趣味と眺望を楽しむ家+高橋秀一(後編)
カテゴリー: カーライフ
タグ: EDGEが効いている / ガレージハウス
2010/07/27
夢が詰まったビルトインガレージはまるでおもちゃ箱のように楽しい
のどかな田園風景が広がる神奈川県某所。施主であるNさんは多趣味な方でガレージには長年所有するチンクのほかに、鉄道模型などのさまざまなアイテムが詰め込まれている。
至るところに隠された趣味のための部屋
もう1台の愛車は、フィアット500。すでに18年所有しているそうだが、「かれこれ8年、不動です」とNさんは大らかに笑う。
ガレージ内は、Nさんの宝箱。鉄道関係のアイテムやアニメのキャラクターグッズなどが、所狭しと並んでいる。もちろん、ガレージジャッキをはじめ、エアコンプレッサーや半自動溶接機なども揃う。
「理想のカタチに近づいてはいます。排気用の大型換気扇は付けてありますし、200Vを引いてあるので大型機器にも対応できます。今後は板金までできるようにしたいですね…」
ここまで聞いていて「あなたナニモノ?」と思わず聞き返してしまった。じつはNさん、某自動車メーカーの開発者であった。なるほどと合点がいったが、最先端の技術を駆使する環境にいるからこそ、プライベートではアナログなクルマをいじりたくなるのかもしれない。このガレージで、Nさんは毎日1時間ほど過ごすという。読書をしたり音楽を聴いたり、ネットサーフィンをしたり…。ここはNさんにとって「やっと手に入れた安らぎの空間」だ。
ガレージと廊下の間には、大きなガラス窓が設けられている。玄関に続くドアもガラス張りだから、玄関を入るとすぐに、ガレージの様子が目に入る。階段を上ると、すぐ左手には「秘密の部屋」という札が掲げられた屋根裏風の空間が。ガレージの真上に位置し、Nさんの宝物がギッシリ収納されているようだ。
2階はリビングルームと子供部屋で、住宅裏手に広がる田園風景を一望できる。この開放感は絶品で、はるか数百m先を走るJR線の姿が郷愁を誘う。線路沿いは桜並木のようで、シーズンには、また違った趣の景色を楽しめそうだ。
階段はさらに続く。リビングの上に設けられたロフトには、コミックがぎっしり。ロフトのレベルに合わせた窓からも景色を堪能できる。ごろ寝をしながらコミックを読みふけり、寝返りを打てば広大な風景が。なんとも贅沢な空間である。
ガレージ上の「秘密の部屋」、リビング上のロフト…。どうやらこの家には、Nさんの隠れ家や秘密基地がたくさん仕込まれているようだ。
「じつは、ガレージフロアも入れると事実上6層なのです」
とは、設計を担当した建築家の高橋さん。一般的な2階建てを想定していた施主に対して、6層フロアを提案。それが決め手となって、N邸を手掛けることとなったそうだ。
「大手メーカーを含めて20社ほど提案をしてもらいましたが、決め手に欠けていました。そしてなにより高橋さんとは、家内のフィーリングが合ったのです」
先ほどからお話を伺っていて、Nさんの趣味のためだけに作られた家のように思え、他人事ながら心配をしていた。しかし、設計依頼の段階からイニシアティブを握っていたのは、じつは奥様だったようだ。
文・菊谷 聡 text / KIKUTANI Satoshi
写真・木村 博道 photos / KIMURA Hiromichi
構成・石井 隆 editorial / ISHII Takashi
ロフトと同じ高さに設けられた窓からは寝そべったままでも外の景色を眺めることができる。また、Nさんが斜線にこだわったという天井の形状も見てとれる
リビング脇にある階段を上ると、その先に6層目となるロフトが現れる。ロフトといっても、暗くて狭いイメージはなく、まったり過ごすには最適な空間といえる
趣味と眺望を楽しむ家
建築家:高橋秀一
SHU建築工房
tel.046-293-1101
http://shuken.easy-magic.com
所在地:神奈川県相模原市
主要用途:専用住宅
家族構成:夫婦、子供1人
構造:木造軸組金物工法 規模:2階建
敷地面積:157.25㎡ 延床面積:167.22㎡
設計・監理:SHU建築工房/高橋秀一
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