Part2：スタイリング対決 【BMW5シリーズ vs 世界のミドルセダン4番勝負】

名手クリス・バングルが仕立て上げた機能美

ぜひ断言しておきたいのは、車にとってスタイルは重要なスペックの一つである、ということだ。何を隠そうこの記事を担当しているリポーターなど、自分の車選びの基準の90％以上はスタイルが占めている。

話は逸れるが、つい先日もMacBook Airの本体を封筒から出す、例のスティーブ・ジョブズのパフォーマンスと最薄部0.4cmのスタイリッシュさにコロリと惹かれ、スペックは一切見ず、Fire-Wireケーブルもつなげないのに「予約する」ボタンをクリックしてしまったほど。今は仕事部屋のデスクの、この記事を書いている20インチiMac＆ワイヤレスキーボードの横に置いて眺めている。

話を車に戻せば、BMW5シリーズの現行モデルは、登場時、走りのスペックだけでなく（あるいはそれ以上に）、同社のデザインの責任者であるクリス・バングルが目利きとなり仕上げられた斬新なデザインがおおいに話題となった。

もともとBMW5シリーズは、初代のE12からイタリアンルックのスタイリッシュさぶりを発揮していた。なので現行型のあのスタイルもあながち突然変異で生まれたわけではないが、目が慣れるまでは奇抜にも映ったのは事実。夕暮れ時など最新型がエンジェルライト（イカリングなどと和訳したのは誰だ！）の上に白い切れ長のアイシャドーまで入れ走ってこられると、いやおうなしに注目がいく。

そう、E60型現行5シリーズは、アルミ複合ボディ、アクティブステアリング、i-Driveなど先進技術を満載するから、それらをアピールするために、あのくらいのトガったスタイルでちょうど釣り合いをとったのだろう。

アルフィスタを唸らせるジウジアーロの芸術品

他方、スタイリッシュさで定評がある輸入車のメイクといったら、アルファロメオの名が真っ先に挙がる。その最新世代であるセダンの159は、前任車だった156のあの芸術作品のようだった存在感よりは抑えが利いている（←行間を読み取っていただきたい）ものの、相変わらず周囲の空気を凛とさせるシャープなスタイルをしている。

アルフィスタと呼ばれる世のアルファロメオ乗りは、このスタイルにホロリときてキー（以前は赤いチャーミングなキーヘッドだった）を手に入れる。そして、どこかへ出かけ駐車場に車を止めたなら、同行者の横顔を眺めるフリでもしながらクルマのほうに振り返り、「ウーム、何て絵になるクルマなのだろう！」などと、ひとり悦に入ってしまうものである。