走行・低燃費性能に磨きがかかったCVT8

CVT8|日刊カーセンサー
世界に誇る日本のトランスミッションメーカー、ジヤトコ。CVTメーカーとして有名で、その世界シェアは48%を誇ります。今回、最新のCVTを製造する工場を見学する機会に恵まれたので、その性能と特徴についてレポートします。

CVTとは「無段階変速機」のことを指します。ギアを組み合わせるATミッションとは異なり、二つの滑車(プーリー)に金属ベルトを通してつなぎ、滑車の溝幅を変化させることで無段階に変速していくミッションです(※その他にもいくつか方式があります)。

エンジンの駆動力をロスなく効率的にタイヤへ伝えられるので、燃費性能の向上につながります。さらに無段階に変速していくため、ショックのないスムーズな加速が実現できます。ジヤトコはこれまで軽自動車から大型車向けまで全4種類のCVTを製造していましたが、今後は軽・小型車向けの「CVT7」と中・大型車向けの「CVT8」の2種類に統合していくとのこと。これにより生産投資が3割削減できるそうです。

「CVT7」は2009年に登場し、すでに日産 マーチなどに搭載されています。世界初となる副変速機を搭載しており、より効率的にエンジンパワーを使用できるのが特徴です。小さく軽いため、小型車はもちろん軽自動車にも搭載可能。名前の由来はジヤトコの7世代目のCVTであることから取られています。

  • 焼き入れ工程|日刊カーセンサー
  • コンタミ除去|日刊カーセンサー

組み込まれるギアなどのパーツは一度焼きいれただけでは硬くても欠けやすいので、二度焼きいれをして炭素をしみこませ、日本刀のように粘りのある硬さを与える。(写真左)組み立て直前のケースの最終チェック作業。コンタミと呼ばれる異物(ゴミ)を掃除機で徹底して取り除く。(写真右)

そして今年から登場する「CVT8」。こちらは日産が北米で発売するモデルから搭載されることが決まっています。大きく2つの特徴があり、まずは従来モデルより変速比幅を拡大させたこと。力強い発進加速性をはじめ高速走行時の燃費と静粛性を向上させています。

さらに大幅なフリクションの低減を実現したこと。構成部品300点(60%)を見直したり、新開発の低粘度オイルを使用することで、エネルギー伝達のロスを徹底して押さえ燃費性能をより高めることに成功。全体では約10%以上も燃費性能を向上させています。

「CVT8」は今後、国内工場だけでなくメキシコ工場でも生産される予定。さらに来年にはハイブリッド車向けの「CVT8 HYBRID」も登場します。生産拠点のグローバル化、幅広いモデルへの対応で、全世界により一層ジャトコ製CVTが広まっていきそうです。

ジャトコ製品ラインナップ
http://www.jatco.co.jp/PRODUCTS/CVT/index.html

Text/カーセンサー編集部