もしかしたら写真撮影の方が向いている……かも?」と思い、老舗自動車誌編集部は1年で退職。写真の道へと転身した。
そしてその頃愛好していた車は――このあたりは“ニワトリが先か、たまごが先か?”ではあるのだが――老舗自動車誌のカラーによく合うクラシカルな欧州車だった。フォルクスワーゲン タイプⅠ(いわゆるビートル)にプジョー 205GTI、プジョー 405 Mi 16等々である。
だが、あるとき“アメ車”に出会った。
「自分にとって最初のアメリカ車は、ひょんなことから我が家にやってきた2代目のジープ チェロキーでした。“守られ感”みたいなものがすごいと思いましたね。それまで乗っていた古めのフランス車たちは『私が守ってあげなくちゃ!』みたいな感じでしたが(笑)、チェロキーは逆に『私、守られてる!』という感じで。これはこれでかなり素晴らしいな……と思い、その後はすっかりジープ系を乗り継ぐようになってしまったんです」
くだんのチェロキーをご本人いわく「乗りつぶした」後は、TJこと2代目ジープ ラングラーの3ドアに。かなり気に入って乗っていたが、「撮影用機材を積むと人が乗れない(笑)」という問題もあったため、購入から10年を機に5ドアの先代ジープ ラングラー アンリミテッド、つまりは現在の愛車兼仕事用グルマに乗り替えた。
「車というのは、機材を持ち運ぶカメラマンにとっては“商売道具”という側面も強いのですが、私の場合はそっちに全振りはしたくなかったんですよね。ラングラー アンリミテッドよりも『機材車として優秀な車』は、世の中にたくさんあるのでしょう。でも『人生全般における相棒でもある』という観点から車を見ると――私にとっては、先代のジープ ラングラー アンリミテッドがちょうど良かったんです。あんまり偉そうじゃなくて、でもちょっとカッコよくて。そして荷物も積めるけど、運転もけっこう楽しくて――という感じで」
村上さんがこちらの先代ラングラー アンリミテッドを購入したときは、すでに現行型(JL型)が日本でも登場していた。だが、あえて先代のJK型を選んだ。
「まぁJK型はハンドルがあまり切れないから『現場での機動力が落ちる』という問題はあるのですが(笑)、でも四角いカタチをした先代のJK型が好きなんですよ。車に限らず、好きなモノを徹底的に選んで長く使う――というのが私の基本的なスタンスなので、やっぱりカタチ的に好みである方が、より重要なんですよね」
探し回って出会った「理想のシルバー」
ボディカラーもかなり吟味した。シルバー系の先代ラングラー アンリミテッドだけでも4台の実車を見に行き、それでもなかなか「これぞ!」というシルバーに出会えなかった。
だが、自宅近くの販売店にたまたまポロッと出てきたシルバーこそが、実は「理想のシルバー」だった。
「たぶんまた10年ぐらいはコレに乗るんでしょうね。モノを買うときはめちゃめちゃ迷いますし、時間もかかるのですが、いざ本当に気に入ったモノに出会えると私、長いんですよ(笑)」
圧倒的な“守られ感”を放つジープ ラングラー アンリミテッドのことを逆に守りもしつつ――つまりは定期的な点検と整備もしっかり行いつつ、フォトグラファーとしての、そして“いち自動車好き”としての村上さんの新たな10年が、今また始っている。
▼検索条件
ジープ ラングラー(JK型) × 全国村上さんのマイカーレビュー
ジープ ラングラー
●年式/2017年
●年間走行距離/7000km
●マイカーの好きなところ/車内にいると「守られている」と感じられる堅牢さ
●マイカーの愛すべきダメなところ/小回りが利かない
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/長距離を運転する人
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。