旅する果物屋フタバフルーツを支える、人生の相棒トヨタ ハイエース
2021/12/22
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
車というより、人生の相棒
フタバフルーツの3代目オーナー、成瀬大輔さんは、旅する果物屋さんだ。
遠くは日本各地の生産者の畑に行き、フェスにも出店する。近くは市場に通い、配達もするし、ケータリングにも出かけていく。
移動のほとんどを担うのが、愛車のトヨタ ハイエース(現行型)だ。
実はこのハイエースは成瀬さんにとって2台目で、先代のハイエースには8年ほど乗っていた。
さらに、その前はセレナに乗っていたが、もっとシンプルで広く、しっかり荷物を運べるものにするべくハイエースにしてみたら、あまりの使いやすさにこれ以外の選択肢はなくなったという。
ハイエースの荷室にはパタパタと分割して収納もできる荷台兼ベッドマットを設えて、荷室空間を上下に分割することで、荷物を効率よく積み込めるようにしている。
おもしろいのは、行き先に海があればサーフボードが、雪山があればスノーボードが、果物と一緒に積まれているということだ。
「そういった“遊び”が、農家さんとの距離を縮めてくれるんです。丸1日、その土地の自然で一緒に遊んでお互いオープンマインドになったら、腹を割って話してくれますよ」
荷台はベッドとしても活躍する。旅先での宿泊場所となり、市場やケータリング先での待ち時間には成瀬さんの体を休め、次への仕事のスイッチを入れる場所になる。
「まさに人生の相棒です。1人だったらここが一番落ち着きます。いっそのこと、ハイエースに表札立てたいくらい」と、人懐こく笑う。
成瀬さんが店を継いでから、フタバフルーツの業務内容はずいぶんと広がってきた。
果物をそのまま販売するだけではなく、カットフルーツやスムージー、フルーツサンドなどにして果物のおいしい食べ方を提案している。
それらの配達や、展示会やパーティー会場などに出張して提供するケータリングサービスも好評だ。
また、カフェとコラボしてフルーツパーラーを展開し、スノーボードブランドとダブルネームの板も作った。
最近では、旬の時期が限られた果物だからこそ、年間通じて忘れないでもらいたいからと、生産者と一緒にオリジナルのフルーツビールを作ったという。
そんな新しい果物屋さんのスタイルは、16歳から始めたサーフィンを通じて親しくなった海の仲間たちのアドバイスや支えがあったからこそと、成瀬さんは感謝する。
「人が大好きだから、いろんな人と一緒に、果物の可能性を広げていきたい。フルーツを通して何を生み出せるのかっていうのが、僕のロマンなんです」
人とつながるために、成瀬さんはぐいぐいと波を捕まえて進んでいく。人生という大海原の相棒に選ばれたハイエースが、今日も走る。
成瀬大輔さんのマイカーレビュー
トヨタ ハイエース(現行型)
●購入金額/約450万円
●走行距離/約2万km
●マイカーの好きなところ/ムダのないシルエット
●マイカーの愛すべきダメなところ/4ナンバー車はガソリンエンジンに2WDしかないところ。ガソリンエンジンの4WDも作ってほしい!
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/自然と遊ぶのが好きな人に
自動車ライター
竹井あきら
自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してから次期愛車を物色しつつ、近年は1馬力(乗馬)に夢中。